かつてイスラム王朝が支配したスペイン南部のアンダルシア地方。イスラム文化の影響が残る独特のエキゾチックな風景が訪れる人々を魅了して止みません。そんなアンダルシア地方で訪れたい4つの世界遺産をご紹介しましょう。
アルハンブラ宮殿とアルバイシン
シエラ・ネバダ山脈のふもとに位置するグラナダは、ナスル朝グラナダ王国の都として栄えた歴史をもつ街。1492年のグラナダ陥落まで、イベリア半島におけるイスラム支配の最後の砦として、栄華を極めました。
グラナダの代名詞、アルハンブラ宮殿はアンダルシア観光のハイライト。1232年に王位についたナスル朝の初代王ムハンマド1世の命によって建設が始まり、7代王ムハンマド5世の時代にようやく完成を見ました。
アルハンブラ宮殿にある建造物のなかでも、イスラム芸術の粋を集めたナスル宮殿は、まさに千夜一夜の世界。あまりの美しさから、「王は魔法を使って宮殿を完成させた」とまで言われたのだとか。精緻な職人技が細部まで行き届いた幻想的な空間は圧巻です。
アルハンブラ宮殿とあわせて世界遺産に登録されているのが、11世紀にイスラム教徒によって築かれた、グラナダで最も古い街並みが残るアルバイシン地区。迷路のように入り組んだ狭い路地を歩けばタイムスリップしたような気分に。高台の展望台からはアルハンブラ宮殿が一望できます。
もっと詳しく知りたい人は「千夜一夜物語の世界へ迷い込む、スペインのアルハンブラ宮殿」も合わせてどうぞ。
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コルドバ歴史地区
ローマ時代からの歴史を持つ、アンダルシア地方第3の都市コルドバ。8世紀半ばに後ウマイヤ朝の都が置かれ、イスラム文化が花開きました。その繁栄ぶりは、当時東ローマ帝国の首都であったコンスタンティノープルと競うほどだったのだとか。当時の栄華を今に伝える歴史的な街並みがまるごと世界遺産に登録されています。
そんなコルドバのシンボルがメスキータ。785年、キリスト教の聖堂の跡地にモスクとして建設が始められました。1236年にコルドバがキリスト教徒に再征服されると、メスキータはキリスト教の聖堂に改築されます。しかし、アーチやメッカの方角を示すミフラーブなど、イスラム建築の特徴が残されたため、イスラム教とキリスト教建築の美が融合した類まれなる建築物となったのです。
なかでも、「円柱の森」と呼ばれる、アーチが幾重にも重なる光景は息を呑むほど幻想的。これまでに見たことがないような独特の空間にすっかり引き込まれてしまいます。
メスキータの北に広がる、白壁の家々が続く旧ユダヤ人街をはじめ、中世の面影を残すコルドバの街並みは異国情緒にあふれています。
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セビーリャの大聖堂とアルカサル
オペラ「カルメン」の舞台として知られるアンダルシアの州都セビーリャ。この街のランドマークがカテドラル(大聖堂)です。15世紀初頭からおよそ100年もの歳月を費やして、モスクの跡地に建設されました。
キリスト教の聖堂としてはスペイン最大、世界でも3番目に数えられる規模は圧倒的。黄金に彩色された巨大な祭壇やコロンブスの墓など見どころも多く、思わず時間を忘れて見入ってしまうほど。併設のヒラルダの塔からは、さまざまな建築様式が混在するセビーリャのエキゾチックな街並みが楽しめます。
カテドラルと並ぶセビーリャの見どころが、かつて王宮として使われたアルカサル。イスラム時代の宮殿の跡地に建てられたもので、歴代の王たちによって増改築が繰り返されました。とりわけイスラム文化に心酔していたペドロ1世は、スペイン各地から職人を呼び寄せ、ムデハル様式の壮麗な宮殿を造らせました。
規模こそグラナダのアルハンブラ宮殿には及ばないものの、装飾の細やかさや色鮮やかさでは決して引けをとりません。なかでも、「大使の間」の天井部分に施された黄金色の木工細工は小宇宙さながら。思わず吸い込まれてしまいそうな美しさです。
ウベダとバエサのルネッサンス様式の記念碑的建造物群
「双子の都市」とも呼ばれるウベダとバエサ、2つの街にまたがる世界遺産が、ウベダとバエサのルネッサンス様式の記念碑的建造物群。いずれの街も8世紀にはイスラム勢力の支配下に置かれていましたが、13世紀前半にキリスト教徒によって奪還されました。
15~16世紀にかけてウベダとバエサはオリーブの生産で繁栄し、ルネッサンス様式の美しい街並みが築かれました。最盛期の風景をほとんどそのままに残す街並みには、落ち着いた古都の風情が漂います。
アンダルシアの他の街とはひと味違うルネッサンスの建造物の数々が新鮮。中世の街並みが残る美しい風景と、小さな街ならではののどかな雰囲気に心癒されるはずです。
個性豊かな世界遺産の数々が迎えてくれるアンダルシア地方。きっと、あなたも心揺さぶられる風景に出会えることでしょう。
[All Photos by shutterstock.com]
Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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