読書好きの心をとろかすような、素敵な取り組みがあります。その名はリトルフリーライブラリー(Little Free Library)。2009年にアメリカで始まり、日本でもゆっくりと浸透しつつあります。一体どのような運動なのでしょうか。
気軽に作れる私設図書室
リトルフリーライブラリーとは、ざっくり言えば「小さな私設図書室」です。郵便ポストのような木箱に、10冊から20冊程度の本を並べて私有地に設置します。
本好きの方なら、一度は「私設図書室を作りたい」と夢見るのではないでしょうか。その夢が、リトルフリーライブラリーで気軽に叶えられるのです。
10冊から20冊という数も絶妙ですよね。できるだけバラエティ豊かに、でもこのシリーズは外せない・・・とセレクトに熱が入りそうです。
実際に近所のライブラリーをのぞくと、特定の作家の小説が多かったり絵本中心だったりキリスト教の本ばかりだったりと、オーナーの趣味嗜好が伺えて興味深いものです。
返却期限も冊数制限もありません
リトルフリーライブラリーには、返却期限もなければ貸出冊数の上限もありません。もちろん貸出カードを作る必要もありませんし、誰でも好きな時に好きなように利用できます。
設置場所も、たいていは自宅やお店の玄関先ですが、中には公園や動物園などのユニークな場所に設けられたライブラリーもあります。
日本語で「小さな無料図書館」と訳されるリトルフリーライブラリーですが、フリー(free)は「無料」というより「自由」という意味の方が近いように思います。
「始めるのも利用するのも自由」という軽やかさがいいのか、この取り組みは瞬く間に全世界へ広がり、2016年1月時点でライブラリーの数は3万6千にまで達しています。
鳥取でじわじわ浸透中。大阪には先駆けが?
リトルフリーライブラリーは、日本でもほんの少しずつ広がっているようです。水木しげる、谷口ジロー、青山剛昌など人気漫画家の出身地である鳥取県では、「まんが王国とっとり」の小さな発信基地として3か所にライブラリーが設置されているそう。今後、中心市街地に増設する可能性もあるとのことです。
また大阪モノレールの駅構内では、同様のコンセプトを持つ「モノレール文庫」が既に24年間も続けられています。本を自由にシェアする文化は、何も特別なものではないのかもしれません。
人々の善意と読書への情熱から成り立っているこの取り組み。今後ますます広まっていったら楽しいですね。
[Little Free Library(英語)]
[鳥取市公式ウェブサイト]
[大阪モノレール モノレール文庫]
[Photo by Shutterstock.com]