縁結びのご利益があるとされるお寺や神社が点在する京都。しかし縁結びでも、さらにパワーアップした「玉の輿祈願」で知られる神社があるのをご存知でしょうか?
洛北エリア、閑静な住宅街が広がる北区紫野に佇む「今宮神社」。京都市内の中心地から少し離れていることもあり、観光客は少なく落ち着いた風情が漂います。鮮やかな朱色の楼門がお出迎え。
今宮神社は都に流行した疫病を鎮めるため、平安末期の994年に建てられましたが、創建当時は賑わったものの、中世に入る頃から不安定な社会情勢により徐々に荒廃。その後の再建事業によって再び盛況を取り戻すのですが、その復興に尽力したのが「お玉さん(後の桂昌院)」という女性と伝えられています。
お玉さんは、当時身分の低い西陣の八百屋の娘でありましたが父親が若くして急死。母親が地元の下級武士と再婚したことが縁となり、侍女として大奥へ上がります。そこで三代将軍・徳川家光に見初められ側室に迎え入れられることに。やがて五代将軍となる綱吉を出産したのです。
「玉の輿」という言葉は、そのお玉さんがお興に乗って江戸へ向かったことが由来とされているのだそう(諸説あり)。
八百屋の娘からトントン拍子に将軍の母に上りつめた、“和製シンデレラ”のようなお玉さんによって再興されたことから、今宮神社は玉の輿にご利益があるとされるようになったのだとか。
社務所では「玉の輿お守」も販売! お玉さんのエピソードにちなみ、聖護院大根、賀茂なすなどの京野菜の刺繍があしらわれています。
玉の輿祈願で有名な今宮神社ですが、境内にある「阿呆賢(あほかし)さん」と呼ばれる石も必見。
阿呆賢さんは、古くから神占石とも言われ、病弱な人が平癒を祈りながら石を撫でて、体の悪いところを摩れば病気の回復が早まると信じられているのだそう。
さらに「重軽石」とも呼ばれ、まず石を手の平で軽く三度たたいて持ち上げた後、願いを込めながら三度撫でて再度持ち上げます。石が軽くなっていれば願いが成就すると伝えられているようです。
次は参拝とともに楽しみたい、門前名物「あぶり餅」を実食ルポ!
参拝後のお楽しみは門前名物「あぶり餅」。東門を抜けた参道には二軒の茶屋が向かい合って並んでいます。
左側の「一文字和輔」は創業長保2年(1000年)。なんと平安時代から続く日本最古の和菓子屋なんだそう! 右側の「かざりや」は一文字和輔の約600年後輩とはいえど、創業寛永14年(1637年)。およそ400年もの間競い合っている両店ですが、どちらの女将も「あぶり餅、どうどすえ~」「おこしやす〜」など京都弁を使われいて、客引きがなんともはんなり。
なんとなく女将と目があってしまい、一文字和輔に入店。店頭では、あぶり餅が香ばしい香りを漂わせながら丁寧に焼き上げられていました。
きな粉をまぶした親指大ほどのお餅を炭火で炙った後、白味噌の甘だれに絡められたあぶり餅。香ばしさ、白味噌の甘い風味、お餅のもちもち感が絶妙で、あっという間にいただいてしまいました! 温かいお茶がいただけるのもうれしい。ちなみにこのあぶり餅を食べると、無病息災のご利益があると伝えられているのだそう。
今宮神社は京都駅から電車とバスに乗って約30分。玉の輿の夢を叶えたいと思う女性は、ぜひ一度ご祈願されてみてはいかがでしょうか?
[All photos by Nao]