カップめんは日本発!アイデアが詰まった『カップヌードル』【日本の不思議】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Oct 23rd, 2017

日本と海外の文化ギャップは、TABIZINEでも長く人気を誇るテーマ。そのギャップを楽しめるのは、日本という国の独特の文化や風土あってこそです。そこで今回は、日本発祥の世界で愛されるもの、実は日本が世界一という意外なトピック、日本独特の興味深い文化などなど、知られざる日本の面白い部分を「日本の不思議」と題し特集したいと思います!

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】
(写真はイメージです)

日本人が生み出して、世界に広まった物事は少なくありません。今回のテーマであるカップめんも一緒です。包装と調理器具、容器を兼ねたカップにお湯を注ぐだけで、いつでもどこでも食べられるインスタントのヌードルとして、世界中で愛されています。このカップめん、どのように生まれたかご存知ですか?

 

『チキンラーメン』の営業中に日清の創業者が『カップヌードル』のアイデアをひらめく

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】
(C)Masayoshi Sakamoto

そもそも世界で初めてカップめんを考案し、商品化した企業は日清食品になります。『日清カップヌードル』ですね。

1971年に販売が始まった『日清カップヌードル』は特許庁に登録されている特定商品名ですが、あたかも普通名詞のように使われるほど、日本国民に浸透していますよね。

手元の『記者ハンドブック』(共同通信社)を見ても、「カップヌードル」は特定商品名なので、新聞の記事作りでは「カップめん」、または「即席ラーメン」と言い換えるようにと指示が出ています。

これほど国民に定着するインスタントフードのスタートは、『日清チキンラーメン』を日清食品の創業者である安藤百福(ももふく)さんが、初めて欧米に売りに営業に出たときになるといいます。

袋めんの『チキンラーメン』を売り込みに米国のスーパーマーケットに出向いたところ、現地のバイヤーが戸惑った表情を見せたのだとか。丼も箸もない米国では、袋めんを食べようにも食べられなかったからですね。

悩んだ末に紙コップにめんを割って入れ、お湯を注いでフォークで食べたというのですが、この光景を見て安藤百福さんは、何かをひらめいたと言います。紙コップ(カップ)にめんを入れ、お湯を注いでフォークで食べる、そうですね。まさに『日清カップヌードル』のアイデアになります。

アイデアを実現するために、さまざまな試行錯誤があった

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】
(写真はイメージです)

とはいえ、着想を得てから商品化にこぎつけるためには、かなりの苦労があったといいます。例えば湯戻しの際に具材の新鮮さをよみがえらせるフリーズドライ製法の確立が必要でした。

さらに、上が広く下が狭い紙コップのような容器に、ぴったりとめんを入れる生産システムの開発の問題もあったそう。カップの中でぴたりと宙づりされるように、上からめんを投入しようとすると、めんが傾いてしまったり、ひっくり返ったりしてしまい、技術的に困難だったみたいです。

しかし、フリーズドライ製法に関して安藤さんは自ら会社を立ち上げて、高度な冷凍技術を開発したといいます。

容器へのめんの投入に関しては、めんを容器に投入するのではなく、下に置いためんに上から容器を被せるという逆転の発想で、工場での大量生産を可能にしたと言います。

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】
(C)Masayoshi Sakamoto

確かに、かつて足を運んだカップヌードルミュージアムでは、めんにカップを被せるという画期的な工場ラインの様子が紹介されていました。

試しに『日清カップヌードル』を購入し、中のめんを取り出して、めんを上から容器に向かって落とす実験もしてみました。なるほど上からめんを落とすと、めんが傾いたり逆さになったりするだけでなく、乾燥しためんが破損するなどのデメリットもありました。

逆に机の上に置いためんにカップを被せて、ひっくり返した方が、めんの破損もなく、すんなりとカップに収まりました。さすがの発想力ですよね。

世界的な経営コンサルタントの大前研一さんも、結局はアイデアを最もうまく実行した人が、ビジネスの世界で成功を収めると語っています。安藤百福さんが典型例ですね。

『日清カップヌードル』はあさま山荘事件で一躍有名になる

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】
(写真はイメージです)

ファストフードの先駆けとして1971年に登場した『カップヌードル』。銀座の歩行者天国で試食販売を実施するなどして、少しずつ知名度を増していったと言いますが、世間的に認知度が一気に高まったきっかけは、皮肉にもあさま山荘事件だったと言います。

連合赤軍が雪深い山中を移動する途中で軽井沢に迷い込み、偶然立てこもった山荘で人質をとって、機動隊と銃撃戦を繰り広げた事件ですね。

NHKでは連続で10時間20分もテレビ中継される大事件だったと言います。その事件にあたった機動隊が雪の中で『日清カップヌードル』を食べる様子が放送され続け、

<総視聴率80% (民放含む) に達したこの放送で、「カップヌードル」は思いがけず視聴者に大きくアピールし、その時から、羽が生えたように売れ出して、生産が追いつかなくなりました>(日清食品のホームページより引用)

といった歴史があるみたいですね。

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】

日清食品の公式ホームページによれば、現在『日清カップヌードル』は世界80か国以上の国々で売られていると言います。

筆者の知人に聞いた範囲では、マレーシアにも、オランダにも、アメリカにも、ブラジルにも普通に売られているのだとか。まさに世界規模で普及するインスタントラーメンなのですね。

 

以上、カップめんは日本発の食べ物で、代表商品である『日清カップヌードル』は世界80か国にも広まっているという話をしました。

ちょっと食べたくなってきたという人は、早速近くのコンビニやスーパーマーケットなどで購入してみては?

カップめんは日本発!『チキンラーメン』の営業中に生まれた『カップラーメン』【日本の不思議】

 

[カップヌードルヒストリー – 日清食品]
[CUP NOODLES MUSEUM]
[大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉(日経BP社) – 大前研一]
[Photos by shutterstock.com]
 

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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