「今日はいい天気ですね」「朝晩寒くなりましたね」—挨拶とともにかわされる、天気にまつわる会話。台風が近づいたり、雪が降ったりするとニュースの視聴率が上がり、雨や雲など天気にまつわる自然現象につけられた名前の多さは、それだけで図鑑になるほどです。
私たち日本人は、なぜこんなに天気を気にするのでしょうか。
多様な“天気”を生み出す日本の四季
言うまでもなく、美しい四季の移り変わりは日本の魅力のひとつです。
これほど小さな国の中に、実に多様な温帯の気候が詰まっている日本。
空を眺め、くるくると変わるその様に名前を与え、変化を敏感に読み取ってきたのが日本人です。
(次のページに続く)
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<1>色気ある空気の国
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<2>世の中の見え方はその人の情緒
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<3>私は日本人というスミレ
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<4>『モアナと伝説の海』は吹き替え版がいい
いつも空を眺め、形に名前を与えてきた
例えば雨。「春雨」「梅雨」「五月雨」「氷雨」「時雨」「秋雨」「夕立」など季節や時間によるものや、「霧雨」「小雨」「大雨」「村雨」「豪雨」「土砂降り」「にわか雨」など降り方や強さを表したものと、さまざま。
書籍『雨の名前』(高橋順子著/小学館)には422もの雨の名前が紹介されているそうです。これほど多くの名付けを雨にできるのは、おそらくこの国だけではないでしょうか。
天気の表現を心の表現にも使う
一方で、「気持ちが晴れる」「曇った心」「お天気屋」「女心と秋の空」など、天気を表す言葉で心の状態を表現することも。“空気を読む”という文化も、季節の移ろいに風情を感じ、情緒を重んじる日本人ならではのものかもしれません。
「お年寄りは天気の話ばかり」そう敬遠する人もいますが、静かな生活をするほど、人は“天”の“気”に心身を揺さぶられるものです。生命力にあふれ、刺激的な楽しみで満ちている若いときは気づかない影響を、日々、天から受けるのです。しかしそれこそが農耕民族だった日本人の、本来の姿だと思います。
昨今ではその天気も、かつてない集中豪雨や記録的な大雪など異常気象が心配されています。地球温暖化が要因ではないかとも言われますが、その異常気象が続くことでこの国の情緒までが失われないことを、願ってやみません。
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<1>色気ある空気の国
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<2>世の中の見え方はその人の情緒
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<3>私は日本人というスミレ
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<4>『モアナと伝説の海』は吹き替え版がいい
[All Photo by shutterstock.com]