「魔女の宅急便」や「紅の豚」の世界を思わせる絶景の数々で人気急上中のクロアチア。実はそのすぐ北に位置するスロヴェニアも、知られざる魅力を秘めた美しい国です。
四国と同じくらいの小国でありながら、豊かな自然に恵まれたスロヴェニアでは、山や洞窟、湖、ビーチといった多彩な自然風景と、中世の面影を残すメルヘンチックな町々に出会えます。
なかでも「アルプスの瞳」とも称されるブレッド湖は、絵のように美しい風景として有名。隣国クロアチアとあわせて、絶景ハンティングに出かけてみませんか。
スロヴェニアってどんな国?
スロヴェニア共和国は、イタリア、オーストリア、クロアチア、ハンガリーと国境を接する中央ヨーロッパの国。面積は四国とほぼ同じで、人口はわずか200万人ほどの小国です。
かつてはユーゴスラビアの構成国のひとつでしたが、1991年に独立を宣言。現在はEU(ヨーロッパ連合)の一員として新たな道を歩んでおり、通貨はユーロを採用しています。
公用語はスラヴ語派のスロヴェニア語ですが、数か国語を操る人も多く、ドイツ語、英語、イタリア語がよく通じます。
日本からスロヴェニアへ
2018年1月現在、日本とスロヴェニアを結ぶ直行便はなく、オーストリアのウィーンやドイツのフランクフルトなどで最低1回は乗り換える必要があります。乗り換え時間を含めた日本からスロヴェニアまでの所要時間は15時間前後。日本との時差は8時間(サマータイム実施期間は7時間)です。
日本パスポート保持者は、観光目的で90日以内の滞在ならビザは不要です。ただしシェンゲン協定実施国のため、ほかのシェンゲン協定実施国もあわせて旅行する場合は、すべてのシェンゲン協定実施国の滞在期間が、あらゆる180日の期間内で90日以内でなければなりません。
スロヴェニア自体は小さな国のため、すぐ南に位置するクロアチアとあわせて周遊プランを組むのが一般的です。
豊かな自然に恵まれた美しい国
スロヴェニアの魅力は、なんといっても豊かな自然。首都のリュブリャナ周辺の北部にはユリアンアルプスが広がり、標高2864メートルのトリグラフ山を中心に、オレンジ屋根の可愛い町が点在しています。
南部の内陸部には、スロヴェニアが世界に誇るポストイナ鍾乳洞や世界遺産のシュコツィヤン鍾乳洞があり、アドリア海に面した沿岸では碧い海を臨む中世の町々に出会えます。
そして、長きにわたってハプスブルク家の領土だった東部では、天然温泉とバロック風の町並みが待っています。豊かな自然と歴史に恵まれたスロヴェニアは、小国ながら多彩な風景がつまった美しい国なのです。
首都・リュブリャナ
スロヴェニア各地への観光の拠点となるのが、首都のリュブリャナ。日本人から見れば、一国の首都とは思えないほど小規模な町ですが、ルネッサンスやバロック、アールヌーヴォーといったさまざまな様式の建築物が融合した芸術的な町並みが魅力です。
町を見下ろすリュブリャーナ城が建つ緑の丘の丘に、町の中心をゆったりと流れるリュブリャニツァ川、赤レンガの屋根をもつ建物やバロック様式の教会の塔・・・自然と人工物が見事に調和した穏やかな風景に心癒されます。
アルプスの瞳・ブレッド湖
スロヴェニアきっての観光スポットが、その美しさを「アルプスの瞳」とたたえられるブレッド湖。
コバルトブルーの絵の具を垂らしたかのような湖に、バロック様式の教会が建つ小島がひっそりと浮かび、青く澄んだ湖面が背後にそびえるユリアンアルプスの山々を映し出します。言葉を失うほど気高く美しい景色は、まさに絶景。
ブレッド湖は恋愛のパワースポットとしても名高く、湖に浮かぶブレッド島に立つ聖母被昇天教会の鐘を3度ならすと、恋が叶うといわれています。
ヨーロッパ最大のポストイナ鍾乳洞
全長およそ27キロメートル、ヨーロッパ最大を誇る洞窟が、ポストイナ鍾乳洞。10万年前から、ピヴカ川の水を少しずつ吸収し、石灰岩が削られることでできたもので、洞窟内は太古からの自然の営みが造り上げた不思議な形の石でいっぱいです。
ポストイナ鍾乳洞の人気の秘密は、トロッコ列車に乗って洞窟内を2キロほど疾走した後、洞窟のハイライト部分をガイドの説明付きで歩いて回るという大充実のガイドツアー。普段は自然スポットにはさほど興味がない人でも、インディ・ジョーンズ気分で地底探検が楽しめるはずです。
イタリア風の美しき港町・ピラン
トリエステ湾とピラン湾に挟まれた半島の先端に位置する港町、ピラン。人口わずか4800人ほどという小さな町でありながら、中世からバロック時代にかけての町並みがそのまま残されている美しい町です。
長きにわたってヴェネツィア共和国の支配を受けたため、町並みはイタリア風。クロアチアのドゥブロブニクにも似た、碧いアドリア海とオレンジ屋根の建物が連なる旧市街とのコントラストが生み出す爽やかな絶景が楽しめます。
ここまで来たらクロアチアはもうすぐそこ。ピランからそのまま南下して、クロアチアのアドリア海沿岸の町々を訪ねてみるのもいいでしょう。
優しい風景の数々がじわじわと心に迫ってくるスロヴェニアの旅。まだ見ぬ美しい風景が詰まった小さな国へ、さあ出かけましょう。
[All Photos by shutterstock.com]
Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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