メキシコで3月から4月にかけて、紫色の花をたくさんつける大きな木を見かけます。
青紫の花が印象的な木
その名はJACARANDA(ハカランダ)といい、中南米、カリブの日射しの強い地域に育つ木。
メキシコでは、春の訪れとともに花が咲き、満開になるとあっという間に散っていくことから、日本の桜を思い起こさせます。
散って、地面に紫の花びらが降り積もっている姿も美しい
花の見ごろが短いゆえに、ハカランダの咲く時期には心ときめくものです。
大都会メキシコシティにもたくさんのハカランダを見られるスポットがたくさんあります。
世界文化遺産にも登録されるメキシコ国立自治大学(通称UNAM)の中央キャンパス内は自然が多いことから、ハカランダの咲いている場所がいくつかあります。
UNAM中央キャンパス内の経済学部の中庭にあるハカランダ © Miho Nagaya
メキシコシティのコンデサ地区にある通り、アベニダ・メヒコ(Avenida Mexico)や公園のパルケ・メヒコ(Parque Mexico)周辺にはハカランダがたくさんあります。
セントロ地区の国立劇場、ベジャス・アルテス(Bellas Artes)の建物の背後に咲くハカランダもとても美しいです。
ベジャス・アルテスの南側に生えるハカランダ。木の下でくつろぐ人も多い。© Miho Nagaya
ベジャス・アルテスのハカランダ。自然が生んだ美しい紫色が印象的 © Miho Nagaya
そしてなんといっても、世紀の建築家ルイス・バラガンの最後の作品であるハカランダのために建てられた家、ヒラルディ邸。
ヒラルディ氏からの建築の依頼をされたバラガンが、建築業から引退予定だったため、当初はその依頼を断わっていたのですが、
建設予定地を訪れた際に、ハカランダの大きな木が在ったことから、仕事を引き受けたという逸話があります。
桜と同様に、人びとに特別な想いを抱かせる不思議な木、ハカランダ。
春にメキシコを旅する人にとって、格別な思い出を与えてくれることでしょう。