海を渡る由良川橋梁
“海の京都”と呼ばれている京都府・北部の地域。京都丹後鉄道・宮舞線には、空と海の境目を走る「由良川橋梁」があります。橋梁の長さは京都府最長で、大正時代に架けられた、というのも驚きです。由良川橋梁を中心に、“海の京都”を旅してみました。
由良川橋梁は、海へと続く由良川の河口に架かっています。水面から6.4mの高さは、海の上に浮いているようにも見える低さなのです。海の上を、軽快な音をカタンカタンと、響かせながら列車が走ってきました。1両だけの短い単行列車が走って行くときは、橋の長さと海の広さを感じます。
朝の光の中を出かけると、昼間とは、違った海の色が広がります。橋の向こうが空なので、車両が影絵のようなシルエットになりました。
川岸から少し歩くと、「由良オリーブもみじ公園」があります。少し高いところに位置しているので、違った角度で眺めることができます。
晴れの日の青い海と空は絶景で、人気がありますが、雨や曇りの日も、素敵な風景に出会えます。橋梁のたもと側に行くと、霧がかかった山を背に列車が走ってきて、幻想的です。
対岸から、列車が、真っ直ぐに渡ってくる姿は、子犬が走ってくるようにも感じて、たまらなく可愛いなぁ、と思うのです。
由良川橋梁
住所:京都府舞鶴市・宮津市 由良川橋
宮津町にある由良産100%のオリーブオイル
由良川橋梁の近くの、川沿いに小さなオリーブ園があります。「由良オリーブ工房」さんです。7月の下旬ごろ、偶然通りがかると、オリーブ工房の扉が開いていて、農園の方が集まっていました。珍しいなと思い、覗いてみると、「見ていくかい?」とおじさんが、オリーブ畑を案内してくれました。小柄な木には、可愛いオリーブの実がたくさんなっていました。
おじさんは、「味見してみる?」と小さじ1杯のオリーブオイルを試飲させてくれました。香りの良い新鮮なオリーブオイルに言葉を失いました。
“最後のひとつ”だという、小さな瓶のオリーブオイルをお土産に買って帰り、最後の一滴までいただきました。11月ごろになると、収穫の時期で、由良産100%のオリーブオイルを買うことができます。
由良オリーブ工房
住所:京都府宮津市石浦429
丹後由良駅にある手作りちくわパン
京都丹後鉄道で立ち寄りたいのが、丹後由良駅。お目当ては、丹後由良駅に併設しているカフェ「アン・シャーリー」さんです。小さな駅舎内ですが、カフェスペースになっていて、小さな調理場でパンを焼いています。ギンガムチェックのクロスが掛かったテーブルも、どこか懐かしい感じがして、不思議なくらい居心地が良いのです。
注文したのは、“ちくわパン”と、“オリーブのパン”です。“ちくわパン”に挟まれているのは、イワシの竹輪。竹輪の中には、玉ねぎとマヨネーズにサバペーストが詰まっています。おいしくて、おかわりしました。
メニューも豊富なので、ケーキも注文。テーブルに運ばれてくる頃、列車が到着して、学生さんが降りてきました。ケーキを食べながら、列車を見送るなんて、なかなかの贅沢な時間です。たっぷりくつろいでしまいました。
丹後由良駅
住所:京都府宮津市由良
天橋立ビューランドから眺める絶景
天橋立駅から、リフト(もしくは、モノレール)に乗り換えると、「天橋立ビューランド」に到着します。天橋立が一望できる外せない人気観光地です。足元には、天橋立駅を発着する列車を眺めることができます。
ビューランドの園内は、小さな遊園地のような遊具もいくつかあります。“SL弁慶号”も園内を走っていました。
天橋立ビューランド
住所:京都府宮津市字文珠
伊根湾の舟屋をめぐり地魚を堪能する
丹後半島の北部に足を伸ばせば、伊根湾の周りには、舟屋が立ち並んでいます。1階が舟のガレージで、2階が居住スペースになっています。まるで、海に浮かぶお家です。
周辺には海上タクシーが数隻、運行しているのですが、特に予約をしなくても「乗る? 大人1,000円」と声をかけてくれます。気軽に乗船することができ、伊根湾を周りながら説明をしてくれるので、たっぷり楽しめます。
伊根湾で獲れる新鮮なお刺身が食べたい!ということで、「食事処うらなぎ丸」さんに立ち寄りました。新鮮な地魚のお刺身がセットになった定食が食べられるお店です。とてもおいしかったです。
古い建物の良いところを残し、リノベーションされた店内は、とてもきれいでおしゃれでした。
食事処うらなぎ丸
住所:京都府与謝郡伊根町字平田105
東舞鶴で食べられる「出石そば」
若狭湾西部に位置する東舞鶴駅から徒歩約20分のところに、おいしい「出石(いずし)皿そば」が食べられるお店があります。わざわざ足を延ばして食べに行きたい「出石皿そば松福」さんです。5枚1組が1人前ですが、ツルツルっとなくなってしまいますので、初めから追加しておくのが良いでしょう。
レジ横には、「平和製菓」さんの「そばぼうろ」が置いてあるので、おやつに買って帰ることにしています。そばぼうろの中でも、特に軽い食感がおいしいので、お気に入りです。
出石皿そば松福
住所:京都府舞鶴市字溝尻150-13
“海の京都”に、のんびり過ごしに出かけてみてはいかがでしょうか。由良川橋梁を眺めれば、1度は列車に乗って、美しい海と川の間を渡ってみたくなるでしょう。
[All photos by Hiromi Ito]
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hiromiito 鉄道写真家
旅行会社の写真撮影ツアー同行講師。他、写真教室の講師。取材同行の他、学校写真カメラマン。食いしん坊。
鉄道写真のため全国を回る。ローカル線や蒸気機関車に乗るのも好き。鉄道の情景写真が好きで、ローカル線では地元の方と話し、名物や駅弁を楽しみながらの寄り道も大好き。
季節ごとに何度も同じ場所に出向くことも少なくなく、長時間滞在も惜しまず、見つけたものや人との出会いは最高の宝物だと思う。
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