海外旅行に出かけるとなると、やはり治安がちょっと気になりますよね。では世界で最も注意したい地域はどこになるのでしょう? 今回は日本旅行業協会や外務省などの情報をもとに、世界で要注意のエリアランキングを作成してみました。
ランキングの作成方法は、日本旅行業協会が世界観光統計資料集をもとに地域別でまとめた海外旅行者の数と、外務省が発表する海外法人の援護件数から、犯罪の発生率を出してみました。
外務省の邦人援護件数は最新版がすぐに見つかりましたが、地域別の日本人海外旅行者をまとめた世界観光統計資料集の最新情報が手に入らなかったため、ちょっと古いですがそれぞれ2005年のデータを使いました。15年近く昔のデータですので現在の数字で計算するとランキング結果が変わる可能性もありますが、1つの参考にしてみてくださいね。
ワースト3位・・・中東
今回の対象地域は、アジア、欧州、北米、大洋州(オセアニア)、中南米、アフリカ、中東の7地域。
ワースト3位の中東(中近東)は、ヨーロッパから見て極東の手前に広がる国々になります。日本人の観光客(中近東)は172,557人。海外邦人援護件数(中東)が281件になります。他の地域との関係で見ると、281件は全体の1.8%と最も少なく、最新の2016年のデータでも191件(1.0%)と援護件数自体はエリア別で最小なのですが、中東(中近東)へ訪れる日本人観光客がそもそも少ないために、高い発生率となりました。
海外邦人擁護とは、日本の在外公館や交流協会が海外で事故・災害・犯罪被害など何らかのトラブルに遭った邦人に対して行う援護を言います。この数字は件数で人数とは若干の誤差があり、援護には犯罪以外に事故・災害も含まれているため、必ずしも治安と直結するわけではありません。
また、日本人観光客数の参考元である日本旅行業協会が定義する中近東の国々と、海外邦人援護件数を発表する外務省の定義する中東の国々にも差があります。そのため、日本旅行業界協会の中近東の中から、観光客数の特に多いエジプトをアフリカとして計算し、外務省の定義に近づけるために、日本旅行業協会でヨーロッパに分類されていたトルコとイスラエルを加えて計算しました。
2018年までの13年間に目まぐるしい変化があって、観光客の数字が大きく変わっている可能性もあります。ですが2005年の情報で考えると、中東(中近東)は渡航に注意したいエリアだと分かります。
中近東(中東)の中で最も日本人観光客が2005年の段階で多かった地域はバーレーン、サウジアラビア、オマーンとなっています。外務省の安全ホームページを見ると、バーレーンは危険表示がレベル1、サウジアラビアもレベル1が大半で国境沿いの地域でレベル2、3(渡航中止勧告)が見られます。一方のオマーンは危険度表示がありません。
レベルが上がるほど危険で、レベル4に関しては退避勧告が出ています。その意味で中東(中近東)に初めて旅行に出向く場合は、TABIZINEの過去記事「初めての中東旅行はここで決まり!【中東の安全な国】3選」でも紹介したオマーンがまずは最良の選択肢と言えるかもしれませんね。
ワースト2位・・・アフリカ
アフリカの海外邦人援護件数は2005年版で全体の2.0%の320件、2016年版でも1.8%の343件と他の地域と比べると少ないです。しかし、日本からの観光客数はエジプトを加えても139,874人(2005年のデータ)と、それほど数は多くはない地域ですから、発生率もワースト2位になりました。
外務省の海外安全ホームページによれば、アフリカはリビア、ニジェール、マリ、西サハラ地域、ナイジェリア、中央アフリカ共和国、南スーダン、エチオピア、ソマリア、ケニア、コンゴの全域、あるいは一部に対してレベル4の退避勧告が出ています。
一方で北部と比べると南部の南アフリカ共和国、ナミビア、ボツワナ、レソト、スワジランド、モザンビーク、タンザニアなどは危険度レベルが0の地域も多いです。TABIZINEの過去記事「初のアフリカ旅行はここで決まり!アフリカ大陸で観光に適した安全な国3選」でも紹介したように、初めてのアフリカ旅行では南部が候補になるかもしれませんね。
ただ、暴力犯罪の発生率で世界の都市を比較したランキングによると、南アフリカのケープタウン、ネルソン・マンデラ・ベイ、ダーバンなどがワースト50位に入ると言います。外務省から退避勧告、渡航中止勧告などが出ていなくても、観光で訪れる際にはくれぐれも身の安全に注意したいですね。
ワースト1位・・・中南米
次は中南米。カリブ海地域、中央アメリカ、南アメリカの国々に訪れた人の数は合計で178,211人。その中南米で同じ2005年に記録されている海外邦人擁護件数は756件です。中南米の国々に対して外務省からの退避勧告(レベル4)は執筆時点で出ていませんが、コロンビアを中心に渡航中止勧告のレベル3が出ている地域もあります。
また、人口10万人に対する殺人事件の発生率を世界の都市別に調べたランキングでは、ベネズエラのカラカス、メキシコのアカプルコ、ホンジュラスのサンペドロスラ、同じくホンジュラスのディストリトセントラル、メキシコのビクトリアが世界ワースト5に入っています。
中南米には旅人をうならせる見どころがいっぱいで、思いつくだけでもククルカン神殿(メキシコ)、リオバンバからの山岳鉄道(エクアドル)、マチュ・ピチュ(ペルー)、マラカナン・スタジアム(ブラジル)、アタカマの巨人(チリ)、フエゴ島のウシュアイア(アルゼンチン)などが思い浮かび、それこそ挙げればきりがないほどですが、旅行に出かける際には身の安全には十分に注意したいですね。
以上、海外の注意したいエリアランキングを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? 逆にワーストランキングで下位、言い換えれば比較的安全と考えられるエリアは、ワースト4位が欧州、ワースト5位が北米、ワースト6位がアジア、ワースト7位が太平洋地域(オセアニア)となりました。
ただ、4位の欧州は今回の調査に限って言えば、3位の中東と意外にも差が大きくはありませんでした。不必要に怖がる必要はないかもしれませんが、「大丈夫だろう」と気分が大きくなってしまう人ほど、旅先で犯罪に遭いやすいと聞きます。どこの国に行く場合でも、身の安全にはくれぐれも注意したいですね。
[II.海外邦人援護統計の推移と2005年の内訳(グラフ) – 外務省]
[2016年(平成28年)海外邦人援護統計の公表 – 外務省]
[5.海外旅行者の旅行先(受入国統計) – 日本旅行業協会]
[海外安全ホームページ – 外務省]
[The Most Dangerous Cities in the World – worldatlas]
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