©︎Tomoya Sato
佐藤友也 Web個展『トワイライト』
第一回「#旅心フォトコンテスト by TABIZINE」大賞受賞者、佐藤友也さん によるWeb個展『トワイライト』。トワイライトとは、日没後すぐの薄暮の時間帯や日の出前の薄明かりの時間帯を指す言葉です。日没後のマジックアワー、ゴールデンアワーなども含まれます。
-
佐藤さん
トワイライトは日没、日の出前の両者を示す言葉ですが、私自身は朝の写真が大好きなので今回の写真たちはすべて朝のものです!この時間帯に惹かれる理由は、1日のなかのとても限られた時間のみ見ることができる空の色が神秘的に感じられるためです。特に朝の時間は空気も澄んでいて、被写体もくっきり見ることができるためよく撮影しています
2025/06/12|4:30 黒岳
2025/01/26|6:40 松本城
2025/03/01|6:20 雨晴海岸
2023/12/23|6:40 美ヶ原高原
2024/06/05|4:10 甘利山
2025/09/23|5:20 平林の棚田
2024/02/24|6:40 三つ峠
2024/11/30|5:40 岩殿山
2025/01/02|6:10 霞ヶ浦
2025/02/09|6:30 馬籠宿
2025/04/27|4:30 星峠の棚田
審査委員長 花井亨先生からのコメント
あらためまして、佐藤友也さん第一回「#旅心フォトコンテスト」大賞受賞おめでとうございます!
そして、佐藤さんによるWeb個展「トワイライト」、大変素晴らしく、感動しました。
『トワイライト』(マジックアワーなんて言ったりもしますが)は写真を撮る人にとってはまさに特別な光を放つ特別な時間です。佐藤さんの写真の特別感は何か? と思っていたら、それが全て朝のもの! ということに写真のこだわりを強く感じ、感心してしまいました。
普通の人にとって、夕方のトワイライトより、朝のトワイライトの方が圧倒的に見る機会が少ないと思います。つまり『ほとんどの人は知っていて興味があるが、実際にはあまり経験がなく、予想とはちょっと(けっこう)違う』という写真に惹きつけられる要因を分析しつつ、私も朝、夕ともに撮影することはありますが、朝の方が圧倒的に難しいんです。それに取り組み、作品として残している佐藤さんの世界観にとても感動しました。
これからも、ずっと写真を楽しんで、素敵な作品を撮り続けてください!
審査委員長 花井亨
写真家
元ロイター通信の写真家。その経験を基盤に、独立後は企業広報、国際機関の活動記録、ニュース報道から、世界各地の旅で出会う文化や市井の人々のポートレートまで、多岐にわたる分野で撮影・制作活動を行う。ドキュメンタリーで培われた確かな視点で「場面」の空気感を的確に捉え、被写体の本質や物語性を引き出す表現力に定評がある。作品は『ナショナルジオグラフィック・トラベラー』の表紙を2度飾るなど、国際的にも高く評価されている。
佐藤さんにインタビュー!
佐藤さん「普段は市役所の職員をしており、写真とは無縁の日々です」
佐藤さん「よくいろいろな場所に出かけており、きれいな風景にも出会ってきました。その風景に感動する一方、この景色をきれいに思い出として残したいと思うようになりました。そこから思い切って一眼レフカメラを購入したことがきっかけです。カメラ歴は現時点で3年半くらいになります」
【大賞(金賞)】©︎Tomoya Sato「真冬の富士に降り注ぐ」
佐藤さん「大賞の写真は三脚を使ったセルフポートレートです(笑)。まず前提として比較明合成という技法を使っています。フラッシュとタイマーを使用して、まずは自身を撮影します。そこからはカメラを動かさずに朝まで星空の撮影を続けました。
それらの中からきれいに流れ星が写っているものをピックアップして、写真を仕上げています。また背後の星は主題ではないため、少しだけピントを外して、大きく写るようにしています」
佐藤さん「現在使っているのは、NIKONのz8という機種です。レンズはNIKKOR Z 24-120 f4 sやNIKKOR Z 180-600 f5.6-6.3VR、NIKKOR 14-24 f2.8G EDなどを使っています。また、DJIのドローンを使うこともあります」
