珊瑚礁に囲まれた生物の宝庫「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」
中琉球(なかりゅうきゅう)である奄美大島と徳之島、沖縄島北部、南琉球の西表島は面積4万2,698haの陸域です。しかし、この陸域は日本の動植物種に対して大きな割合を占める種が生息・生育しています。
維菅束植物1,819種、陸生哺乳類21種、両生類21種、昆虫類6,153種が生息・生育しているのです。そのうち、固有種は維菅束植物188種、脊椎動物71種になっています。さらに、国際的絶滅危惧種が95種も生息・生育。世界的に見ても貴重な生き物の生育地だといえます。
アマミヤマシギ
また、世界の多くの亜熱帯地域は降水量が少なく、サバンナ、ステップ、砂漠などの乾燥した土地なのに対して、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は降水量が多く、多雨林が発達しているのが大きな特徴です。
このように、かけがえのない地域であることから、2021年に世界自然遺産に登録されました。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の見どころは?
奄美大島の自然を大満喫できるのは「金作原(きんさくばる)」です。太古の森を彷彿させる巨大なヒカゲヘゴといった亜熱帯植物を間近で観察できます。国指定天然記念物のルリカケスやキノボリトカゲなど希少な生き物に出会える可能性も。認定エコツアーガイドが同行するため、学びながら冒険者気分が味わえるのも魅力です。
いくつかのツアーがあるので、気になるツアーに参加したいですね。
アマミノクロウサギ
また、徳之島の山も見逃せません。奄美大島と徳之島のみに分布する頭胴長40~60cmのアマミノクロウサギや、徳之島にのみに分布するトクノシマトゲネズミ、オビトカゲモドキといった希少な動植物が生息しています。
ただし、立ち入りが禁止されている場所や環境保護のためのルールがあるため、必ず資格を持ったエコガイドが同行するツアーを予約しましょう。
沖縄島北部の景色
沖縄島北部に広がる国内最大級の亜熱帯照葉樹林の「山原(やんばる)」も必見です。なかでも沖縄本島最高峰の「与那覇岳(標高503m)」は、生物多様性が見られるスポット。キノボリトカゲ、クワズイモ、ヒカゲヘゴといった希少な動植物が生息・生育しているのです。
一部に滑りやすいポイントもありますが、登山はそこまで大変ではありません。なお、山頂は厳しい保全管理をともなう特別自然保護区に指定されているため、9号目で引き返す必要があります。
イリオモテヤマネコ
さらに、東洋のガラパゴスと呼ばれる西表島を訪れたら「大富林道」は外せません。樹木や花を観賞したり、 野鳥やカエルの鳴き声を聞いたりしながら、散策が楽しめます。徒歩60分ほどで、マングローブの群生を一望できる「仲間川展望台」へ辿り着けますよ。
加えて、「西表野生生物保護センター」には、国の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコはもちろん、西表島の自然環境や野生生物に関する展示が豊富です。ぜひあわせて訪れたいですね。
金作原(きんさくばる)、徳之島、与那覇岳、大富林道への行き方
今回、見どころとしてご紹介した4カ所への行き方は下記の通りです。
金作原(きんさくばる)
奄美市内から車で約30分、名瀬新港から車で約25分
住所:鹿児島県奄美市名瀬朝戸金作原
電話:0997-52-1111(奄美市紬観光課)
公式サイト:https://www.pref.kagoshima.jp/ad13/kurashi-kankyo/kankyo/amami/kinsakubaru.html
徳之島
鹿児島空港から飛行機で約55分、鹿児島港からフェリーで約15時間10分
住所:鹿児島県大島郡
電話:0997-81-2010(徳之島観光連盟)
公式サイト:https://www.pref.kagoshima.jp/ac07/pr/shima/gaiyo/tokunoshima/tokunoshima_top.html
与那覇岳
那覇空港から車(一般道)で約180分
住所:沖縄県国頭郡国頭村
電話:0980-41-2420
営業時間:午後6時以降、与那覇岳入り口へ続く林道の進入規制の確認が必要です
公式サイト:https://www.okinawastory.jp/spot/30000072/
大富林道
大原港から車で約10分
住所:沖縄県八重山郡竹富町南風見仲
電話:0980-82-5445(竹富町観光協会)
奄美の自然を描いた日本画が常設展示されている「田中一村記念美術館」
奄美大島を訪れたら、「田中一村記念美術館」に立ち寄るのもいいかもしれません。ここには、日本画家の田中一村の作品が展示されており、彼の画業に触れることができます。一村は、東京、千葉を経て、奄美に渡り、亜熱帯の鳥や自然を描き日本画の新境地を開きました。
この美術館では、一村の画風が変化する過程も見られますよ。地元の素材をふんだんに使い、奄美の高倉をイメージしてつくられた展示室にも注目です。実際に訪れたことがありますが、心に残った美術館のひとつです。
また、奄美大島の名物といえば「鶏飯」。ほぐした鶏肉、干ししいたけ、錦糸卵、パパイヤの味噌漬けなどを白いご飯にのせ、あっさりとした鶏ガラスープをかけていただきます。これが本当においしく、もりもりと食べられますよ。
住所:鹿児島県奄美市笠利町節田1834
開館時間:9:00~18:00(7月~8月は9:00~19:00)※入館は、閉館時間の30分前まで
休館日:毎月第1・3水曜日(祝日の場合は翌日)
ただし、4月29日~5月5日、7月21日~8月31日、12月30日~1月3日は開館
入館料:大人520円、高・大学生370円、小・中学生260円
公式サイト:https://amamipark.com/isson/
[参考]
環境省
鹿児島県
鹿児島観光サイト かごしまの旅
のんびり奄美
徳之島観光連盟
竹富町観光協会
[Photos by Shutterstock.com]