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車内で爆睡したゴツイ男性
ロンドンの地下鉄では、基本的に人は寝ません。ですが、夜遅めの時間帯に地下鉄に乗り込んだら、爆音が聞こえてきたことがありました。車内に座っている黒人男性から発せられるいびきでした。
彼の斜め向かいの席に着きました。電車がもうすぐ郊外と言ってもいいエリアに差し掛かろうとしていたとき、隣の席の女性たちが彼について話し始めたのが聞こえてきました。女性二人はもともと面識がない様子です。「このまま彼が寝過ごしてもいけないし、でも起こそうとして暴れられても危険だし・・・」。
二人は最寄り駅が一緒だったようで、その駅が近づいてきたとき、意を決して彼を囲むように立ちました。肩をトントンっと叩いたあとさっと後ろに下がりながら、「私たちはあなたがどこに行くのか知りませんけれど!もうすぐ〇〇駅ですよー」。
そしたら、彼は「んー」と言いながら目を覚ましました。そしてもごもご何か言いながら、電車を降りて改札に向かっていったのが見えました。
彼にとって起こされたのが、ちょうど最寄り駅だった奇跡! 日本でも終点で寝ている人がいたら、周りの人や係の人が起こしてくれる、というシーンは見かけますが、地下鉄で寝たら周りから心配されるということは日本にはないことだなあと思いました。
車内で空腹に耐えかねた女性
ロンドンの地下鉄では、基本的に人は食べものを食べません。これは東京と同じです。郊外の方で、電車がガラガラの時間帯に中東系の人がコーンスープを飲んでいたり、中学生がクッキーを食べていたりするのをみかけましたが。
あるとき、どうしても我慢できなくなったのでしょうか。まだまだ立っている人も多く混んでいる時間帯に、うら若き女性がおもむろに日本食チェーン店の寿司折を取りだした場面に遭遇しました。そして箸袋をやぶり、お箸で寿司を食べ始めました。あたりにしょうゆの香りがぷーんと漂います。そんなときに隣に座っていたのが日本人の筆者ということに偶然の面白さを、またこの状況で食べ続ける彼女のハートの強さにある意味感服し、一人心の中で盛り上がりました。
車内で熱唱する男性
22時くらいのこと。割と余裕のある車内に乗りこんできたスティービー・ワンダー風のルックスの男性。かなりの声量で名曲、EaglesのDESPERADOを熱唱し始めました。
うますぎて、聞き惚れるほどでしたが。ロンドンと言えど、さすがに珍しい出来事なのでニヤニヤしていたら、向かいの人と目が合いました。その人もニヤニヤしながら、携帯で彼のムービーを撮っていました。
隣の男性は、携帯電話をかけはじめました。さすがに歌は電話の相手にも聞こえるので、「今どこにいるの?!」と訊かれたようで、ちょっと笑いながら状況を説明していました。
その後最寄り駅で降りたら、若いOL風の女性が音楽を聴きながらやはり熱唱していた場面に遭遇。そんな人を普段みかけないのに、物事は重なるものだなあと感じた次第です。
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