甘いデザートのイメージがあるチョコレート。しかし原材料カカオ豆はその昔、薬として使われていました。カカオ豆には、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛などのミネラルがバランスよく含まれており、また多く含まれるポリフェノールも美容や健康に効果的との研究も進んでいます。
そんなチョコレートが本来持つ力、原点を見直し、甘いデザートではなく、スパイスとして料理にチョコレートを使ったメニューが、クオリティーの高いチョコレートとして世界中で、そして日本でも人気のメーカー「AMEDEI」のイベントで振る舞われました。
チョコレートを料理に!? えー! と思われる方も多いでしょうが、これが意外にもアリなのです。原点に帰れば新たな可能性が見える、そんなことを示してくれるようなチョコレートの宴をレポートします。
カカオ豆の育つ環境から吟味、情熱が創る真のチョコレート
「AMEDEI」はイタリア、トスカナー州にあるチョコレートメーカー。代表のセシリア・テッシエーレさんは、チョコレートに真摯な情熱を注ぐ女性ショコラティエです。
そのこだわりは、例えば、カカオの木が育つ環境から現地へ行ってチェックするほど。カカオの木は本来、森の中の半日陰に育つ低木、たくさん収穫したいがため農園のような広いところにいっぱい植えて育てては、よいカカオの豆は採れないのです。
また、製造過程では豆のローストから見守り、豆の状態を見つつ、一番良いところまで引き上げてあげます。時間がかかる作業があっても、それが必要であれば惜しみなく労力を注ぎます。そうやって、本来のおいしさを真摯に見つめて作られたチョコレートですから、もちろん合成添加物など一切使っていません。それは、その一粒を口に入れた時、その上品でなめらかな口溶けと香ばしいかおりで誰にでも分かることでしょう。
そんな彼女のチョコレートは、世界で高く評価され、イギリスで開催される「世界チョコレート・アワード」で3年連続金賞に輝く快挙を成し遂げています。また今年に入ってからも、ミラノで初めて開催された「サロン・ド・ショコラ」で金賞受賞、創造に溢れるクリエーターに送られる「Premio Consonanze」を受賞しています。
その「Premio Consonanze」の受賞を記念したパーティーで、AMEDEIのチョコレートを使った創作料理が振る舞われました。はてさて、チョコレートを使った料理とはどんなものなのでしょう?
カカオはスパイス! チョコレートが魅せる新たな可能性
「Premio Consonanze」の受賞を記念したパーティーでは、受賞者であるセシリアさんへのインタビュー、ミニ・コンサート、とチョコレートを使った料理の会食がおこなわれました。
さて、こちらがそのチョコレートを使った料理。ぱっと見、デザートのようですが、甘くはありません。前菜です。
写真左はトリュフとカカオのアミューズ。トリュフの香りにカカオの苦みがほんのりとアクセントをそえます。
中央、蟹とホワイトチョコのアミューズ。え!? 蟹とチョコ!? と驚いてしまいますが、ホワイトチョコは甘くなく、生クリームのような存在で素材をひとまとめにして、これが意外にしっくりくるおいしさ。
右、フォアグラとチョコレートのマカロン。チョコレートはビターチョコレート、濃厚なフォアグラクリームをカカオの香ばしさがリズムを成し、とってもおいしい!
こちらはウズラ肉とチョコレートのメインディッシュ。チョコと肉の組み合せという違和感はどこにもありません。滋味深いウズラの肉をそっと包むソースのようにチョコレートが味わいを添えます。
そして締めはやっぱりデザート。AMEDEIのチョコレートをオマージュしたティラミス。もちろんこちらは甘いデザートです。チョコレートを1枚あしらったティラミスは、チョコレートの華やかな香りを存分に楽しめるもの。ほんのり添えられたライムの香りが食後にスッキリとおいしい一皿でした。
この記事を見て、じゃあ早速チョコレートを使った料理を作ろう! とはならないと思いますが、でもこの料理が教えてくれることがひとつあります。それは、本物のチョコレートでないと料理にはならないということ。合成的に作られた香料や添加物いっぱいのチョコレートでは、料理に加えたい、香り、苦み、こうばしさなどは引き出せるはずもないのですから。
本物が教えてくれる小さな気づき、それはこの小さなチョコレートの中にも隠されています。そして、本物のおいしさを伝えるこのチョコレートは日本でも販売されていますので、みなさんのすぐ側にあります。一口かじった時にどうぞ感じてください、その香りの華やかさ、こうばしさと苦みの心地よさ、たくさんの情熱と愛情を持って作られた幸せなチョコレートの味を。
[AMEDEI]
[Photos by Ryoko Fujihara & Shutterstock.com]]