死後も旅するというのは、自由を愛する旅人の大いなるロマンですね。
チベットやモンゴルの一部などでは、魂の抜けた身体を「天へと送り届ける」と信じて行われる鳥葬。重力から開放された魂は、鳥に乗って空へと旅立ちます。しかし鳥葬はかなりハードルが高そうですよね。
一般的には今生の別れを告げたあと、日本では火葬、海外の多くでは土葬。お墓に入り、残してきた家族を草葉の陰からそっと見まもるのも悪くはないけれど、少しだけ変化に富む死後でありたい。そう思う方が増えつつあるのか、昨今お墓に眠る以外の選択肢に広がりがあるのを、ご存じですか?
風に乗って野山へ旅を続ける
房総台地に5万坪の里山を所有する「清風会」では、パウダー状の遺骨は祭壇に置かれ、風の吹くまま大地に戻ります。まさに「千の風になって」の如く、風による散骨で自然の中に開放される自然葬という選択です。
大地のぬくもりと自然の一部になる
梅になりたい、桜のそばにと告げ、その遺灰を樹木の根元に埋葬してもらい、自然に戻る樹木葬。樹木に魂を宿らせて、星降る夜、紅に色づく空、小鳥のお喋り、しのつく雨、日々の移り変わりを感じながら、大地と共に生きる選択。
海になって世界中を旅し続ける
世界中の陸地をつなぐ海に散骨してもらい、地球を旅し続けるという選択も。
宇宙までいって星になる
宇宙旅行が昨今25万ドルで募集されましたが、それでも気軽に払える金額ではありません。けれど死後なら、20万円前後の宇宙葬で地球の外へ旅に出ることができるようになりました。例えばSoraeでは、カプセルに移した遺灰を人工衛星で打ち上げ、数か月から数年間の地球周回の旅をした後に無害な形で地球の大気圏に再突入し、最後は流れ星になります。
地球の青さを感じる旅にでるという選択は、大いなるロマンを感じますね。
キノコになる
近年、それを着て土に埋められると、仕込まれた菌糸が分解をして全てを土に戻すというキノコスーツが提案されました。もう少し待てば実用化されるかもしれません。
束縛でも旅し続けるのでもなく、死後は無になりたいというあなたへの選択肢では?
ロマンを求める旅人のあなたは、死後になにを選ぶのでしょう。
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