注目の現代建築が集まる町、メキシコシティ
2014年9月2日にメキシコシティ新国際空港(Nuevo aeropuerto de la Ciudad de México)建設を、メキシコ大統領エンリケ・ペニャ・ニエトが発表し、その奇抜なデザインが国際的にも注目を集めています。現在のメキシコシティ国際空港のおよそ6倍である4430ヘクタールの広大な土地を使う計画で、候補地にはメキシコシティの隣のメキシコ州テスココ地区が選ばれています。
メキシコシティ新国際空港建設計画発表ビデオ
http://youtu.be/5NOoKNYinsg?list=UU6mqLvJpHIp91lKuJM7_b6A
手がけるのは、空港建築家ノーマン・フォスターのチームである Foster+Pertnersと、メキシコで最も注目される建築家フェルナンド・ロメロが率いるFR-EE(Fernando Romero Enterprise)、そしてオランダの空港建設プロバイダーNACO (Netherlands Airport Consultants)のコラボレーションチーム。
しかし、このゴージャスな空港の建設には地元市民の合意を得ていないことを含めて、いろいろな問題もあり、完成までに時間はかかりそうです。
この新空港デザインを「メキシコにしては、ずいぶん斬新だな」と思う人が多いかもしれませんが、この国はかねてから、近代建築の巨匠ルイス・バラガンをはじめとする革新的建築家を輩出し続ける場所でもあります。
民芸、遺跡、食文化とさまざまな魅力があるメキシコですが、現代建築巡りも、知られざるメキシコを知る経験となるに違いありません。そんなメキシコの注目の現代建築4件を案内していきましょう。
銀色に輝く美術館
メキシコシティ新国際空港の建築家のひとりでもある、フェルナンド・ロメロは独特なデザインが特徴です。その彼の代表作のひとつが、ソウマヤ美術館プラサ・カルソ(Museo Soumaya Plaza Carso)
全面シルバーのモザイクで覆われている©Miho Nagaya
このソウマヤは、フォーブスの長者番付けでビル・ゲイツを越えて一位の資産家(メキシコ通信会社テルメックスの会長兼最高経営責任者)カルロス・スリムが、彼の貴重なコレクションを一般公開する美術館。ロダン、ルノワール、ダリといった有名芸術家の作品や、メキシコのプレヒスパニック期の出土品まで展示。なんと、入場無料というのも資産家ならではの太っ腹さです。
この美術館があるプラサ・カルソは、テルメックス本社や高級ショッピングモール、公園をふくむ複合施設でメキシコシティのなかでも注目を集めるスポットのひとつ。
ちなみにロメロの妻はカルロス・スリムの娘であるというゴシップも付け加えておきましょう。メキシコでは一流建築家になるのに、奥さん選びが重要という定説があるとか、ないとか……。
建物の内部には、6つの展示スペースがある©Miho Nagaya
思わずほっこりするオウム貝の家
オーガニックをテーマにした建築を追求するハビエル・セノシアイン(Javier Senosiain)が手がけ、2007年に完成したメキシコ州ナウカルパンの巻貝のような住宅、「オウム貝の家」(Casa Nautilus)。
内部は壁で区切らず、螺旋の形状を生かしたもの。暮らすのが楽しくなりそうな家です。
セノシアンのホームページの解説によれば、作るのに相当苦労したようですが、とても楽しい経験だったと語っています。
平穏をテーマにした斬新なデザインのレストラン
モダンな高級日本料理店として定評のあるTORI TORI のメキシコシティの高級エリア、ポランコ地区にある店。メキシコの新鋭建築家Michel Rojkind率いるチーム、rojkind arquitectos が手がけ、2011年に完成しました。静謐かつ瑞々しい空間を、有機的なラインを描く外壁デザインと植物を多用することで、見事に生み出しています。2011年にアメリカの建築雑誌、Interior Designのレストラン部門で最優秀内装デザイン賞受賞しています。
書庫が空中に浮かぶ?世界で最も先鋭的な図書館
アメリカの権威ある建築雑誌Architectural Recordで、「世界でもっとも先鋭的でクールな図書館」と評された、メキシコシティ市立バスコンセロス図書館(Biblioteca Vasconcelos)。
まるで宙に浮いているような書棚群が、すべてシンメトリーに配置されている圧巻の空間です。メキシコを代表する現代建築家のアルベルト・カラチ が設計し、2006年にオープンしました。
超未来的なのに、普遍的な神々しさや、美しさを秘めています。
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