ニューヨークは、世界一の犬好きが住む街だと言われています。愛犬のために、ドッグ・フレンドリーなアパートを探したり、散歩のため公園の近くに住居を求める人も多くいます。
犬を見かけると、「ハーイ、可愛いわね。彼女(彼)の名前は何と言うの?」と声をかけずにいられません。
犬がリースなしに遊べるスペースが、ドッグ・ラン(Dog Run)と呼ばれ、ニューヨークの公園の多くに併設されています。
ドッグ・ランでは犬が生き生きと楽しそうに、走り回っています。お留守番の愛犬が気になる人、犬好きな人は見学してみるのがおすすめ。
1990年、イーストビレッジにある公園、Tompkins Squareに出来たのが、世界初のドッグ・ラン”ファースト・ラン(First Run)”です。
Tompkins Square公園は、1980年代中頃ドラッグ売人の溜まり場で、それに関わる犯罪も多く、皆に怖れられていた公園でした(この当時のNYCは、どの公園も治安が悪かったのです)。アルファベット(A,B,C)のつくAvenueに近寄る人はいませんでした。
ドッグ・ランの創設者は、荒廃した公園を犬と一緒に集える安全な場所になるよう、革命を起こしたのです。そして、数多くのボランティアのメンバーや寄付によって、犯罪の巣窟だった公園が、全盛期の姿を取り戻しました。
2008年には、45万ドルをかけて修繕が行われました。夏期には、犬用のプールもあるんですよ。現在は、NYC公園管理局(NYC Department of Parks&Recreation and City Parks Foundation)によって、運営されています。
ドッグ・ランには、ルールがあります。
● 生後6ヶ月以上の犬は、去勢、避妊手術を受けてあるべし。
● 攻撃的な犬は入るべからず。
● 飼い犬によるいかなる怪我も、飼い主が法律的、金銭的に責任を持つべし。
● 子供は必ず大人が同伴し、着席のままいるべし。
● 標準サイズのテニスボール以外、犬のおもちゃの持ち込みは禁ず(取り合いで争いの原因)。
などなど。怪我や事故が起こらず、円満に楽しめるように、ルールが取り決められています。
アルファベットシティのAve.Bにあるドッグ・ランらしく、赤いヘアの飼い主さんが。自由人が多いエリアなのです。
ファースト・ランの改革以降、公園はずいぶん綺麗になりました。近辺はレストランやカフェなどがたくさん出来て、昼間に歩くには問題ありません。
ワンコはリースから放されて、自由に走り回っています。こちらは、25パウンド以下の小型犬(約11kg)のドッグ・ラン。
大型犬と小型犬に分かれているので、飼い主もワンコも安心出来るようです。
思いっきりエンジョイしているワンコもいれば、
はにかみ屋なのか、ドッグ・ランが本日デビューなのか、一歩を踏み出せずにいるワンコも。
愛犬家が集まっているので、どの人も嬉しそう。中央の犬は、柴犬のようですね。
こちらは、大型犬のドッグ・ラン。
テニスボールを投げてやると、喜んで拾ってきます。ドッグ・ウォーカー(Dog Walker)に連れられてくるワンコもいれば、飼い主さんに連れられてくるワンコもいます。
ドッグ・ウォーカーは多い時には、5-6匹連れていることもあります。皆仲良く一緒にお散歩出来る、お利口さんです。躾が良いのですね。
飼い主から離れないワンコや、のんびりひなたぼっこするワンコ、はしゃぐワンコ、それぞれ違います。人間と同じですね。
人種の坩堝ニューヨークらしく、ワンコの種類も様々です。
セントラル・パーク(Central Park)あたりだと、見たこともないような種類の超高級犬が闊歩していますよ。
ドッグ・ランでは、愛犬の話題から、世間話まで話題が広がっていきます。
犬を連れていると声をかけやすいのでしょうか、愛犬を連れたシングルには、出逢いの場でもあるようです。
独身が多く、キャリア優先のストレスに充ちた生活をおくるニューヨーカーにとって、愛犬は大事な家族。裏切ることなく、ひたすら飼い主を信じてくれるワンコほど愛しい存在はないのでしょう。
実は淋しがりやのニューヨーカーのコミュニケーションの場が、ドッグ・ランであるのかもしれません。
また、NYCではペットショップで購入するより、シェルター(捨てられた、虐待された犬猫が保護されている施設)からアダプト(縁組)で引き取っているケースが多いようです。
その話題も機会があれば書いてみたいと思います。
住所 500 E. 9th Street
New York, NY 10009
開園 6 a.m. to Midnight