「一人が好きな人」に読んでほしい。妙に共感してしまう蛭子さんの幸福論

Posted by: Nao

掲載日: Mar 9th, 2016

facebookやツイッターなどのSNSが普及した今日この頃。コミュニケーションツールが便利になった一方で、なんとなく「友だちとのつながり」や「友だちの多さ」が必要以上に気にされているように感じたことはないでしょうか?

もちろん一緒にいて心から笑顔になれるような友だちや、人とのコミュニケーションは大切ですが、「必要以上の人と群れるのが苦手」「一人で行動するのが好き」という人も少なくないと思います。しかしなんとなく「絆」や「つながり」が良しとされるようなこの時代に、「一人が好き」と堂々と言うのは少々ためらってしまうことも。

筆者もその一人で「必要以上に群れる」のが苦手なのですが、「その考えはやっぱりダメなのかな・・・」という気持ちを抱くこともありました。それがある本を読んでから「あ、私はこれでいいのかも」と、ほっと楽に思えるようになったのです。

それは蛭子能収さん著書の「ひとりぼっちを笑うな」。

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」などの番組をはじめ、最近テレビで引っ張りだこの蛭子さん。一見おっとりした性格に見えながらも、時には自由すぎる発言をしてしまうなど、独特の存在感を感じます。「内向的人間の幸福論」をテーマとしたこの本では、「人と群れない、繋がらない」という持論を展開し、蛭子さんの人生哲学が綴られています。

そんな蛭子さんの哲学のエッセンスをちょっとご紹介したいと思います。

・とにかく僕、蛭子能収は、誰かに束縛されたり、自由を脅かされることがなによりも大嫌い。

・だから僕は、これまで生きてきたなかで、なるべく“群れ”の一員にならないように、“グループ”には入らないようにと常々意識してきました。

・人間は結局のところちっぽけで弱い生き物ですから、きっとその安心感で「自分はひとりではないんだ」「みんなといれば守られている」と思って勇気づけられるのかもしれない。

・ただ漠然と「群れ」になって、一緒に行動するようなグループではなく、なにかひとつの目的のためにそのときどきで集まるようなグループもあります。それに関しては肯定派の僕がいます。

・ところで“孤独”というのは、そんなに悪いものなのでしょうか?

・僕は“悪い孤独”と同じくらい“よい孤独”というものも存在すると考えているんです。

・これは、矛盾した話に思えるかもしれないけれど、愛する人がそばにいるからこそ、僕は安心してひとりぼっちでいられるんです。

「なんとなく自分が感じていたこと」を蛭子さんがふんだんに書いてくれていて、「一人好き」な人間として、心にあったモヤモヤした気持ちがすっきりしたような内容でした。

本書では「仕事や趣味以外では、わざわざ友だちを作る機会はいらない」という考え方が綴られていますが、いつもの蛭子さん口調で語られているので押しつけ感がありません。また「外向的」な人や意見を否定している訳ではなく、いかにして「内向的」な人間が平和に幸せに生きていくか、というエッセンスが詰まっています。

「一人が好きな人」に読んでほしい。妙に共感してしまう蛭子さんの幸福論

なんとなく「協調性」や「絆」が評価される日本では、「群れない」生き方を貫くのはそう簡単ではないでしょう。しかし「群れる」ことによって、無理して同調しなければいけないような雰囲気や、自分の意見が言えないのは、意味のある「群れ方」なのでしょうか? 職場内での非生産的な派閥争い、無駄話が多いと感じる女子会、SNSでいつの間にか巻き込まれる「グループ」など、居心地を悪く感じるのであれば、ときにはちょっと距離を置いてもよいのかもしれません。

世の中はたくさんの人がいて十人十色の考え方がありますが、「無理をして外向的になる必要はない」という意見もどこか心にしみ込んできます。

蛭子さんの幸福論「ひとりぼっちを笑うな」。「集団で群れるの苦手で一人でいることが心地よいけど、もしかしてそれは悪いことなのかも・・・。」と思っている人に、オススメできる一冊です。

[Photo by Shutterstock.com]

PROFILE

Nao

Nao ライター

メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。


メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。


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