数々の古城を有するドイツにあって、3大美城のひとつとして名高いのがエルツ城。ドイツ中西部、モーゼル渓谷の森の奥深くにひっそりと、しかし堂々とたたずむその姿は、「孤高」という言葉がぴったりの名城です。
不落の名城・エルツ城
ノイシュバンシュタイン城、ホーエンツォレルン城とともに、ドイツ3大美城に数えられるエルツ城。旧西ドイツの500マルク紙幣にも描かれていた、ドイツ人のあいだで特に人気の高い城でもあります。
四方を谷に囲まれ、高さ70メートルの岩の上に築かれたエルツ城は、12世紀の建造以来、一度も陥落したことのない難攻不落の城として有名。ヨーロッパの古城のなかには、破壊や修復が繰り返されてきたものが少なくありませんが、エルツ城は建設当時の中世のたたずまいを今もそのまま残しているのです。
伯爵一家が受け継いできた古城
エルツ城は、800年以上にわたって同じ家系によって所有されてきたという珍しい城。現在の城主は伯爵・エルツ家の33代目にあたり、代々の伯爵の代理人が城に住んで管理にあたっているのだとか。
エルツ城は、8本の居住可能な塔が中庭を囲む「輪状砦」と呼ばれる構造で、砦には全部で100ほどの部屋があります。最盛期には、家来や召使いを除く、エルツ一族だけで100人以上がこの城で暮らしていたといいます。
幻想的な複合建築
エルツ城が築かれたのは12世紀のこと。しかし、当初から現在の姿だったわけではなく、500年ほどの歳月をかけて、上へ上へと増築されていきました。そのため、ロマネスク様式からバロック初期にかけての、ヨーロッパのあらゆる建築様式を見ることができます。
重厚かつ優雅な印象が強いエルツ城ですが、ところどころに見られる木組みの構造に、ドイツの城らしい可愛らしさがにじみ出ていますね。
いつくもの塔が身を寄せ合うように重なるその姿は、あまりにも幻想的。物語の世界から飛び出してきたかのような風景は、息を呑むほどの美しさです。
中世にタイムスリップ
深い森に抱かれ、ひっそりとたたずむエルツ城の姿は絵のように美しく、同時に別次元の生き物が棲んでいそうな不気味ささえ漂わせています。
石畳の道を歩いて城内に足を踏み入れれば、そこはまさに中世の世界。城内では、ラインとモーゼル地方の800年間にわたる家具や調度品の歴史を目にすることができます。
なかでも圧巻なのが「騎士のホール」。城内一番大きなホールで、エルツ城にはかつて3家族が住んでいましたが、このホールにはどの家族も入ることができ、言論の自由も保障されていたといいます。
中世の生活様式を再現したキッチンや、希少性の高い金や銀で作られた工芸品、宝石などを収めた宝物庫も必見です。
エルツ城へのアクセス
エルツ城の最寄り駅は、コブレンツ中央駅から普通列車でおよそ30分のモーゼルケルン(Moselkern)駅。駅から500メートルのところ(Moselsetaße 29)にある停留所から、5~10月の土・日・祝のみ、ブルゲンバス’(Burgenbus)がエルツ城の下の駐車場まで運行しています。
ブルゲンバスは、トライス・カーデン(Treis-Karden)駅やハッツェンポルト (Hatzenport) 駅前からも乗車可能で、駐車場から城までは徒歩20~30分。シャトルバスも利用できます。
時間に余裕があれば、モーゼルケルン駅から70~90分程度のハイキングを楽しみながら城まで行くのもあり。緑豊かな山道を歩けば、ドイツが森の国であることを実感できます。
深い森にたたずんでいるだけあって、アクセスが不便ですが、森に囲まれた幻想的なエルツ城の姿は、わざわざ足を運んで見る価値があります。
ドイツの空の玄関口であるフランクフルトからは車でおよそ2時間。個人で行くのが難しい場合は、フランクフルト発の現地ツアーを利用してもいいでしょう。
ドイツが誇る、本物の中世の古城・エルツ城。その姿はまさに、モーゼルの谷に守られた宝石のようです。
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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