【実はこれが日本一】1969年に草津温泉で誕生した日本初の「ペンション」

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 18th, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、日本初のペンションについて紹介します。

ペンションのイメージ
写真はイメージです
 


 

誤解されるとわかっていても「ペンション」と名乗った

日本のペンションのイメージ
写真はイメージです

暑い日が続きますね。こうなると、避暑地に出かけて、ペンションなどでゆっくり過ごしたい気分になってきませんか?

ペンションとは、そもそも和製英語のようです。ただ、古フランス語を語源に持つ英単語「pension」は年金を意味します(重さを量る「pens」→計量して支払う→年俸→年金)。どうして「ペンション」という言葉で、宿泊施設を意味するようになったのでしょう。

小学館『日本大百科全書』によると、食事付きの小規模宿泊施設をフランス語で「パンシオン」と呼び、

<ヨーロッパに多いこの種の家族経営の宿泊施設にヒントを得て開発された>(小学館『日本大百科全書』)

歴史があるため「パンシオン」と最初は名乗ろうとしたようです。

群馬県草津の湯畑も近い温泉街で、日本で最初のペンションとして「綿貫ペンション」が誕生した年は1969年(昭和44年)。

しかし「パンシオン」では言いづらいため、英単語「pension」と誤解される恐れを理解しながらも、意図して「ペンション」を採用したと小学館『日本大百科全書』に書かれています。

高原や湖畔などのリゾート地で拡大

日本記録認定協会も、綿貫ペンションを「日本初のペンション」として認定しています。

その後、ペンションは、長野県黒姫高原などにも誕生し、国鉄(現・JR)の「ディスカバージャパン」キャンペーン後に起きた国内観光ブームを受けて、1970年代になると全国各地に増えていきます。

『ブリタニカ国際大百科事典』によると、特に長野や山梨、新潟などにペンションが増えていったそう。現在は、静岡、北海道、沖縄、群馬、栃木、福島などにも多く開業していると情報があります。

いずれも、高原や湖畔などのリゾート地を抱える場所ばかりですね。

民宿との違いは、そうした立地での開業に加えて、洋式の建築設計が挙げられます。そのおしゃれなスタイルが20代の女性グループにも受け入れられ、どんどん拡大してきたようです。

残念ながら、2019年(平成31年/令和元年)をピークに、施設の数は減少の一途をたどっているそうですが、冒頭に紹介した元祖ペンションの綿貫ペンションは、老舗の歴史を今も受け継いでいます。

草津温泉周辺には、嬬恋村のキャベツ畑があったり、志賀草津道路や万座ハイウェーなどのドライブコースがあったり、楽しみが尽きません。

一都三県の都会に暮らしながら酷暑に苦しんでいる人は、可能なら、草津温泉周辺のペンションに仕事を持って出かけて、リモートワークにいそしんでみてはいかがですか?

避暑にもなって、仕事もはかどって、ドライブも楽しめて、一石三鳥くらいになりそうですね。

[参考]
日本初のペンション – 日本記録
綿貫ペンションについて – 綿貫ペンション
【2021年版】ホテル・旅館・温泉が多い都道府県ランキング – 日本ソフト販売株式会社
【2022年版】ホテル・旅館・温泉が多い都道府県ランキング – 日本ソフト販売株式会社

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook