世界遺産「マチュピチュ遺跡」歴史に取り残された天空都市の謎と不思議に迫る!南米ペルー

Posted by: あやみ

掲載日: Aug 14th, 2024

2007年、スイスに本拠を置く財団により「新・世界の七不思議」のひとつに選ばれた「マチュピチュ」は、ペルー南部の高原にあるインカ時代を代表する都市遺跡です。1983年に世界遺産に登録されました。今回は、そんな謎多き空中都市「マチュピチュ」をクローズアップ。なぜ造られたのか、地震に強い理由などに迫ります。

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の謎 トップ

400年近くも放置された過去がある、ペルー有数の観光地「マチュピチュ」

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」と雲海

標高2,400m余の急峻な山のあん部に位置する「マチュピチュ」は、15世紀に造られたとされています。インカ帝国の滅亡により、400年近く放置されていましたが、1911年にアメリカの大学教授ハイラム・ビンガム氏が発見(カンボジアのアンコール・ワットと同様に、現地の人々はその存在を知っていたとされるため、あしからず)。

かつては岩壁の上に作られた段々畑で穀物が育てられ、1,000人以上が暮らせる十分な湧き水も湧いていたそうです。

また神殿群、宮殿、住居域、墓域などがあるほか、通路や水路もめぐらせた都市だったと考えられています。

この都市はスペイン人の占領を免れたことでも有名です。それにより、現在も典型的なインカ様式の建築が残る、ペルーでもっとも人気の観光地になっています。

なおインカ帝国とは、ペルー南部のクスコを中心に、15世紀から16世紀にかけて栄えたインカ族の国です。太陽神を信仰し、その子とされる王を頂点とする君主制をとっていました。高度な文明を持っていたのもポイントです。

高い技術力に驚愕! 「マチュピチュ」の謎と不思議4選

世界中の人々が一度は訪れたいと切望する「マチュピチュ」ですが、いまだに解明されていない謎と不思議がいっぱいです。ここからは、マチュピチュの謎と不思議4選をご紹介します。

なぜ造られたのか?

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の謎と日時計

約500年前に造られたマチュピチュは、山の麓からはその姿を確認できないことから、空中都市といわれています。なぜこのように行きづらい場所に造られたのでしょうか。

侵攻したスペイン人に追われたインカ族が身を隠した、天体観測を行っていた、宗教的に重要な場所だった、15世紀の皇帝パチャクテクの御用邸だったなど複数の説が唱えられていますが、はっきりとした理由はわかっていません。

しかし、2019年にリオグランデドスール連邦大学が現地調査と航空写真の分析を行った結果、この遺跡は断層が交差する場所にあることが判明。寺院や建造物も断層に沿って並んでいるそうです。

これは偶然ではなく、マチュピチュに住む人々が、地殻変動により砕かれた花崗岩を、建造物を建てるために利用したといいます。

さらに花崗岩を掘り起こしたあとの溝は、排水に役立てており、落石や地滑りが起きるのを防いでいるそうです。

地震が起こっても崩壊しない石積み

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の通路

インカ帝国の都市といえば見事な石積み! ほとんどの建造物は漆喰を使わず、石は隙間なく積み上げられています。

ですが、ペルーは日本と同じく地震が多発する国。マチュピチュの下には、2本も断層線が通っています。

ところが、インカの建物は「踊り出す」といわれており、地震が起こると地震の揺れに合わせて石が互いに衝突したあと、最終的に元の位置に戻るのだそう! さらに500年もの間、降水量の多いこの地で石組みが崩れた形跡がありません。すごい技術ですよね。

驚くほど優れた利水技術

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の住宅

年間降水量は約1,900mmと日本の年平均降水量よりも多いマチュピチュ。かつてのマチュピチュの水路は石で造られ、そこには豊富な水が流れていたといわれています。

とはいえ、どのように水源を確保していたのか謎ですよね。なんと水路は、山から引いた水が斜面を下っていくように緻密に計算されていたとか。それにより、段々畑や居住地など広範囲に水を供給できていたそうです。

なお、マチュピチュの水路は現役で機能し続けています。インカ族は優れた利水技術を持っていたのですね。

マチュピチュは「ビルカバンバ」ではない!?

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の石窓

わずかに残された文献や地図を頼りに、長年、世界中の探検家や考古学者が探し求めてきたインカ帝国最後の都市「ビルカバンバ」。ビルカバンバとは、インカ帝国の人々がスペイン人の侵略から逃れるために設立した帝国最後の都市のことです。

マチュピチュの発見者であるハイラム・ビンガム氏は、マチュピチュ=ビルカバンバ説を主張していました。

しかし1956年の彼の死後、それが間違いだったことが証明されたのです。真のビルカバンバは、マチュピチュから約80km西のジャングルの中にあるとか。

研究の結果、現在の「エスピリトゥ・パンパ遺跡」がビルカバンバと考えられています。

マチュピチュとあわせて、ワイナピチュも訪れたい!

インカ帝国の天空都市「マチュピチュ」の棚田

マチュピチュの北側にある標高2,693mのワイナピチュも必見です。遺跡との標高差は300mで、頂上からは遺跡全体を見渡せます。頂上までの所要時間は約1時間30分ですが、登る価値あり!

ただし、入山するためには、事前にチケットの予約が必須です。また2024年7月現在、1日400人までしか入場できません。早めの予約をおすすめします。

マチュピチュ
住所:Machu Picchu,Peru
交通アクセス:「アグアス・カリエンテス駅」からバスで約30分
公式HP:https://www.machupicchu.gob.pe/

[参考]
インカ帝国の遺跡「マチュピチュ」の謎がついに解明|Forbes JAPAN
大地の建築術|鹿島建設
マチュ・ピチュの歴史保護区|荏原製作所
古代インカ都市マチュピチュ、知られざる10の秘密|ナショナルジオグラフィック

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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