写真はイメージです
誤解されるとわかっていても「ペンション」と名乗った
写真はイメージです
暑い日が続きますね。こうなると、避暑地に出かけて、ペンションなどでゆっくり過ごしたい気分になってきませんか?
ペンションとは、そもそも和製英語のようです。ただ、古フランス語を語源に持つ英単語「pension」は年金を意味します(重さを量る「pens」→計量して支払う→年俸→年金)。どうして「ペンション」という言葉で、宿泊施設を意味するようになったのでしょう。
小学館『日本大百科全書』によると、食事付きの小規模宿泊施設をフランス語で「パンシオン」と呼び、
<ヨーロッパに多いこの種の家族経営の宿泊施設にヒントを得て開発された>(小学館『日本大百科全書』)
歴史があるため「パンシオン」と最初は名乗ろうとしたようです。
群馬県草津の湯畑も近い温泉街で、日本で最初のペンションとして「綿貫ペンション」が誕生した年は1969年(昭和44年)。
しかし「パンシオン」では言いづらいため、英単語「pension」と誤解される恐れを理解しながらも、意図して「ペンション」を採用したと小学館『日本大百科全書』に書かれています。
高原や湖畔などのリゾート地で拡大
日本記録認定協会も、綿貫ペンションを「日本初のペンション」として認定しています。
その後、ペンションは、長野県黒姫高原などにも誕生し、国鉄(現・JR)の「ディスカバージャパン」キャンペーン後に起きた国内観光ブームを受けて、1970年代になると全国各地に増えていきます。
『ブリタニカ国際大百科事典』によると、特に長野や山梨、新潟などにペンションが増えていったそう。現在は、静岡、北海道、沖縄、群馬、栃木、福島などにも多く開業していると情報があります。
いずれも、高原や湖畔などのリゾート地を抱える場所ばかりですね。
民宿との違いは、そうした立地での開業に加えて、洋式の建築設計が挙げられます。そのおしゃれなスタイルが20代の女性グループにも受け入れられ、どんどん拡大してきたようです。
残念ながら、2019年(平成31年/令和元年)をピークに、施設の数は減少の一途をたどっているそうですが、冒頭に紹介した元祖ペンションの綿貫ペンションは、老舗の歴史を今も受け継いでいます。
草津温泉周辺には、嬬恋村のキャベツ畑があったり、志賀草津道路や万座ハイウェーなどのドライブコースがあったり、楽しみが尽きません。
一都三県の都会に暮らしながら酷暑に苦しんでいる人は、可能なら、草津温泉周辺のペンションに仕事を持って出かけて、リモートワークにいそしんでみてはいかがですか?
避暑にもなって、仕事もはかどって、ドライブも楽しめて、一石三鳥くらいになりそうですね。
[参考]
※ 日本初のペンション – 日本記録
※ 綿貫ペンションについて – 綿貫ペンション
※ 【2021年版】ホテル・旅館・温泉が多い都道府県ランキング – 日本ソフト販売株式会社
※ 【2022年版】ホテル・旅館・温泉が多い都道府県ランキング – 日本ソフト販売株式会社
[All photos by Shutterstock.com]