【TABIZINE 現地特派員による寄稿】
都内で見られるのはここだけ! 鮮やかに輝く「ヒカリモ」を見に実篤公園へ
春になれば園内の桜が花咲き、山吹の時期を越えて紫陽花へと移る季節。四季折々に様々な花が咲き乱れる実篤公園では、都内で見ることができるのはここだけ! の「ヒカリモ」が今、見頃を迎えています。
京王線の「つつじヶ丘」駅もしくは「仙川」駅から徒歩10分のところにあるこの公園は、武者小路実篤が、「水のある所に住みたい」という子供の頃からの願いを叶えた場所で、晩年の20年間を過ごした旧宅跡になります。
昭和53年5月から「実篤公園」として一般公開され、実篤生誕100年に当たる昭和60年10月には、「武者小路実篤記念館」も設置されました。
緑のゲートをくぐり、トンネルを抜けると、そこは別世界。空高くまっすぐに伸びる竹や、空を覆いつくすかのようなヤマモミジが美しい。語りかけるように木々が揺れて、その都度、木漏れ日も形を変えていきます。
思い出を作るかのように、ゆっくりと池の辺りを歩いていると、金色の鯉が出迎えてくれました。
少し進むと「ヒカリモ」が!
「ヒカリモ」は太陽の光を反射して、黄金色に輝く“藻”のことで、平成17年に来園者が発見したことにより生育が確認されました。豊かな湧き水やうっそうと茂った樹木がないと生育が難しく、自然豊かな環境が残されている証拠ですね。「ヒカリモ」自体は全国各地に見られますが、毎年定期的に同じ場所で見ることができるのは、ごく “まれ” だとか。お天気が良くても、西陽の強い日や雨が続いた翌日などは、あまりはっきり見ることができないようですが、その日だけの色で私たちを楽しませてくれます。
自然の美しさを大切にしていた実篤は、その美しさを心を込めて描きたいと願い、かき続けていたといいます。その情熱は亡くなる半年前、日々使い込んだ硯に穴をあけてしまう程だったというエピソードも。
土・日・祝の11時から15時までは、旧邸の内部も公開されており(雨天中止)、記念館では、会期を設け様々な展示会が行われています。
旧武者小路実篤邸
武者小路実篤記念館
ベンチに腰掛け、ただただ木々のせせらぎや水の音、鳥の声を聴いているだけの豊かな時間。鮮やな黄金色に染まる「ヒカリモ」は9月下旬頃まで見ることができます。武者小路実篤が愛した自然あふれる実篤公園へ。カメラを片手に癒しの空間を是非、体感してみてください。