トイレのマークはさまざまなアイデアが出される

(第18回オリンピック競技大会(東京) ピクトグラム(施設シンボル) )
オリンピックを重ねるごとに、さまざまな時代のニーズと歩調を合わせ、世界的に広まっていったトイレのサイン、今ではそれらしい建物に掲げてあれば、条件反射的に「ここはトイレだ」と、海外旅行先であっても安心して駆け込めるほど定着していますよね。
今でこそ当たり前のサインとなっていますが、そもそもどうして男女のマークをもって、当時のデザイナーたちはトイレを表現しようと思ったのでしょう。上述した日刊スポーツウェブ版の記事では、とぐろを巻いた大便や、脚を上げて用を足すトイプードル、帽子やハイヒールなど、さまざまなデザインが当時の議論でも候補に挙がったと紹介されています。
結果としてリーダーである故・田中一光氏の提案が、メンバーの協議の下で採用されたと言いますが、男女のマーク=トイレという発想になった経緯はどうだったのでしょうか。

(※画像はイメージです)
その点を、故・田中一光氏がかつて所属した日本デザインセンターに問い合わせると、当時のメンバーの一人で、日本デザインセンターの最高顧問である永井一正氏のコメントを広報を通じて得られました。永井一正氏と言えば、2020年の東京オリンピックのエンブレム選考で審査員の代表を務めた、デザイン界の巨匠ですね。
永井氏の記憶によれば、当時の参加メンバーには上述した故・田中一光氏、横尾忠則氏、原田維夫氏の他にも、山下芳郎氏、瀧本唯人氏、宇野亜喜良氏、福田繁雄氏、江島任氏、故・木村恒久氏がおり、メンバー全員がチームとなってアイデアを出し合ったと言います
「当時、トイレは全て和式だった。なので、トイレのマークといえば便器のマークしかなかった。これではダメだ、外国の人たちに伝わらない、ということでこの男女の形になった。シャワーも、シャワーってなんだ? 上から浴びるらしい、ということから始まっているので、どのピクトグラムにしても、試行錯誤して作った」
以上は広報を通じて得た永井一正氏のコメントです。なるほど当時のトイレが和式だった、シャワーも一般的ではなかったという時代背景は、今に生きていると見落としてしまいますよね。
とはいえ永井一正氏によれば、トイレのサインを故・田中一光氏をはじめとする、日本人のデザインチームが世界で初めて考案しているかどうかは、疑問が残るとの話でした。1964年の東京五輪の施設に全面的に導入され、世界的に広まるきっかけとはなったものの、それ以前にどこかで類似のサインが作られている可能性は十分にあるという話ですね。
「視覚言語の先駆者は、ノイラートである。ノイラートがトイレの男女マークとして何か作っているかどうかはわからないが、調べればなにか分かるかも」
との情報もありました。ノイラート(1882-1945)とはオーストリアの学者で、何らかの事象と意味を視覚的に(絵文字で)表現する「アイソタイプ」と言われるシステムを考案し、広めた人ですね。そのオットー・ノイラートまでさかのぼってみないと、分からないという話になります。
一体、世界で初めてトイレの男女マークを考案したのは誰?
さらに取材を続けてみました!

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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
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