ここは東京から南へはるばる358km、伊豆諸島最南端に位置する「青ヶ島」。SF映画に登場しそうな空想的な姿をしたこの青ヶ島は、近年国内のみならず世界中から注目を集めています。
自然が創りだした秘密基地
(C)青ヶ島村役場
周囲を断崖絶壁と青い海に囲まれた青ヶ島。島の中の様子は大地にできた大きなくぼみの中にすっぽり隠し、人の上陸を拒むかのようなその姿はまるで秘密基地のよう。
(C)井川俊彦
青ヶ島の一番の特徴は、島のくぼみの中に、もうひとつ小さな島できたようなユニークな型。「二重式カルデラ火山」の特徴をもつ島で、世界的に見てもこのようにきれいな形をした二重式火山は大変珍しいそうです。
(C)青ヶ島村役場
また、おもしろいことに、青ヶ島内の住所はすべて「〒100-1701東京都青ヶ島村無番地」。島に手紙や荷物を届けたければ、宛名が重要なポイントとなるのだとか。そんなユニークな青ヶ島、ますますミステリアス感が高まりますね。現在青ヶ島には約200名の住民が暮らしていますが、「日本一人口の少ない村」としても知られています。
慌しい都会の暮らしを忘れさせてくれるユートピア
(C)青ヶ島村役場
近年観光で訪れる人も少しずつ増えており、青ヶ島にはいくつか宿泊施設やキャンプ場がありますが、賑やかな娯楽施設や商店街などはなく、ただただ静かで美しい自然が広がっています。
(C)青ヶ島村役場
活火山である青ヶ島では、水蒸気が噴出しているたくさんの穴があります。島の人々はこの穴を「ひんぎゃ」と呼ぶそうですが、「火の際」が語源になっているのだとか。昔電気がない時代、島の人々はひんぎゃを利用して料理をしたり、暖をとっていたそう。現在でもサウナや地熱釜として利用されています。青ヶ島で採れた新鮮な食材を、ひんぎゃの熱を利用した地熱釜でゆっくりじっくり調理した料理はきっと格別ですね！ また、青ヶ島の名産品としてひんぎゃの熱を利用して作った「ひんぎゃの塩」もお土産に人気です。
(C)青ヶ島村役場
ユートピアのように穏やかで、ゆったりとした時間の流れる青ヶ島。潮風に吹かれながら深い青の太平洋を眺め、木々や緑が生い茂る小道を歩き、夕日を眺め、ゆっくりと時間と手間隙をかけて作られたおいしいごはんを食べるだけで、慌しい日常を忘れ心の底からリフレッシュができそうです。
満点の星空に出会える
(C)井川俊彦
青ヶ島の隠された最大の魅力は夜。無数の星がどこまでも広がり、実が震えるほど神秘的で美しい空間が島全体を覆います。特に島内で一番高い場所のひとつである「尾山展望公園」からの眺めは格別！ 空を遮るものや人工の光のないこの場所で、目に映るのは満点の星々だけ。母なる宇宙に抱かれ、日々の悩みやストレスも空の彼方へ飛んでいってしまいそう。
こんな神秘的な美しさに満ちた島が日本に残されていたのですね。
※Webサイト「星の箱船・青ヶ島」には言葉を失う程美しい青ヶ島の星空の様子が紹介されています。写真家の井川俊彦さんが撮影した数々の夜空の様子が「星空の写真館」に掲載されているので、ぜひご覧ください。
PROFILE
小坂井 真美 ライター
クロアチアの首都ザグレブ在住。現地での色々な仕事の傍ら、フリーライターとしてクロアチアを中心とした南東欧諸国について執筆。趣味は街歩き、食べ歩き、寺歩き、そぞろ歩き。仲間、明るい太陽とおいしいごはんがあれば幸せ。人生は旅。たくさんのモノ・人・土地と出逢いをエネルギーに、日々心の赴くままに邁進中。
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