ミラノ旅行、まず最初にすべきこととは?
もしあなたや周りの方が「初めてミラノに行くんだ」と考えていたら、一番最初にすべきなのは「最後の晩餐」の予約です。「最後の晩餐」とはレオナルド・ダ・ヴィンチが手掛けた傑作で、「ミラノといえば」の観光地です。しかし、「最後の晩餐」を見るチケットは、通常3カ月先までSOLD OUT。
イタリアの観光地の中で、一番難易度が高いかもしれない場所なのです。もし、あなたが「最後の晩餐」を目的にミラノを訪れるなら、飛行機よりも先にこのチケットを予約すべきと言っても過言ではありません。実際に、多くの旅行者が予約が取れずに断念しているのも事実。ここからは、「なぜこれほど予約が難しいのか?」を紹介します。
「最後の晩餐」見学がなぜここまで人気なのか
「最後の晩餐」は、世界的に有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたイエス・キリストとその弟子たちが囲む聖書のシーン。ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の当時食堂だった空間に描かれた、大きな壁画作品です。
躍動感のある描写、遠近法を使ったテクニックなどから、ダヴィンチ作品の中でも傑作と言われています。そして、その名画を見るために取っているシステムが、チケット入手の難易度を高めています。それは、
- 一度に15人まで
- 見学時間はわずか15分という厳しい制限
があるためです。
なぜ15分だけ?「最後の晩餐」が特別すぎる理由は?
なぜこのような制限を設けているのでしょうか? それは、ダヴィンチが描いた材料に理由があります。
「最後の晩餐」は、実は「フレスコ画」(生乾きの状態の漆喰を塗り、それが乾かない間に水で溶いた天然の顔料で描く手法)ではなく、卵を用いるテンペラ画と油彩画の混合技法で描かれました。しかし、この技法は高温や湿気に弱く、食堂という環境に適しておらず、完成後20年ほどで絵具の剥落が始まり、黒いカビに覆われたんだそう。
さらに、第二次世界大戦での建物の崩壊の危機を乗り越え、1971年に「今世紀最大の修復」と言われるほどの修復が始まりました。1999年に修復が完了したそうなのですが、これだけ大変なことを経て存在する「最後の晩餐」。これ以上劣化させないよう、空気浄化のために見学時間を15分に限定し、壁画の保存を最優先しているのだそうです。
しかも入室する前に、私たち人間も準備が必要となります。チケットをチェックした後、謎の空間で待たされるのですが、なんとここは「気圧&湿度調整室」。「最後の晩餐」がある部屋の気圧に鑑賞者を順応させるため、事前に身体を慣らしてから入るのです。
そして、見学のあとは「最後の晩餐」の部屋の空気を完全に入れ替えるほどの徹底ぶり。そんな準備を経て迎える15分という時間は、あまりに短いようでいて、作品に真正面から集中するにはちょうどよい長さ。15分限定という貴重な時間制限によって、“短いからこそ濃密”な体験になるはずです。
公式チケットの予約は戦い!その難しさとは?
チケットはどのように購入すればいいのでしょうか? 通常は、公式サイト(https://cenacolovinciano.vivaticket.it/)にアクセスし、チケットを購入するのですが……、普通に確認すると2〜3カ月先まで埋まっています。
発売日はチケットサイトの「PRE-SALE OPENING」に次回の販売期間が書かれているので必ずチェック! 他の手段としては、毎週水曜日正午(イタリア時間)に、「少量ではありますが、翌週(月曜〜日曜)、追加の予約枠が販売される」と記載があるので、水曜日を必ずチェックします。
リセールは基本的にないので、本当に「最後の晩餐」が見たければ、ミラノを訪れる日をこの予約に合わせるほどの心持ちでいましょう。
確実に見るには「ツアー」だが高額
「他に方法はないのか?」と思うはずです。そんなときは、旅行会社が提供する市内観光ツアーがセットになった現地ガイド付きツアーなら、予約枠を直近でも手配することができます。料金の目安は、
筆者が参加したのも現地ツアーで、日本人の方の説明付きでした。公式でチケットを購入するよりも3〜4倍の値段ですが、最後の手段として「高いけどどうしても見たいなら価値あり」です。
https://www.kkday.com/ja/product/136000
見学時のポイントと注意点
苦労の末にようやくチケットを手に入れても、他にも注意点はあります。以下は必ず守りましょう。
- パスポートなど身分証を必ず持参
- 集合時間は見学の30分前厳守
- チケットをチェックしたのち、入場時間の15分前に入口に来ていないといけない
- 飲食物・大きな荷物はロッカーに預ける必要あり
- 写真撮影OKだがフラッシュ不可、動画NG
このような条件はありますが、修復するに至った大変さやこのような保存環境に関する基礎知識を知っておくと、より感動的な体験になることは間違いなしです。
そして、見学後、お土産ショップがあるので何か購入を検討している人は、ロッカーに財布を預けずに持って入るようにしましょう(ロッカーに取りに行ってからお土産屋さんに戻るのが難しい設計になっています)。
さらに忘れがちなのですが、「最後の晩餐」を見学する横にあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会も美しいので、訪問の際は必見です!
所在地 Via Giuseppe Antonio Sassi, 3, 20123 Milano MI, イタリア
営業時間 9:00~12:00、15:00~17:30
https://legraziemilano.it
「最後の晩餐」の他に、旅行前に手配しておきたいミラノのスポット
「最後の晩餐」ほどのハードさはありませんが、ミラノに行くならあらかじめ手配しておきたいのは以下のアクティビティたちです。
- ドゥオモの屋上テラス入場チケット(時間指定あり/朝は人気)
- ブレラ美術館(オンラインで事前購入可能)
- サン・シーロ・スタジアム(サッカー観戦なら試合日程をチェック)
- ミラノファッションウィークの時期はホテル予約が争奪戦に。早めに予約を
楽しいミラノ旅行にするためには、準備が特に大事! まさかの飛行機のチケットより早く買わないといけない!? そんな盲点があったミラノ旅行ですが、傑作の絵画は息をのむような美しさでした。一生に一度は見たい場所としておすすめです。その際は、上記の点をご注意ください。
所在地 Piazza di Santa Maria delle Grazie, 2, 20123 Milano MI, イタリア
営業時間 8:15~18:45
定休日 月曜日
https://cenacolovinciano.vivaticket.it