私たちが日常的に使用しているお金ですが、使い方ひとつで幸福度が変わるとしたらあなたはどうしますか?
「私たちは幸せになるために物を買う、しかし買い物で得られる幸せは長続きしない」と、アメリカのコーネル大学にてお金と幸福度の研究に取り組む心理学教授トーマス・ギロビッチさんは言います。
彼の研究から、物質的なものにお金を使うよりも経験にお金を使う方が人は幸福度がずっと高まるという事が発見されました。
経験をお金で買うということ
旅であれ買い物であれ、お金は必ずかかります。もしかしたら同じ金額を費やすのであれば出費後に手元に商品の残る「買い物」を選ぶ人もいるかもしれません。
しかし旅から得られる経験は思い出になりあなたの中に留まります。つらい時や苦しい時、その経験を思い出せばきっと笑顔になるでしょう。あの時食べた料理がどれだけ美味しかったか、あの時見た夕焼けがどれだけ美しかったか、きっと鮮明に思い出し、幸せな気分になれるでしょう。
筆者は友達と集まると決まって過去の旅の思い出話に花が咲きます。もともと忘れっぽい性格ですが、不思議とみんなで一緒に旅行した時の思い出は今でも色褪せることなく記憶の中にしっかりと定着しているのです。
買い物で得た幸せは果たして一生続くのでしょうか。10年後、20年後に友達や 家族と昔話をしたときに、あなたは一体どんな話をするのでしょう。過去に手に 入れた素敵な洋服の話をするでしょうか?
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旅の経験はあなたを変えてくれる
旅に出て不自由な思いをしながらも目的地までたどり着けたとき、生活レベルがまったく異なる国に滞在し愕然としたとき、見知らぬ土地でで困っている時に親切に助けてくれる優しい人に出会ったとき、私たちはもはや数分前の私たちではなくなります。
安定し住みなれた場所を離れ一歩外の世界へ踏み出せば、私たちの視野は一気に広がります。色々な文化を経験し、理解し、学ぶことができるのです。そして一度広がった視野は私たちのスタンダードになるでしょう。
筆者の場合は海外で生活することで母国日本の良さを再確認でき、日本人であることを今まで以上に誇りに思えるようになりました。「日本は安全で清潔」そのような一般的な情報を知っていることと、実際に経験して理解することは全くの別物なのだと学びました。
私たちは旅という経験を通して「新しい自分」になることができるのです。
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人生は思い出でできている
あなたが人生を終えるとき、何を思うでしょう。おそらく思い出すことは楽しかった時間、美しかった景色、そして幸せだと感じた瞬間でしょう。
奮発して買ったブランド品や、高級すぎて手の届かなかったスポーツカーを果たしてあなたは人生の最後に考えるでしょうか? 私たちは人気商品を身に着け注目されるために生まれてきたのではありません。私たちは幸せになるために生まれてきた、ということを思い出してみてください。
幸せになるためのお金の使い道、ここでちょっと立ち止まって考えてみませんか?
[Some “Thing” to Talk About? Differential Story Utility From Experiential and Material Purchases]
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