「ボブン(Bo-Bun)」または「ブンボー(BunBo)」という名前の料理はご存知でしょうか。今にもアジア料理の匂いが漂ってきそうな名前ですね。ボブンとはベトナム、カンボジアで食べられているの細い米粉の麺料理。このボブンが今、パリでブームなのです。
ボブンってなに?

ボブン(Bo-Bun)とは、フランス語の料理名で、ベトナムではブンボー(BunBo)と呼ばれているそうです。ボー(Bo)とは麺、ブンBunとは牛を意味するそうで、フォーとはまた違った細い米粉の麺料理です。
フランスのボブンは米粉の麺に、もやし、サラダ、にんじん、キュウリ、ミント、パクチー、ピーナツ、ネム(Nem rán : ベトナムの揚げ春巻き)、牛肉や海老などがのっています。どんぶりの底には甘酸っぱいソースが入っているので、麺にしっかり絡むように豪快にかき混ぜていただきます。日本でいうところのビーフンに近いかもしれません。ソースに酸味があってさっぱりとしているので、日本人も好きな味。
ベトナムのボブンにはネムは入っていないのだそう。フランスでアジア料理が流行始めてから、ネムをボブンにのせるようになったのだとか。ベトナムのブンボーは、フランスのボブンとなり、エキゾチックな料理として独自に進化しています。
パリのボブンの美味しいお店

(C)Nanako Kitagawa

(C)Nanako Kitagawa
パリにはボブンの美味しいお店がいくつもあります。その中でも人気なのが、3区にあるSong Heng/ソンホン。このレストランはフォーとボブンの二種類のみのメニュー。開店時からずっと列ができているほど、パリジャンを虜にしているお店なのです。
パリ在住のエッセイスト雨宮塔子さんも著書「パリごはんdeux」でこのお店を紹介しています。ここのボブンはボリュームがありながらも、あっさりとした味付けなので、いくらでも食べることができます。
Song Heng
3 Rue Volta, 75003 Paris

(C)Nanako Kitagawa
10区にあるLe Cambodgeもパリジャンにポピュラーなお店。こちらはカンボジア料理のレストランです。ボブン・スペシャルはこちらの看板メニューで、ネム、牛肉、海老が乗っているボブンです。Le Cambodgeのものは、ソースが繊細な味で、ボブンの旨味をたっぷり味わうことができます。
Le Cambodge
10 Avenue Richerand, 75010 Paris
ファーストフードのボブン
ここ何年かでボブンは、フランスでパスタのテイクアウトのようにファーストフード店で販売されるようになりました。パリにはI love Bo-BunやMy Bo Bunなどのファーストフードのお店があります。
牛、海老、鶏やベジタリアンなどの何種類ものボブンから選ぶことができます。テイクアウトやデリバリーもできるようになっているのですよ。ボブンのこういったお店はここ何年間で急速に増えていきました。
なぜフランス人はボブンが好き?
なぜボブンがフランスでファーストフードに発展するほど人気なのでしょうか。新聞フィガロによると
ボブンはお野菜が盛りだくさんの栄養バランスがとれた料理。もやしやきゅうりの歯ごたえ、柔らかい溶けるような牛肉の食感や味わい、フレッシュな美味しさや豊かな風味が混じり合い、このひとつの丼の中で一体感を味わうことができます。それになんといってもお値段もお手頃です。エキゾチックな味なのに食べやすいので、フランス人はボブンの虜になっているのです。
(「
lefigaro.fr」より引用)
ボブンは野菜もたっぷりでヘルシー。野菜不足に悩むフランス人にはサラダ感覚で手軽に食べることができるのが人気の秘密のようですね。
フランスで発展し続けるボブン。異国の料理がこうして他の地で根付き、独自に進化するカルチャーの融合は面白い現象ですね。フレンチ流に発展したベトナム、カンボジア料理「ボブン」を、ぜひ味わってみませんか。
[lefigaro.fr]
[Photo by shutterstock.com]

Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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