中世の面影を残す美しい町アレッツォ
1997年公開のイタリア映画、世界中を感動の渦に巻き込んだ「ライフ・イズ・ビューティフル」。アメリカのアカデミー賞では、イタリア映画ながら外国映画枠を越え、3部門で受賞を果たした名作です。
そのロケ地となったのがイタリア・トスカーナ州の町アレッツォ。映画で描かれていた中世の面影を残す美しいイタリアの町並みは、映画のセットではなかったのです。映画の世界そのままの美しい町アレッツォをご紹介します。
古き良きイタリア、映画の世界がそのままここに
こちらは町の中心「グランデ広場」。
主人公が妻と息子を自転車に乗せてこの広場を一気に駆け抜けるシーン、はじけるように笑う子供の笑い声、愛し合う家族の幸せいっぱいの印象的な場面で、記憶にある方も多いかもしれません。その他たくさんのシーンを撮影したのがこの広場です。
撮影場所には、このような撮影記念の看板があり、撮られたシーンの説明とその場面の印象的な台詞が書かれています。「ああ、あのシーンのあの場所!」とすぐ分かるので、見て回るのも楽しくなります。
主人公グイドが思いを寄せるドーラのために赤い絨毯を広げるシーンはこちらのドゥオーモ前の階段で撮影。
こちらロッジア宮殿の回廊は、グイドとドーラが散歩するシーンに使われています。この散歩の間にドーラはグイドのユーモアあふれる人柄に次第に惹かれていきます。
二人の散歩のシーン、その他さまざまなシーンに登場するサン・フランチェスコ広場。
ドーラが勤める小学校がある設定に使われたパディア広場。
どこも映画で見たままで、撮影箇所を歩くごとに、まるで自分が映画の世界に入り込んだような気がしてきます。
映画の撮影場所以外にもたくさんの美しさが見つかる町
月に1度大きなアンティーク市が催されるアレッツォは、古き良きものを大切に守る町。その町並みからも、ここに住む人々が古い町を愛し、大切に守っていることが伺えます。
それは見過ごしてしまいそうな小さな路地にも、
町の人たちが日々の生活に使う普通のお店にも、古くて良いものを大切に使っている温かな趣にあふれています。
そうやって自分の町を愛し、大切にすることは、自分の家族を愛し、大切にすることにも似ていて、それこそ「ライフ・イズ・ビューティフル」美しい人生と言えるのかもしれません。実際にこの地を訪れて、ベニーニ監督がこの町を映画の舞台に選んだ理由がなんとなく分かったような気がしました。
映画のロケ地を訪れて、その映画の世界に迷い込んでみる、それもひとつの旅の形ですね。ただ旅するよりも、また違ったおもしろさがあっておすすめです。
[Photos by Ryoko Fujihara]