佐藤さん「カメラは週末以外はあまり持ち歩いていません。自分は風景ばかりを撮ることもあり、大きなカメラを日常的に持ち歩くのはなかなかハードルが高く感じてしまいます。今後、ポートレートなどにも興味を持つようになれば、もう少し持ち運びやすいカメラを購入して、日常的に持ち歩くこともあるのかなと思います。
スマホでの写真撮影はそれなりに行います。先ほどもお話ししたように、カメラを使うのは、風景を撮るときがほとんどなので、それ以外の日常的な場面ではほとんどスマホを使っています。
また、撮影したい場所のロケハン時にも画角や構図を考えるためにすぐに撮影できるスマホを使うこともあります。風景や自然を撮りたい日はすべてカメラで撮影。撮影すると意気込んでいないときはスマホというおそらく一般的な使い分けをしています。
好きな被写体はネイチャーや風景です。人物や料理を撮影することはほとんどありません。いろいろな被写体を好きな方がいるかと思いますが、私の場合はきれいな景色を見たときの感動を残したいという気持ちが強いのだと思います。そう考えた際に、ネイチャーや風景に勝るものはないのではないかと思っています」
佐藤さん「日本人ですと井上浩輝 さん、海外の方だとharry collins さんの写真はきれいな自然を表現されていて、素敵だなと感じることが多く、憧れます」
佐藤さん「写真を撮るうえで大事にしていることは、写真を撮る楽しさを忘れないことです。写真を撮っているとなかなか思うような写真が撮れずモヤモヤすることや、他の方のきれいな写真を見て、無力感を感じてしまう時期が誰しもあると思います(私は今もよくあります)。
そういったときに、あまり深く考えすぎると写真を撮ること自体が嫌いになってしまうのではないかと思います。せっかく楽しめていた素敵な趣味が、自身の理想や他人との比較でなくなってしまうのは悲しいことです。自身のスキル向上のために考えることは大事ですが、考えすぎて落ち込む前に、撮影時の楽しかった気持ちやワクワクした気持ちを思い出して、写真に向き合うようにしています」
佐藤さん「次に狙っているスポットはいろいろあるのですが、秋なら雲海と越前大野城、冬は雪の白川湖、春以降だと今回いただいた副賞*で行ける山口県の東後畑棚田などです!」
*大賞の副賞はリゾナーレ下関(星野リゾート) 1泊2日宿泊券1組2名(2025年12月11日に開業予定)です。
佐藤さん「今まで旅したなかで最も印象的だったのは、富山県の射水市 新湊の内川です。

3年前の夏、写真をちょうど始めた頃に初めて訪れた場所。薄暗い街並みに街灯が灯るなか、背後の立山連峰から満月が昇りはじめました。特に満月のタイミングを狙って訪れた訳ではなかっただけに、とてもきれいな景色にただただ圧倒され、夢中でシャッターを切ったのを覚えています。
そこから写真を撮ることやフォトコンテストに応募する楽しさを知ったのかなと思います。そのあとに食べた富山ブラックもいい写真が撮れたあとで機嫌がよかったこともあり、めちゃくちゃおいしかったのを覚えています(笑)。写真の楽しさを教えてくれた大好きな場所です」
旅心をくすぐる『トワイライト』
佐藤さんの切り取った、いつもとは異なる空気をまとう珠玉の風景たち。はざまにしかない時間、空間、普段なら起こり得ない出来事、色々なことを連想します。『トワイライト』はまさに、物語の始まりの予感がする、旅心をくすぐる時間なのだと、改めて感じました。
旅は心を自由にしてくれます。
心の自由とは、心を煩わせるものから解放されて、“今ここ”を全身全霊で楽しめることではないでしょうか。旅写真は、それをより加速させてくれる素敵な相棒。ときには旅の目的そのものにもなり得るし、誰かに旅の感動を伝える手段にもなる。
佐藤さんの「写真を撮るうえで大事にしていることは、写真を撮る楽しさを忘れないこと」「楽しめていた素敵な趣味が、自身の理想や他人との比較でなくなってしまうのは悲しい」「楽しかった気持ちやワクワクした気持ちを思い出して、写真に向き合う」という言葉がとても印象的でした。
自分のなかから湧き上がる「見たい」「行きたい」「楽しい」「ワクワク」に素直になる。頭ではわかっていても、人間はつい他人との比較や、他人からの承認に翻弄されてしまうものです。でもそこでふっと立ち止まって、楽しかった気持ちを思い出す。旅写真は、その気持ちを思い出すきっかけにもなってくれそうですよね。
旅や旅写真がこれからも、みなさんにとって「楽しい」「ワクワク」で満ちたものでありますように。
TABIZINE 統括編集長 山口彩


