「フランスやイギリス、イタリアなど王道のヨーロッパの国々もいいけれど、もっと違う場所に行ってみたい」― そう思っていませんか?
近年ヨーロッパ全体の経済発展に伴って、中東欧や南欧の国々が新たな旅先として存在感を増しています。
それらの国々は、ヨーロッパの先進国に比べると物価が安く、日本で思われているよりは治安もずっと良い穴場の旅先。
ありきたりではないヨーロッパ旅行を求める人におすすめの6ヵ国をご紹介します。
ハンガリー
東ヨーロッパに位置する小国、ハンガリー。ヨーロッパの国でありながら、ハンガリーの人々はもともとアジアからやってきたフン族を祖先にもつため、日本人にとってはどこかアジア的な親しみやすさを感じる国です。
首都のブダペストは、「ドナウの真珠」と称されるほど美しい都市。その歴史的な町並みは、世界遺産にも登録されています。
ドナウ河畔にたたずむ壮麗な国会議事堂は「美しすぎる国会議事堂」として有名。宮殿のように豪華な内部は見学も可能で、観光スポットとしても人気を集めています。
夜になったら、ドナウ川にかかるくさり橋と川沿いの夜景を楽しんで。ネオンや高層ビルが並ぶ派手な夜景ではありませんが、歴史的建造物がオレンジの光に照らされるしっとりとした情緒が格別です。
ハンガリーは、世界でも指折りの温泉大国。ハンガリーにおける温泉の歴史は古く、ローマ時代にまでさかのぼるといいます。プダペストにも数多くの温泉があり、特に有名なのが「セーチェニ温泉」。お湯に浸かりながらチェスに興じるという、日本とはまた違ったハンガリーの温泉文化に触れられます。
プダペストから離れると、ハンガリー発祥の地エステルゴムや、「ハンガリーで最も美しい村」と称される世界遺産のホッローケー村、世界三大貴腐ワインの「トカイワイン」で有名なトカイなど、まだまだ近代化されきっていない素朴な風景がいっぱい。
日本人の口に合うと評判のハンガリー料理とともに、心安らぐひとときを過ごしてみては。
クロアチア
ヨーロッパ南東部のバルカン半島に位置するクロアチアは、ヨーロッパ屈指の絶景の宝庫。
旧市街全体が世界遺産に登録されているドゥブロヴニクをはじめ、ジブリ映画「紅の豚」のモデルといわれるアドリア海沿岸の町々は、クロアチア旅行のハイライトです。日本ではとにかくドゥブロヴニクが有名ですが、クロアチアのアドリア海沿岸には、ドゥブロヴニク以外にも魅力あふれる美しい町が多数あります。
ローマ皇帝の宮殿跡に築かれたという、珍しい成り立ちをもつ世界遺産の町スプリット、ヨーロッパでも有数のリゾート地として知られるフヴァル島、世界遺産の古都トロギールなど、個性あふれる美しい風景の数々は、一度見れば忘れられなくなること間違いなし。
絵のような町並みだけでなく、海に山に渓谷にと、豊かな自然も見どころのクロアチア。なかでも「緑の絶景」として名高い、世界遺産のプリトヴィツェ湖群国立公園は必見。自然好きはもちろん、そうでなくても壮大な楽園のような風景に夢中になってしまうはずです。
ポーランド
中世の面影を残すメルヘンチックな町並みで女性人気上昇中のポーランド。バルト海沿岸の港町グダンスクや、世界遺産の首都ワルシャワ、古都クラクフ、ルネッサンス都市ザモシチなど、ポーランドには日本ではあまり知られていない美しい町が数多く眠っています。
美しい町並みから自然、負の世界遺産として有名なアウシュビッツ博物館まで、ポーランドの世界遺産は16件(2018年4月現在)。ポーランドは知られざる世界遺産の宝庫といえるでしょう。
女性にとっては、温かみのあるキュートで素朴なデザインのポーランド陶器も魅力。ポーランド陶器の里、ボレスワヴィエツでは、ポーランド陶器を現地価格で安く買えるほか、工房で製造工程を見学することもできます。
