ラオス基本情報
ラオス人民民主共和国(以下ラオス)は、東南アジアのインドシナ半島に位置する国。中国、ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアの5ヵ国に囲まれた、ASEAN唯一の内陸国です。
面積は日本の本州と同程度で、人口は約691万人。国土の約70パーセントを高原や山岳地帯が占めるため、人口の10パーセントが首都のビエンチャンに集中しています。
民族は過半数を占めるラーオ族のほか、モン族やヤオ族、アカ族といった少数民族も多く、少数民族が生み出すカラフルな雑貨は、ラオス名物のひとつにもなっています。
通貨はキープで、100ラオスキープがおよそ1.3円です。(2018年5月現在)
公用語はラーオ語ですが、観光地のホテルやレストラン、ショップなどでは、英語も問題なく通じます。
ラオス旅行のベストシーズン
ラオスの季節は、おもに暑季(3~5月)、雨季(6~10月)、乾季(11~2月)の3つに分けられます。全体としては、年間を通じて暑い熱帯モンスーン気候ですが、乾季のルアンパバーンやヴィエンチャンでは、朝晩は15度前後まで気温が下がることもあり、調節しやすい服装の準備が必要です。
ラオス旅行のベストシーズンは、乾季にあたる11~2月。雨が少ないうえ、暑すぎず過ごしやすいこの時期は、ラオスを満喫するのにぴったりです。
ラオスへの道
2018年5月現在、日本とラオスを結ぶ直航便はなく、中国やタイ、ベトナムなどで必ず一度は飛行機を乗り継がなければなりません。タイのバンコク乗り継ぎが、本数も多く比較的接続が良いので人気があります。
日本からラオスまでのフライト所要時間は、乗り継ぎ時間も含めて約9時間~。
バックパッカーのあいだでは、タイのバンコクからラオスの首都・ビエンチャンまでの夜行列車の旅(タイのノンカイ駅で乗り換えあり)も人気です。
日本パスポート保持者の場合、観光目的の15日以内の滞在ならビザは不要。ただし、ラオス入国時にパスポートの残存期間が6ヵ月以上必要なので、パスポートの期限が近づいている場合は要注意です。
ラオスの魅力
日本でほとんど話題に上ることのないラオス。ラオスに対して具体的なイメージを持ち合わせている人は少ないのではないでしょうか。
はっきり言ってしまえば、ラオスは地味な国です。
これはラオス情報文化観光省も認めるところで、自ら「アンコールワットのように壮大な遺跡があるわけでなし、エメラルドグリーンの海が広がっているわけでもなし。タイのトムヤンクンのような名の知れた料理があるわけでもない。」と評しています。
実に謙虚ですが、ラオスの魅力はなんといっても手つかずの自然と、穏やかな人々の優しい笑顔。ラオスには、先進国や経済発展を急ぐ国では決して感じることのできない独特の空気感があり、一度でもラオスを訪れた人は口を揃えて「癒された」といいます。
「東南アジア最後の桃源郷」とも呼ばれるラオスは、GDPや経済成長率では測れない、心の豊かさが残っている国なのです。
首都・ビエンチャン
かつてベトナムやカンボジアとともに、フランスの植民地だったラオス。首都のビエンチャンには、フランス風のオープンカフェなど、フランス統治の名残を感じさせる風景があります。
そんなビエンチャンのランドマークが、フランス・パリの凱旋門を模して造られた「パトゥーサイ(凱旋門)」。もともとは戦没者の慰霊碑として1960年に建設が始められたもので、天井には、ラオスの典型的なモチーフである神々の像などを見ることができます。
東南アジアとヨーロッパの建築が融合したパトゥーサイを見ていると、「ここはどこだっけ?」と不思議な気持ちになるかもしれません。
ラオスの紙幣にも描かれている、ラオス仏教最高の寺院が、タート・ルアン。3世紀ごろ、インドからの使者がブッダの胸骨を納めるためにこの寺を建てたという伝説が残っています。
ビエンチャンのみならず、ラオスの象徴ともいえるタート・ルアン。黄金色に輝く仏塔はラオス人の信心深さと誇りを表しているかのようです。
独特の世界観で注目を集めているのが、ビエンチャン近郊にある「ブッダパーク(ワット・シェンクアーン)」。ベトナムで仏教を学び、仏教とヒンドゥー教に傾倒していたブネラ氏によって、現世から解放される「癒しの公園」として建てられました。
実際には、癒しというよりも、思わずつっこまずにはいられない奇妙な光景のオンパレード。混沌とした宗教世界から目が離せません。
世界遺産の町・ルアンパバーン
ラオスで最も有名な観光地といえば、なんといっても町全体が世界遺産に登録されている古都・ルアンパバーン。イギリスの旅行雑誌・ワンダーラストの「満足度の高い観光地ランキング」で第一位に選ばれたこともある、近年世界的に人気が高まっている旅先です。
かつてはラーンサーン王国の都として栄えたルアンパバーンは、カーン川とメコン川が合流する地点に開かれた緑豊かな街。ラオスの伝統的な建造物と、フランス植民地時代のコロニアル建築が融合した幻想的な町並みは、世界中の旅人を魅了してやみません。
ルアンパバーンを代表する寺院が、1560年に王家の菩提寺として建立されたワット・シェントーン。典型的なルアンパバーン様式の建物で、軒に向かって低く流れるような屋根、タイルによって描かれた細やかなレリーフなど、見ればみるほど芸術的な寺院です。
ルアンパバーンを訪れたなら、町を一望できるプーシーの丘にのぼるのを忘れずに。豊かな緑に抱かれた、ルアンパバーンのノスタルジックな風景に、心もほっと和みます。
夜のルアンパバーンの名物が、ナイトマーケット。ルアンパバーンのナイトマーケットは、鮮やかな色彩と繊細な刺繍で知られる少数民族・モン族の雑貨が充実していることで知られ、ほかでは手に入りにくい個性的な品物が安く買えることで人気を集めています。
客引きも激しくなく、おっとりとしているのがラオス流。色とりどりのポーチやバッグ、絵画などは見ているだけでも楽しめます。
アクティビティタウン・バンビエン
ビエンチャンとルアンパバーンのあいだに位置するバンビエンは、ソン川に沿って石灰岩の岩山が連なるダイナミックな景観が広がる景勝地。
アクティビティタウンとして有名で、なかでもタイヤのような大きな浮き輪に乗って川の流れに身を任せる「チュービング」と呼ばれるアクティビティが人気です。バンビエンの雄大な自然風景を眺めながら川を下るうちに、頭のなかもからっぽに。
ほかにもカヤックやジップラインなど、ラオスの大自然と触れ合えるアクティビティが満載です。
壮大な遺跡があるわけでもなければ、エメラルドグリーンのビーチがあるわけでもないラオス。それでもこの国には、行った人にしかわからない、心の琴線に触れる優しさがあるのです。
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