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【ポーランドの京都】クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

Posted by: 春奈
掲載日: May 6th, 2017. 更新日: May 25th, 2017
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「ポーランドの京都」と称される古都クラクフ。かつてぐるりと城壁に囲まれていた旧市街は、街全体が世界遺産。そんなクラクフを拠点に、アウシュビッツ博物館、ヴィエリチカ岩塩坑、合わせて3つの世界遺産を訪れてみませんか。


古都の風情薫る世界遺産・クラクフ

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

クラクフは、11世紀半ばからおよそ550年間にわたってポーランド王国の都として栄えた古都。なかでも黄金期といわれる1386年から1572年までのヤギェウォ王朝の時代は、プラハやウィーンと並ぶ文化の中心地として栄華を極めました。

ポーランドの多くの都市が第2次世界大戦で壊滅的な被害を受けたなか、クラクフは戦禍を免れたため、「ポーランドの京都」とも呼ばれる情緒ある街並みがそのまま残っています。

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

旧市街に一歩足を踏み入れると、そこはまさに中世ヨーロッパの世界。石畳を踏み鳴らす馬車の音が、あなたを数百年前へといざないます。

バルバカンとフロリアンスカ門

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

クラクフの旧市街への入口にあたるのが、1300年ごろに築かれたフロリアンスカ門。中世の時代には、城壁がぐるりと街を囲んでいましたが、19世紀に取り壊され、今ではほとんど残っていません。

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

フロリアンスカ門と、その向かいにある円形の砦・バルバカンは当時の様子をしのぶ貴重な遺産。フロリアンスカ門からわずかに残された城壁の上へとのぼり、旧市街を見下ろしてみましょう。

続いてバルバカンの内部に入ると、外から見る以上の大きさと重厚感に圧倒されます。ロールプレイングゲームの主人公にでもなったような気分になれるかも。

中央広場

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

クラクフの心臓部ともいえるのが、文字通り旧市街の真ん中に位置する中央広場。総面4万平方メートルという広大な広場で、中世からそのまま残っているものとしてはヨーロッパ最大の規模を誇ります。

広場には長さ100メートルの壮麗な織物会館や教会、塔、カフェやレストランなどが建ち並び、いつも多くの観光客や地元の人々でにぎわっています。ぜひ、旧市庁舎の塔から旧市街の眺望を楽しんでみましょう。

聖マリア教会

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

ポーランドで最も美しい教会のひとつといわれるのが、中央広場に建つ聖マリア教会。1222年に建てられたゴシック様式の教会で、2本の尖塔が印象的です。

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内装もすばらしく、一歩中に足を踏み入れると、繊細かつ優美な芸術空間に息を呑みます。なかでも中央奥にある祭壇は国宝にも指定されている名品。その細やかさと立体感に釘付けにならずにはいられません。

ヴァヴエル城

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

旧市街の南のはずれにそびえているのが、歴代ポーランド王の居城であったヴァヴェル城。大聖堂や旧王宮、竜の洞窟など、いつくかの建造物からなる複合建築で、そのスケールには目を見張ります。

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一番の見どころが、14世紀から18世紀のあいだ、歴代ポーランド国王の戴冠式の舞台となったヴァヴェル大聖堂。増改築が繰り返されてきたため、さまざまな建築様式が混在しています。とりわけ、ルネッサンス建築の傑作と称されるジグムント・チャペルの壮麗さは言葉を失うほど。

城の敷地内には、ヴァヴェル大聖堂を臨むレストランもあり、晴れた日のテラス席でのランチは最高です。

アウシュビッツ博物館

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

「負の世界遺産」としてあまりにも有名なアウシュビッツ博物館は、クラクフの西54キロ、オシフィエンチムという街にあります。

アウシュビッツ第一収容所と、そこからおよそ2キロ離れたビルケナウ(第二収容所)の2つの収容所が当時の姿そのままに残されていて、人類史上最悪のホロコーストの悲劇を今に伝えています。

アウシュビッツはもともと、ポーランドがナチス・ドイツの支配下にあった1940年、ポーランドの政治犯を収容するために建設されたものでした。ところが、しだいにユダヤ人やロマ、ソ連軍の捕虜なども収容され、一大殺人工場へとその規模と役割を拡大していったのです。

アウシュビッツ第一収容所では、当時の写真、殺人ガスとして使われた劇薬「チクロンB」の空き缶、被収容者の毛髪や所持品などが展示されていて、当時の様子が生々しく伝わってきます。

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

アウシュビッツ第一収容所から少し遅れて、1941年に建設が始まったビルケナウは、300棟以上のバラックが建ち並んでいた、第一収容所よりもさらに大規模な施設でした。1945年に解放されるまで、実に百数十万人の尊い命が失われたといいます。

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鉄道の引き込み線が終わるところには、犠牲になった人々を悼む国際慰霊碑が。

あなたがこの現実を目の当たりにしたとき、いったい何を思い、何を考えるでしょう。実際に訪れてみてこそわかることがあるはずです。

公共交通機関でアウシュビッツ博物館を訪れるならバスがおすすめ。ただし訪問者数に対してバスの本数が少なく、混雑時には座れないことも少なくありません。さらに4~10月の日中の入場にはガイド付きでのみ入場が可能となっているため、時間や体力を有効に使いたいなら、クラクフ発着のガイド付きバスツアーに参加するといいでしょう。

また、アウシュビッツ博物館は屋外を歩く時間が長く、思いのほか体力を消耗します。日差しを遮るものが少ないため、夏なら帽子や水を持参するなど熱中症対策を。寒さの厳しい冬は、万全の防寒対策が必要です。

ヴィエリチカ岩塩坑

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

クラクフの南東15キロのところに位置する小さな街、ヴィエリチカの代名詞がヴィエリチカ岩塩坑。1978年に世界遺産に登録された、最初の世界遺産のひとつです。地下64~325メートルにわたって張り巡らされた採掘場の一部、およそ2.5キロが一般に公開されています。

700年にわたって稼働していた世界有数の岩塩坑だけあって、その規模は圧巻。探検家になった気分で、地底塩湖、塩でできた彫像、人形を用いた採掘現場の展示などを見ながら、さまざまな部屋を回ります。

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

なかでも、まばゆいシャンデリアや、「最後の晩餐」のレリーフなど、すべてが塩でできた聖キンガ礼拝堂の美しさは感動的。

ヴィエリチカ岩塩坑へのアクセスは、鉄道が便利。クラクフ本駅からWieliczk Rynek Kopalna駅まで20分。駅から岩塩坑までは徒歩約5分です。岩塩坑内は人数制限ありのガイドツアー形式での見学となるため、夏の観光シーズン中はあらかじめ公式サイトから予約しておくのが確実です。

「ポーランドの京都」クラクフ、アウシュビッツ、ヴィエリチカ岩塩坑、3つの世界遺産をめぐる旅

クラクフを拠点に訪れる3つの世界遺産。中世の美しい街並みに、歴史上類を見ない悲劇の舞台、自然と人類の共同作品・・・まったく異なる魅力や意義をもつ3つのスポットは、決して忘れられない印象をあなたの胸に刻むことでしょう。

[All Photos by shutterstock.com]

春奈

Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。


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