ポーランドは今回ご紹介する6ヵ国のなかでも、特に旅行のコストパフォーマンスが高い国。たとえば、首都のワルシャワでもドミトリーのベッドなら1泊800円程度から宿泊できます。
それでいて、長距離バスや鉄道などの設備は近代的。ポーランドは、女性でも安心・快適な旅をお得に楽しめる国の代表格です。
マルタ
イタリアの南、地中海に浮かぶ島国マルタ。日本での知名度はさほど高くありませんが、自然と歴史が織り成す美しい風景と、温暖で太陽に恵まれた気候から、ヨーロッパ人のあいだでは人気のリゾート地です。
おもにマルタ島とゴゾ島、コミノ島から成り、面積は東京23区の半分ほどという小さな島国ですが、れっきとした独立国家。マルタ島にある首都のヴァレッタは、旧市街がまるごと世界遺産に登録されており、海に浮かぶ要塞のような特異な景観が楽しめます。
郊外にも、実写版「ポパイ」に使われたセットが残るポパイ村や、古都イムディーナ、マルタ島とゴゾ島にまたがる世界遺産の巨石神殿群など、見どころ満載。
コミノ島周辺のビーチは透明度抜群で、ボートが宙に浮かんでいるかのように見えるビーチ「ブルーラグーン」は今注目の絶景スポットです。
マルタといえば、猫の存在も忘れてはなりません。マルタは「世界で最も猫が住みやすい場所」ともいわれるほど、いたるところで猫がのんびりと暮らしている猫天国。猫好きなら、ますますシャッターが止まらなくなること間違いありません。
ポルトガル
ヨーロッパの国々のなかでも、実際に訪れた人のあいだで高い評価を得ているのがポルトガル。
スペインのお隣でありながら、スペインのからっとした陽気な明るさとはどこか違う、少し哀愁をはらんだノスタルジックな風景と空気感が、訪れる人々の心をつかんで離しません。
なかでも「古き良きポルトガル」の雰囲気が色濃く残っているのが、世界遺産の町ポルト。重厚感漂う、坂の多いカラフルな町並みは、どことなく昭和的なノスタルジーを感じさせます。
世界遺産のジェロニモス修道院やシントラをはじめ、首都リスボンとその近郊にも壮大なスケールの見どころが点在。海洋進出で栄華を極めたポルトガルの黄金時代が垣間見えます。
近年じわじわと知名度が高まっているのが、毎年夏に傘祭りが開催される中部の町アゲダ。無数のカラフルな傘が空に浮かぶ爽快な景色を見れば、それだけで元気がわいてくることでしょう。
ラトビア
「バルト三国」と総称される、エストニア、ラトビア、リトアニアのうち、真ん中に位置するのがラトビアです。
旧市街と新市街がともに世界遺産に登録されている首都のリガは、ヨーロッパでも屈指の美景を誇る港町。「東欧のパリ」とも称されましたが、その美しさは本家のパリにも決して負けていません。
リガはヨーロッパを代表する建築都市のひとつ。聖堂や教会をはじめ、旧市街には中世の雰囲気を伝える建築物が多数残り、新市街には、19世紀後半から20世紀初頭にかけての奇想天外なユーゲントシュティール(アールヌーヴォー)建築が並びます。
なんとリガ中心部の建築物の4割はユーゲントシュティール様式で建てられているといわれるほど。リガはヨーロッパでもトップクラスのユーゲントシュティールの都なのです。
リガの南約70キロのところには、「バルトのヴェルサイユ」ともいわれるほど豪華で美しいルンダーレ宮殿があり、リガからの日帰り観光も可能です。
バルト三国はいずれも面積が小さく、バスで簡単に行き来ができるため、ラトビアを旅する際にはエストニアやリトアニアとあわせて旅するのがおすすめ。フィンランドのヘルシンキからエストニアのタリンまでは、高速船でわずか1時間半と近いため、フィンランドとセットにしてもいいでしょう。
今まで知らなかったヨーロッパの魅力に出会える6ヵ国。実際に旅してみると、その美しさと居心地の良さにすっかり心を奪われることでしょう。
[All Photos by shutterstock.com]