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知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Oct 25th, 2017. 更新日: Oct 12th, 2017
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日本と海外の文化ギャップは、TABIZINEでも長く人気を誇るテーマ。そのギャップを楽しめるのは、日本という国の独特の文化や風土あってこそです。そこで今回は、日本発祥の世界で愛されるもの、実は日本が世界一という意外なトピック、日本独特の興味深い文化などなど、知られざる日本の面白い部分を「日本の不思議」と題し特集したいと思います!

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】
(写真はイメージです)

今では世界で当たり前のように使われているアイテムが、実は日本発だったという話は少なくありません。一度何かの目標が見つかると、困難にぶつかっても粘り強く乗り越えようとする日本人の気質が、世界初の商品を次々と誕生させるのかもしれませんね。

そんな日本人が生み出した世界初の商品として、今回は「カーナビ」を紹介します。日本車は世界的に評価されていますが、カー用品の分野でもさまざまな偉業を成し遂げているのです。
 


Hondaが「カーナビ」を開発した

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】
(写真はイメージです)

「ホンダ」という名前を聞くと、どのようなイメージを連想しますかか? かつてニュージーランドのオークランドで、筆者はHondaのタフなSUVに乗っていた現地の男性と会話する流れになり、「Hondaは最高だ。走りが違う。エンジンを見ろ」と、笑顔でボンネットの中を自慢された思い出があります。

なるほどHondaはF1にも参戦していますし、時速600~1,000km(マッハ0.6~1.0)で飛行するプライベートジェット機も作っています。そうしたイメージも手伝って、パワフルなエンジンと走りを連想する人が少なくないみたいですね。

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】
(写真はイメージです)

実は今回のテーマである「カーナビ」、Hondaがアイデンティティとして掲げるこのエンジンの開発に関する極秘情報を、外部メーカーに漏らさないよう努力したころから始まるのだとか。

その経緯は、Hondaが公式ホームページ上に公開する「語り継ぎたいこと」というコンテンツに詳しく紹介されています。

同ページによると、外部の会社に依頼していた自動車の電装品の技術が、エレクトロニクス技術の発展とともに、エンジン開発に影響を与えるようになったと言います。

今まで通りに電装品の開発を外部に任せていると、将来的にエンジン開発でも他社に依存する部分が出てきてしまいます。他社への依存が大きくなれば、核となるエンジン開発の極秘情報までさらけ出さなければいけなくなると、会社として判断したのですね。

Hondaでは自社開発の電装品の戦略が練られ、今後取り組むべき技術や課題が定められていったと言います。その中で、

<目的地を地図にインプットするだけで、自動的に道路を選択して目的地にたどり着けるようになっていく>(Hondaの公式ホームページより引用)

といった自動車の将来像が描かれ、コース誘導などの言葉が語られて、後の「カーナビ」に発展していったのだとか。

 

米電気電子学会(IEEE)から歴史的な業績と認定される

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】
(C)本田技研工業株式会社

ホンダは1981年、『アコード』という車種に世界で初めて、カーナビゲーションシステムを搭載します。当時の「カーナビ」は操作がアナログ。正確な地図が描かれた専用のシートに自分の通りたい経路をペンで記入し、ダッシュボードにマウントされた15cm四方のブラウン管モニターに、そのシートを装着する方式だったとか。

モニターには、方向の変化を感知するジャイロという制御装置と、トランスミッションに装着されたセンサーから割り出された現在位置が、光の点(ドット)で表示されます。

地図シートには光の点が透けて見える形になりますので、ドライバーは走りながら、その位置情報と自分の希望経路の線が重なるように運転をするだけで、コースが誘導される仕組みだったみたいです。

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】
(C)本田技研工業株式会社

この技術を開発するまでに、Hondaはカーナビゲーション専用の精密な地図を作る必要があったそうです。また、ジャイロという制御装置の開発には、かなりの時間と予算を費やしたと言います。それでも1981年に世界で初めて実用化された「カーナビ」は、画期的な発明品として競合他社を大いに驚かせました。

実際に開発から25年以上が経過した2017年3月2日には、米電気電子学会(IEEE)から歴史的な技術革新の業績を称えられ、「IEEEマイルストーン」に認定されています。「IEEEマイルストーン」とは原文のまま引きますが、

<the milestone program recognizes outstanding technical developments around the world.>(IEEEの公式ホームページより引用)

とあります。世界の際立って優れた技術革新を認定する、権威あるプログラムですね。同じく原文で引きますが、「IEEEマイルストーン」では、

<The world’s first map-based automotive navigation system>(IEEEの公式ホームページより引用)

と認められた様子。世界で初めて地図をベースにした自動ナビゲーションシステムを実用化したとして、評価されているのですね。

知らなかった!「カーナビ」は日本発のカー用品だった【日本の不思議】

IEEEによると、衛星利用測位システム(GPS)が世の中に誕生する14年前の偉業だったと言います。今では当たり前に使っている「カーナビ」も、誕生の背景には困難に勇敢に立ち向かう企業人たちの苦闘と、その姿勢に共鳴した関係企業の協力があったのですね。

 

[First Map-Based Car Navigation System Debuted 14 Years Before GPS – IEEE]
[CVCCエンジン成功の舞台裏で – Honda]
[Photos by shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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