名作は、書斎だけで生まれるとは限りません。多くの作家はお気に入りのカフェで筆を走らせ、時に仲間と議論を闘わせながら優れた作品を生み出してきました。
そんな文筆家たちに愛された、世界の名物カフェを5つご紹介します。
グラン・カフェ・デ・ヒホン(スペイン、マドリード)
1888年の創業以来、数多の詩人、作家、芸術家らに愛されてきた老舗カフェです。特にアーネスト・ヘミングウェイはこのカフェの常連で「清潔で、とても明るいところ」と大層気に入っていたそうです。これからの季節なら、テラス席が一番。明るいマドリードの日差しを浴びながら道行く人たちを眺めていると、創作のヒントが浮かんできそうです。
ブラッスリー・バルザール(フランス、パリ)
ソルボンヌ大学や名門ロースクールに囲まれ、昔から知識人がたくさん集まることで有名なカフェです。カフェの公式HPにはここを愛した著名人たちの名前がリスト化されており、ボーヴォワールやカミュなど、そうそうたる文人の名前が連なります。サン・ジェルマン・デ・プレ地区付近という立地も、文化の薫りに浸れる絶好のロケーションです。
リテラトゥールノエ・カフェ(ロシア、サンクトペテルブルク)
ロシア語でその名も「文学喫茶」。詩人のプーシキンが最後の晩餐をとったカフェです。ここで食事を終えた後、彼は妻の愛人とされる男に殺されました。店内のテーブルには、プーシキンの蝋人形が腰を下ろしています。プーシキンが最後に眺めた風景、口にした食事をしみじみ味わえる店舗です。
カフェ・デュ・モンド(アメリカ、ニューオリンズ)
山盛りの粉砂糖に覆われた名物のベニエ(フランス風揚げパン)とチコリコーヒーに魅せられた人々で、24時間営業の店内はいつも賑わっています。文豪にも愛され、推理小説作家ジェイムズ・リー・バーク、ジョン・コナリーなどの作品にこのカフェが登場しています。本店と少し趣は異なりますが、日本では池袋や新百合ヶ丘などにも支店があります。
[Café Du Monde(英語)]
[カフェデュモンド(日本語)]
フランソア喫茶室(日本、京都)
戦時色が強まる1934年。反戦や前衛的な芸術を議論する場として、フランソア喫茶室は誕生しました。当時から使われているテーブルと椅子は、現代人の我々にとってはちょっぴり窮屈。この空間で文学者や画家が肩を寄せ合い議論に花を咲かせていたかと思うと、感慨深いものがあります。
以上、文豪たちが愛した世界のカフェでした。あなたの旅先の候補に、ぜひ加えてみてください。