母子の健康状態や赤ちゃんの成長を記録する「母子健康手帳(通称:母子手帳)」。出産経験のある方はもちろん、そうでなくても自分が生まれたときの母子手帳を見せてもらったことがあるという方は多いことでしょう。
日本では、妊娠・出産と切っても切れない存在の母子手帳ですが、実はもともとは日本独自のシステム。それが国境を越えて世界のお母さんや子どもたちを救っていることをご存じでしょうか。
日本発祥の母子手帳

妊娠がわかったら母子手帳を受け取り、母子の健康状態や子どもの成長を母子手帳に記録する。日本ではごく当たり前の習慣ですが、妊娠から幼児期までの健康記録を一冊で管理できる手帳のある国は、世界的に見ると少数派。実は「母子手帳」は日本発祥の制度なのです。
もちろん、日本の母子手帳に似た冊子を独自に作成している国はあります。ところが、母親の健康記録と子どもの成長記録が別々の冊子になっていたり、複数の子どもを同じ冊子にまとめていたり、日本のように一人一冊ずつ、妊娠期から就学前までの状況を母子共に見守る作りにはなっていないのです。
母子手帳は、戦後の1948年に生まれました。最初の母子手帳はガリ版刷りで、粉ミルクの配給が記録されていたといいます。当時、日本における乳児死亡率は1000人あたり60.1(1950年)と劣悪な状態でしたが、2004年には1000人あたり2.8と、世界でも最高の水準に達しました。
いまだ乳児死亡率が50を超える国が30か国以上もあるなか、戦後に目覚ましい健康状態の改善を成し遂げた日本から学ぼうとする国々があります。
世界30か国以上に母子手帳が普及

日本生まれの母子手帳は、いまや世界30か国以上に導入されています。乳児死亡率が高かったアジアやアフリカの発展途上国から、オランダなどの先進国にいたるまで、その顔ぶれはさまざま。特に途上国が多いのは、その状況を変えるために、妊娠、出産、産後と継続的に見守る仕組みや人々が必要だからなのだそうです。
今なお情勢不安定なパレスチナ自治区でも母子手帳が導入されており、その存在意義は計り知れないものとなっています。パレスチナでは突然道路が封鎖され、いつもの病院に行けなくなるといった状況が珍しくありません。その結果、初めて行った病院でこれまでの経過を適切に伝えることができないために適切な処置が受けられず、最悪の事態に至ってしまうことすらあったのです。
しかし、2006年の母子手帳導入以降は、突然対応する医師が変わっても一貫して母子の健康を見守ることができるようになりました。初めて母子手帳を目にしたパレスチナ人の女性のなかには、「いつもと違う病院に行かなきゃいけない時、これがあればすぐに診てもらえる。これは命のパスポートだ」と感動する人さえいるのだとか。
母子手帳が初めて国境を越えたインドネシア

母子手帳が初めて国境を越えたのは、1990年代のインドネシアでした。正確な統計すらありませんが、1980年代のインドネシアの乳児死亡死亡率は、1000人あたり推定60~90人。それは、戦後の日本と同等の劣悪な状況でした。
当時のインドネシアは医師の数も病院の数も少なく、健康保険制度もありませんでした。そんな環境を改善すべく、80年代中ごろに乳幼児健診制度が誕生。その後しばらくして、日本に研修に来たインドネシア人医師が、日本の母子手帳に感銘を受け、インドネシアへの導入を強く望みました。
こうして1993年、日本政府とインドネシア政府の共同事業として、インドネシア版母子手帳が作られることとなったのです。
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