ユーラシア大陸の西の果て、大西洋を望むポルトガル。首都リスボンは中世の佇まいを残した街並ながらも、親しみやすくほっとするような雰囲気が魅力。今回はどこか懐かしさも漂う古都リスボンをご紹介したいと思います。
白壁の家々、オレンジ色の屋根とテージョ川の美しいコントラスト、突き抜ける青い空。「7つの丘に囲まれた街」という名前を持つリスボンは、どこから眺めても絵になるような風景が続きます。
時が止まったかのようなアルファマ地区
1755年、街を壊滅させたリスボン大地震の被害を奇跡的に免れたアルファマ地区。ノスタルジックを感じる古い街並に、レトロな路面電車がとけ込んでいます。
下町情緒あふれるアルファマ。洗濯物さえも絵になる風景に。
アズレージョで彩られた街並み
街を彩るアズレージョ(装飾タイル)。
15世紀ごろイスラム圏から伝わり独自の発展を遂げたものだと言われています。個性あふれるアズレージョを探しながら街歩きするのも楽しそう。
素朴で懐かしいポルトガル料理
(C)nosuke
ポルトガル名物イワシの炭火焼き。シーズンの6〜7月にかけて、街を歩けば煙をもくもくとたててイワシを焼く屋台を目にします。香ばしい香りが最高!
(C)nosuke
ポルトガルのイワシは日本のものよりもややふっくら。脂もたっぷりのっています。粗塩をまぶしたシンプルな味付けは、日本人にもうれしいテイストですね。
ベレン地区にある1837年創業の老舗、Casa Pastéis de Belém。ポルトガルの国民的おやつとして親しまれているエッグタルトで有名なお店です。
(C)facebook/Pastéis de Belém – Página Oficial
パイ生地にカスタードクリームを詰めて表面を焼いたエッグタルト。サクサクした生地は、一度食べたら忘れられない幸せの食感。
ファドの歌声に導かれて
リスボンは昼と夜の雰囲気が変わるのも魅力。太陽がゆっくりと沈み街が暮れゆく時、もう一つの表情を見せるリスボンのはじまりです。街灯のやさいしい光に映える路面電車。昼間は陽気で明るいリスボンですが、夜はしっとりと大人の恋が似合うような街に。
異国情緒あふれる小さな路地。恋人と手をつないで歩いたら、最高にロマンティックな気分になりそう。
(C)A SEVERA
ポルトガル人の心を表現する時に「サウダージ」という郷愁・哀愁などと訳され、独特な感情を持つ言葉があります。このサウダージを歌いこんだものが「ファド」。リスボンには食事をしながらファドを聴く店、ファドハウスが多くあります。情熱と哀愁に満ちた歌声は心が揺さぶられそうです。
【YouTube/Amália Rodrigues Fado Português】
ファドの女王として知られるポルトガル人の歌手アマリア・ロドリゲス。世界中にその歌声を披露して、ファドという音楽を広めた最大の功績者として有名。国民的歌手として、亡くなった今でも彼女の墓に花をたむける人は後を絶たないとか。
絵のように美しい家々、路面電車が映える坂、そして郷愁あふれるファドの響き。素朴な魅力あふれるリスボンをゆっくりと旅してみたいものですね。
[Photo by Shutterstock.com]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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