まるで絵本の中へ入ったような世界が広がるイタリアの古都、フィレンツェ。そんな街の一角でひっそりと創業当時そのままの姿で今現在も営業している世界最古の薬局があります。その名は「サンタ・マリア・ノッヴェラ薬局」。今回はその扉をあけて、お洒落なイタリアっ子の秘密を垣間みてみましょう。
(C)Saya Meguro
古都フィレンツェで800年続く歴史とは?
中世のフィレンツェはメディチ家の隆盛によって世界でも力を持つ豊かな存在の象徴となっていました。もともとメディチ家というのは薬や香料、香辛料などで財を成した一家であったことから、”Medical(薬)”の語源は”Medici(メディチ)”からきたと言われています。そんな時代に人々の医療の支えとなったのがまさにこのサンタ・マリア・ノッヴェラ薬局。どうしてそこまで人々に愛される薬局となったのか? それには頷くに等しい理由がありました。
自然治癒と癒しがテーマ
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創業当初から今日まで続くこの薬局のポリシーは「自然治癒と癒し」。当時は隣接するサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の修道士たちが、庭で栽培する薬草から薬、香料を作るようになったのがこの薬局のはじまりでした。人々の調子に合わせて特別に調合する薬は、オーガニック思想の先駆けでもあったのです。
オーデコロン発祥の地
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そしてこの薬局のもうひとつの魅力のひとつに、「香り」があります。なんとこのサンタ・マリア・ノッヴェラ薬局こそが、オーデコロンの起源であり、それをヨーロッパ国内のみならず、全世界へと広めた由緒ある薬局でもあったのです。その人気ぶりは、当時あのナポレオンまで虜にしたと言われています。
当時センセーショナルだった「王妃の水」
王家御用達製錬所として称号と厚い信頼を与えられていたサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局。16世紀、後にフランス王妃になるメディチ家のカテリーナ・ディ・メディチがフランスのアンリ2世へ嫁ぐ際、この薬局は彼女のために特別に「アックア・デッラ・レジーナ」というコロンを調合しました。これは後に「王妃の水」と呼ばれ、たちまちお洒落に敏感だったブルボン王朝の貴婦人たちの間で大流行。当時フランスで使用されていた香水よりも繊細で軽やかであった王妃の水は、フランス国内でセンセーションを巻き起こしました。
伝統を継承されて続く老舗
(C)Saya Meguro
実はこの薬局、伝統を守ったレシピであること、労力を惜しみなくかけること、一切の動物実験を行わないことなどと、徹底した品質管理でも有名なんです。
時代を超えて受け継がれてきた伝統と思想、そして変わらないものを変わらず作り続けてきた歴史。なんでも簡潔化・効率化されがちな昨今ですが、何世代にも渡って受け継がれてきた思想を通じることによって、私たちはただ単に商品ではなくそこに有難みや愛着というのを感じるのかもしれません。世界中のひとから愛されるには、深い理由があるのですね。
[サンタマリアノッヴェラオフィシャルHP]
[photo by Shutterstock.com]
Saya Meguro ライター
北海道出身。NZや日本をヒッチハイク縦断してみたり、ヒマラヤに登ってみたり、スペインで盗難に遭ってみたり。とにかくワクワクすることがすき。将来の夢は湖畔のちかくに家を建てて、動物と自然に囲まれて暮らすこと。
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