8月下旬頃から、次々と登場する台風。この3連休にも台風16号(マラカス)が接近しています。さてこの台風の名前、一体誰が決めているかご存知でしょうか? 気になって調べたところ、気象庁のホームページでかなり興味深い情報を見つけました!
台風の名前は「台風委員会」がつける
もともとは、アメリカが英語名(人名)をつけていた台風の名前。しかし2000年からは、西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には「台風委員会」が命名をしているそうです。台風委員会!? そんなものがあることを今まで全く知らなかった筆者。
「台風委員会」加盟国は日本を含む14か国
台風委員会は、台風防災に関する各国の政府間組織の集まりだそう。加盟国は、カンボジア、中国、北朝鮮、香港、日本、ラオス、マカオ、マレーシア、ミクロネシア、フィリピン、韓国、タイ、米国、ベトナム、の14か国です(掲載順は気象庁のホームページに準じています)。
台風の名前は140個を使い回す
台風の名前は、14か国が10個ずつ提案した計140個。トップバッターはカンボジアが提案した「象」を意味する「ダムレイ」です。そして台風が発生した順にあらかじめ並べられた140個の名前を順番に命名し、最後までいったらまた「ダムレイ」に戻るのだそうです! なんと、使い回しなんですね!! ちなみに、だいたい5年ほどで一巡するそう。
大災害をもたらした台風は使いまわさない
そう、当たり前かもしれませんが、大きな被害が出た台風に関しては、繰り返して命名しない決まりがあるとのこと。たしかに、歴史に名前が残る台風が、通常規模の台風と同じ名前だと、混乱しますよね。「伊勢湾台風」など、甚大な被害のあった台風に日本名をつけることもあります。
日本から提案した台風の名前は星座名
気になる140個の名前は、気象庁のホームページにすべて公表されています。日本は星座名なのですが、いわゆる12星座から選ばれているのは「てんびん座」「やぎ座」のみ。各国の命名候補も、なんだか不思議なラインナップで一見の価値ありです。
日本が提案する台風の名前にマイナーな星座名が多いのは「台風の影響をもっとも受ける船舶の運航に深く関わるもの」、140個の名前は、「自国以外の各国でも発音しやすいもの」「台風の被害が小さくてすむようにとの願いから小さくて可愛いものもある」というネット情報もありました。
こちら本当かどうか気になったため、ただいま気象庁に問い合わせ中です。返答あり次第、このページで続報をお伝えします!
上記問い合わせについて、9月26日に気象庁から回答をもらえました。他言語で発音しやすい名前、船舶の運航に関わるもの、というほかにも、親しまれている自然の事物、特定の名称を避けた中立的なもの、他言語で感情を害することがないこと、なども考慮されていたんですね。
【回答】
日本から提案した10個の台風名は、流通に伴う利害や気象情報などに誤解をあたえないようにするため、特定の個人・法人の名称や商標、地名などを避け、なるべく中立的な名称を選ぶように配慮するとともに、台風と同様に自然の事物であること、人々に親しまれていること、台風の影響を大きく受ける船舶関係に馴染みがあることなどを考慮し、星座名から選びました。また、命名にあたり、音節が多くなくて発音しやすいこと、文字数が多すぎないこと、発音が他国の言語で感情を害するような意味をもたないことも考慮したため、結果的にマイナーな星座名が多くなったのかもしれません。なお、「台風の被害が小さくてすむようとの願いから小さくて可愛いもの」については承知していません。
たしかに、台風のイメージそのものという強く荒々しいものを意味する名前も見られますが、花の名前や女性の名前も見られます。ちなみに台風16号「マラカス」は、フィリピン語で「強い」という意味。毎年必ず発生する、自然界の定めともいえる台風ですが、被害が小さくすむことを祈っております。
[国土交通省 気象庁]
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