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アレクサンドリアの大灯台がつくられたワケとは?
アレクサンドリアは古代エジプトの重要な商業貿易の中心地でした。そのため、ヨーロッパやアラビアからの船が停泊。しかし、狭い港の入り口付近は2重の岩礁だったのです。そこでプトレマイオス1世の時代に、アレクサンドリア港の近くにあるファロス島に灯台の建設を開始。
そして12年後、プトレマイオス2世の時代に完成した灯台は、四角形の基礎、中間の八角形、上部の円形からなり、高さは約134mあったといわれています。これはマンションやビルなどの40階に相当! 当時の人々はその大きさに度肝を抜かれたことでしょう。
この灯台の頂上には火を使った光源と鏡が設置し、この鏡によって太陽光や火の光を反射させて、遠くの船にアレクサンドリアの位置を知らせていたとか。
また、灯台の名は島にちなんで「ファロス」と名付けられ、それが「灯台」を意味する英語の「pharos」といった各国の言語に影響を与えたそうです。加えて、この灯台はその後の灯台建築のモデルにもなりました。
アレクサンドリアの大灯台の崩壊した理由
みなさんもご存じの通り、現在はアレクサンドリアの大灯台の影も形も残っていません。この灯台は地震や侵略により少しずつ崩壊が進み、14世紀に起こった地震で完全に崩壊してしまったそうです。とはいえ、1,700年以上、灯台として使われてきたことに驚きですよね。
また1994年以降、灯台の遺構の一部が海底から発見されており、考古学的調査が行われています。
一度はこの目で見たい! 世界のユニークな灯台3選
アレクサンドリアの大灯台は崩壊してしまいましたが、世界にはユニークな灯台がいくつもあります。今回はそのなかの3つをご紹介!
世界一高い! サウジアラビアの「ジッダ灯台」
高さ133mもあるサウジアラビアの「ジッダ灯台」は、世界で最も高い灯台です。サウジアラビアのジッダ市に位置し、紅海に面するジッダ港の入口を守る重要なランドマークとして機能。コンクリートとスチールを使用した近代的なデザインが目を引きます。
画像の灯台を周りの建造物と比べると、この灯台がどれほど大きいのかわかりますね。
荒波が押し寄せると脱出困難になる、フランスの「アルメン灯台」
アルメン灯台は、フランスの灯台のなかで最も有名といってよい灯台です。近年、嵐により荒波が灯台に押し寄せる様子を撮影した写真が、世界中の人たちの目を釘付けにしたのです。
この灯台は、フランス西部、ブルターニュ地方のフィニステール県沖に位置。高さ33mの円筒形で、石造りです。この灯台は小さな岩礁の上に建てられたため、大西洋の強い波や嵐によって作業が頻繁に中断され、1日に数時間しか作業できないことも多々あったそう。
さらに非常に孤立した場所にあるため、灯台守たちの勤務は過酷で孤独だったといいます。灯台守は、交代制で長期間ここに勤務したとか。しかし、1990年に灯台が自動化されたため、それ以降は遠隔操作で運用しています。
現存する最古の灯台! スペインの「ヘラクレスの塔」
「ヘラクレスの塔」はスペイン北西部、ガリシア州のア・コルーニャに位置し、現存する世界最古の灯台として知られています。古代ローマ時代に建設され、現在も使用されている貴重な歴史的建造物です。2009年には世界遺産に登録されました。
改築後の高さは55mの四角柱状の塔です。1世紀後半もしくは2世紀初頭、ローマ帝国のトラヤヌス皇帝の治世に建設されたといわれています。またこの灯台は、アレクサンドリアの大灯台からインスピレーションを得て建てられた可能性があるとか。
現在この灯台は、灯台として機能しているほか、ガリシア地方を代表する観光名所となっており、頂上からは大西洋の絶景を楽しめますよ。
[参考]
世界の七不思議、千年働いた超巨大「アレクサンドリアの大灯台」|ナショナルジオグラフィック
Britannica
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