【万葉の時代より“神々が宿る山”とされてきた】富山県「立山」の開山伝説や見どころを紹介!

Posted by: あやみ

掲載日: Nov 13th, 2024

富山県にある日本を代表する山岳地帯「立山」。この地域は「立山黒部アルペンルート」の一部としても知られており、毎年、多くの観光客や登山客が訪れています。また、古くから信仰の対象で、富士山や白山と並ぶ日本三霊山のひとつです。今回は、そんな立山の伝説や見どころ、登山ルートなどをご紹介します。

立山

『万葉集』の歌にも登場! 古くから山岳信仰の対象だった「立山」

立山 川の流れ

万葉の時代より“神々が宿る山”とされてきた立山は、古くから山岳信仰の対象です。そのため、かつて人々は、山に立ち入ることを慎んで、山麓に社を建てて拝んでいました。国守として越中に赴任してきた歌人、大伴家持(おおとものやかもち)の『万葉集』の歌からも立山連峰の神々しさが伝わってきます。

平安時代に入ると、日本に仏教が広がり、それを機に立山へ仏教の山としての意義が加わり、修験道の一大興隆地として脚光を浴びるように。江戸時代になると、加賀藩は立山信仰を厚く保護。峰本社の修理・造営、山中の宿泊施設や橋の架け替えなどを行いました。

ところが、明治維新の神仏分離令により立山における宗教色は一気に薄れていき、代わりに目の前に広がる雄大な景色を楽しみたい人々が国内外から訪れる人気のスポットに!

なお、立山という名前の山は存在せず、一般的には雄山(標高3,003m)、大汝山(標高3,015m)、富士ノ折立(標高2,999m)からなります。

立山を開いた「佐伯有頼(さえきありより)」の伝説

立山 白鷹

※画像はイメージです

昔、立山に佐伯有頼という少年がいました。ある日、有頼は父が大切にしている白鷹を持ち出し、鷹狩へ。しかし、白鷹は突然、有頼の手から離れ、飛び立ってしまいます。有頼は白鷹を追いかけ、梢に止まっていた白鷹を捕まえようとしたものの、そこに一匹の熊が現れるのです。驚いた白鷹は、再び逃げてしまいました。

それに怒った有頼は、熊に矢を放ちます。矢は熊に命中し、熊は血を流しながら山の奥へ。有頼は地面に落ちた熊の血を頼りに、何日もかけて立山の奥深くへ進んでいき、ついに熊が立山頂上近くの岩穴に逃げ込んだことを突き止めます。

有頼は岩穴へ足を踏み入れましたが、そこにいたのは熊ではなく金色に輝く阿弥陀如来でした。その胸には有頼が射た矢が刺さっているではありませんか!

「白鷹も熊も、すべてはお前にわたしの思いを託すためです。この尊い山に多くの人が信仰を捧げられるように、お前は僧になってこの山を開きなさい」

その言葉に感銘を受けた有頼は、名を慈興と改めて、立山の開山に一生を捧げました。

大自然が織りなす神秘的な光景がいっぱい! 立山の見どころ5選

立山には多くの観光スポットが存在し、四季折々の景色が楽しめるのも魅力です。ここでは、立山でおすすめの見どころを5つご紹介します。

日本最高所に位置する駅「室堂ターミナル」

立山 室堂ターミナル

日本最高所にある駅「室堂ターミナル」には、アルペンルートで最大の規模を誇るレストランやティーラウンジ、展望テラス、立山山頂簡易郵便局、室堂観光案内所といった施設が充実。

また、室堂ターミナルに隣接する「立山自然保護センター」では、室堂平周辺の動植物の展示・解説、フィールド情報を提供しています。ナチュラリストによる自然解説ツアーも実施。残雪期は屋上展望台から自然保護センターまでの間に「雪の回廊」も!

ダイナミックな雪の壁に圧倒される「雪の大谷」

立山 雪の大谷

立山黒部アルペンルートの中心地にある「室堂」は、標高2,450mに位置します。ここで最も有名なのが高さ20mにも迫るダイナミックな雪の壁「雪の大谷」です。春から初夏にかけては雪の大谷が続く500mの区間を歩ける「雪の大谷ウォーク」を開催。一面を雪に覆われた光景を眺めるというインパクト大の体験ができますよ。

“北アルプスで最も美しい火山湖“といわれる「みくりが池」

立山 みくりが池

周囲約630m、水深約15mの「みくりが池」は、“北アルプスで最も美しい火山湖“といわれています。火山活動によって形成された神秘的な青い湖で、室堂からのアクセスも抜群です。周囲に遊歩道が整備されており、青い水面に周囲の約3,000m級の山々が映り込む見事な景観を堪能できます。春には残雪の白さがアクセントに。晴れた日に訪れたいスポットですね。

立山 山道

©️Navapon Plodprong / Shutterstock.com

さらに標高2,410mにある日本一高所の天然温泉「みくりが池温泉」で100%掛け流しの白濁したお湯に浸かるのもイチオシ。浴室の窓からは、大日連山が見え、心身ともにリフレッシュできますよ。

感動的な絶景を拝める「雄山峰本社」

立山 雄山峰本社

標高3,003mの雄山山頂には、立山信仰の中心的存在である「雄山神社峰本社」が鎮座し、山頂からの景色は格別。遠くに富士山、御嶽山、富山湾を一望できます。鳥居の脇で、参拝料を納めると、お祓いを受けられ、お神酒をいただけるという特別な体験ができますよ。

日本一の高さから噴き出す水が迫力満点な「黒部ダム」

立山 黒部ダム

186mの高さを誇る「黒部ダム」は、黒部の大自然の中につくられた日本有数のダムです。ここで人気なのが観光放水。毎秒10トンから15トンもの水が、日本一の高さから噴き出される様子は圧巻です。展望台や階段、新展望広場「レインボーテラス」などからは、放水を間近に見ることができます。

緑の黒部湖を表現した名物「黒部ダムカレー」もぜひ味わってみてくださいね!

初心者におすすめの登山コース

立山 ライチョウ

雷鳥

初心者におすすめの登山コースは、立山駅から室堂を往復する所要時間7~8時間 (滞在時間:室堂5時間含む)のコースです。雄山山頂まで登ることができますよ。運が良ければ、神の使いといわれ、大切にされてきた雷鳥のほか、可愛いオコジョに出会えるかもしれません。

初心者からエキスパートまで目的に合わせて登山できるモデルコースについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

立山 立山ロープウェイ

登山をすることは難しいけど、立山の自然を満喫したいという方は、大観峰と黒部平を結ぶ、「立山ロープウェイ」がおすすめ。標高差およそ500mを7分かけて一気にのぼり、大パノラマを楽しめます。このロープウェイは支柱が一本もない「ワンスパン方式」で、視界を遮るものがないのもポイントです。

来年の春以降の登山計画に、立山を加えるのも良さそうですね。

[参考]
立山黒部アルペンルート
とやま観光ナビ|富山県観光公式サイト

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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