【日本初上陸】現代アートの鬼才「ガブリエル・オロスコ展」

Posted by: Miho Nagaya

掲載日: Feb 22nd, 2015

革命的芸術家ガブリエル・オロスコの国内美術館での初個展が開催中

メキシコ東部ベラクルス州ハラパ出身の現代美術アーティスト、ガブリエル・オロスコ(1962〜)。1990年代より国際的に脚光を浴び、ニューヨーク近代美術館、テート・モダン、グッゲンハイム美術館など、世界の主要美術館で大規模な個展を行ってきました。現在はニューヨーク、パリ、メキシコシティを拠点にしながら、一所にとどまることなく、世界各地で制作活動を続けています。

路上に打ち捨てられたようなもの、当たり前に使われている日用品などから、宇宙的な時間や、世界の起源を読み取らせるかのような作風は、現代美術界に多大な影響を与えています。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ《La DS カーネリアン》2013年 変形した車 (C)東京都現代美術館

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ《ピン=ポンド・テーブル》1998年 変形卓球台、卓球ラケット、ボール、水槽、ポンプフィルター、蓮 金沢21世紀美術館 蔵 (C)東京都現代美術館

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ《私の手は私の心臓》1991年 チバクローム2点組 (C)東京都現代美術館

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ《コモン・ドリーム》1996年 チバクローム (C)東京都現代美術館

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ 《猫とスイカ》1992年 タイプCプリント (C)東京都現代美術館

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
ガブリエル・オロスコ 《無題》 2001年 グァッシュ/航空券 フーメックス財団蔵 (C)東京都現代美術館

そんな彼の日本の美術館での初個展が、東京都現代美術館にて2014年1月24日より開催中の、『ガブリエル・オロスコ展—内なる複数のサイクル』です。立体、写真、キャンバスといったさまざまな作品が展示されています。日常的に世界を旅をしながら生みだされたオロスコ作品の数々が、日本で一堂に会する貴重な機会です。

[東京現代美術館/ガブリエル・オロスコ展-内なる複数のサイクル]

オロスコの独特な世界に触れたら、彼の生まれ育ったメキシコに興味を持つ人も多いことでしょう。ここでは、オロスコと深く関わりのあるメキシコの3スポットを案内していきましょう。

オロスコの作品がある先鋭的図書館(メキシコシティ)

メキシコを代表する現代建築家のアルベルト・カラチが設計した、メキシコシティの市立バスコンセロス図書館は、アメリカの建築雑誌Architectural Recordで、「世界でもっとも先鋭的でモダンな図書館」と評されています。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
メタリックな書庫がシンメトリーに並ぶ図書館 (C) Kae Kihara

その圧巻の風景のなかに浮かぶ、オロスコの手がけたオブジェが『Matrix Movil』です。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
正面玄関からすぐの場所にあるのが、『Matrix Movil』 (C) Kae Kihara

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
『Matrix Movil』は図書館の重要なアイコンにもなっている (C) Kae Kihara

恐竜なのか、鳥なのかもわからない、不思議な生き物の骨格と、未来的な図書館の風景が融和し、新鮮な感覚を呼び覚まします。

[Biblioteca Vasconcelos]

オロスコが関わる現代アートギャラリー(メキシコシティ)

オロスコと、仲間のアーティストたち(ホセ・クリ、モニカ・マンスット)によって生まれたアートギャラリーが、Kurimanzutto(クリマンスット)です。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
メキシコの巨匠建築家アルベルト・カラチによって建てられた Kurimanzutto (C)Kurimanzutto 

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
Kurimanzuttoギャラリー内部 (C)Kurimanzutto 

バスコンセロス図書館を手がけた建築家アルベルト・カラチによって建てられ、メキシコシティのチャプルテペックの森近くにある、閑静な住宅街のなかにあります。内外のアーティスト作品の展示を行い、メキシコの現代アート界を刺激し続けています。

[Kurimanzutto(クリマンスット)]

オロスコのアイデアから生まれた、普遍的な家(プエルト・エスコンディード)

メキシコ南部オアハカ州の太平洋側の都市、プエルト・エスコンディード。ビーチリゾートとして有名なこの場所に、オロスコのアイデアから生まれ、建築家のタチアナ・ビルバオとカルロス・レギサモが手がけた別荘『カーサ・オブセルバトリオ(天文台の家)』があります。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
壮大なスケールを感じる『カーサ・オブセルバトリオ』 (C)Iwan Baan

屋上に設置された大きな円形のプールのある建物と、目の前に広がる海や崖、生い茂る植物の緑が美しく調和しています。

世界文化遺産に登録されるインド・ジャイプールの天文台「ジャンタル・マンタル」の実物大レプリカでもあるこの家は、オロスコの宇宙へかける想いまで伝わってくるようです。

ブラジルの建築雑誌AUのために制作された映像では、ジャンタル・マンタルと、 カーサ・オブセルバトリオが比較されています。

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
コンクリートや木を使い、シンプルな構造 (C)Iwan Baan

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
プールの下にはベッドルームなどのスペースが (C)Iwan Baan

現代アートの鬼才、ガブリエル・オロスコ作品を日本とメキシコで楽しむ
夜のライトアップされたプールも素敵 (C)Iwan Baan

この別荘は残念ながら一般公開されていませんが、一度このプールに浸かってみたいものですね。

PROFILE

Miho Nagaya

長屋美保 ライター

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

メキシコシティの路地裏から見た生のラテン文化や社会を追い続けるフリーライター兼なんでも屋。雑誌、WEB、ラテン圏アーティストのCD解説、映画、コンサートのパンフレットなど、メキシコを中心としたラテンアメリカの記事を日本の媒体に執筆するほか、リサーチやスペイン語⇔日本語翻訳も行う。情報サイトAll Aboutのメキシコ公式ガイドでもある。

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