2015年4月にネパールで大きな地震がありました。その地震で大きな被害を受けた観光地が、世界遺産にも登録されるカトマンズのダルバール広場です。
それでも地震から半年が経過し、徐々に観光客の受け入れを再開しているとの話。そこで今回は現地在住のネパール人に現状を聞きつつ、カトマンズ旅行最大の楽しみの1つでもあるダルバール広場を紹介したいと思います。
ダルバール広場は観光客の受け入れを再開している
最初に覚えておきたいのですが、「ダルバール広場」という言葉は固有名詞でありながら、普通名詞でもあります。ダルバール(durbar)とはネパール語で宮廷の意味。その宮廷前にある広場を一般的にダルバール広場と呼ぶのですね。
実際にダルバール広場は複数存在し、首都のカトマンズ以外でも近郊のパタンやバクタプールにもあります。それぞれ世界遺産に登録される有名な観光地です。
今回はその中でもカトマンズにあるダルバール広場を紹介しますが、残念ながら2015年の地震により広場に立つ貴重な寺院群の多くが壊滅的な被害を受けてしまいました。
現在でも倒壊が心配される建築物の近くには立入制限が掛かっているそうですし、ネパール最古の建築物である「カスタマンダプ寺院」なども倒壊したまま復元作業は進んでいないみたいです。
それでもダルバール広場はがれきも整理され、観光客を受け入れ始めているとか。同広場にあるシヴァ神の化身、「カーラ・バイラブ」の石像に礼拝をする地元の人の姿などは、震災前と一緒だとといいます。
有名な寺院の跡地には、昔と今を見比べられる写真が看板に掲載されていると現地在住のネパール人が教えてくれました。震災前の光景を想像するための重要な手掛かりになってくれます。
見どころの一つ、クマリの館は震災を免れた
カトマンズのダルバール広場は、歴史的な建築物や寺院が50近く密集する(していた)観光地です。例えば先ほど触れた、12世紀ごろに建造されたとされる「カスタマンダプ寺院」、広場の中央に位置し、9段の基壇の上に建つ3重の塔「シヴァ寺院」などが代表例でしたが、残念ながら現在では倒壊してしまいました。
しかし、同広場で最も有名な「クマリの館」は健在です。建物の中には女神クマリの化身として考えられている処女の少女が暮らしており、拝観料を支払うと3階の窓から顔を出す少女の姿が見られます。
震災後は倒壊を免れたものの支柱で補強されていたそうで、クマリの化身である少女も安全のため1階に避難していたそうですが、今では支柱も外され通常通りの生活に戻りつつあるとか。
また、「シヴァ寺院」の建物そのものは倒壊してしまいましたが、土台の部分である基壇は残っています。カトマンズのダルバール広場では、シヴァ寺院のピラミッドのような基壇に腰掛け、広場を行き交う人の流れを眺めるという一種の“お約束”があります。
立入制限はされていないそうですので、基壇に腰を下ろして広場を眺めてみてください。多くの貴重な寺院は倒れてしまいましたが、旧王宮などの建築物は現存しています。独特の時間の流れを今でも体感できるはずですよ。
ちなみにカトマンズ・ダルバール広場は入場料が500円ほど。集金システムが雑ですので、入場料を払わずに中に入れてしまいますが、外国人の入場料が貴重な復興の費用になるはずです。自ら料金所に顔を出して支払いたいですね。
以上、ネパールの首都カトマンズのダルバール広場についてまとめました。広場の中にある多くの寺院は失われてしまいましたが、それでも南アジア旅行では必見のスポットです。ぜひとも立ち寄ってみてくださいね。
[All photos by Shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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