“インド宗教芸術の宝庫” 34の石窟からなる「エローラ石窟群」
約500年かけてデカン高原の岩山を掘削してつくられた「エローラ石窟群」は、南北2kmにわたり34の石窟で構成されています。
仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の3つの宗教エリアに分かれており、仏教の12の石窟、ヒンドゥー教の17の石窟、ジャイナ教の5つの石窟が並んでいます。
なかでも、第16窟のカイラーサナータ寺院とその彫刻は圧巻! シヴァ神などヒンドゥー教の神々を祀った“ヒンドゥー教美術の最高傑作”といわれています。
完成まで150年以上かかった寺院も!「エローラ石窟群」のトリビア4選
今から1,000年以上前につくられた「エローラ石窟群」には、トリビアがいっぱいです。ここでは4つを厳選してご紹介します。
完成まで150年以上もかかった寺院がある
一枚岩を彫ってつくられた「カイラーサナータ寺院」は、高さ約32m、幅約45m、奥行き約85mにもおよびます。固い玄武岩をノミと鎚を使って削り、完成までに150年もの歳月が費やされたそう! 石工は7世代にも渡ったとか。
音響効果が高まる石窟がある
“大工の石窟”と呼ばれる、第10窟の「ヴィシュヴァカルマ窟」は、内部の天井が肋骨状のアーチ構造を持ち、音響効果を高める設計となっているそうです。当時の建築家たちの高度な知識と技術には驚かされますね。
3つの宗教の共存している
エローラ石窟群には、仏教(第1~12窟)、ヒンドゥー教(第13~29窟)、ジャイナ教(第30~34窟)の石窟が存在。これらの石窟が同じ場所に隣接していることから、古代インドの宗教的寛容さと多様性を象徴しており、異なる信仰が平和的に共存していたことを示しています。
未完の石窟が存在する
エローラ石窟群には、未完のまま残された石窟も。なぜ工事が中断されたのかについては、資金不足や政治的変動といったさまざまな推測がなされているそうです。
「エローラ石窟群」の見どころ3つ
ほかに類を見ない3つの宗教施設が共存する「エローラ石窟群」を訪れたら必見のスポットをご紹介します。
「カイラーサナータ寺院(第16窟)」
ヒンドゥー教の石窟群の中心であり、エローラ最大の見どころです。一枚岩を上から下へと削り出して造られた壮大な建築物で、柱や壁面に描かれた神々やゾウ、獅子といった動物の精巧な彫刻が見事! この寺院には、ヒンドゥー教の最高神であるシヴァ神が祀られています。
「ヴィシュヴァカルマ窟(第10窟)」
肋骨を彷彿させる美しいデザインの天井がインパクト大な「ヴィシュヴァカルマ窟」も要チェックです。大きな仏像が安置されていて、神秘的な雰囲気が漂っています。
「ジャイナ教(第32窟)」
ジャイナ教石窟のなかで最も有名なのは、第32窟です。天井には大きな蓮の花などの精巧な彫刻が見られます。ぜひ仏教、ヒンドゥー教の石窟と見比べてみてくださいね。
住所: Ellora Cave Rd, Ellora, Maharashtra 431102, India
電話:+91-240-2400620
交通アクセス:アウランガーバード空港から車で約1時間
公式サイト:https://asi.nic.in/pages/WorldHeritageElloraCaves
[参考]
世界遺産詳解
unesco
Britannica
エローラ石窟群 〜 1000年以上前の傑作!エローラ石窟群|TBS
エローラの洞窟寺院|一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
[All photos by PIXTA]