JR「東京」駅で新幹線を待っているとき、季節感を感じる服装の清掃スタッフを目にしたことはありませんか?
清掃員たちは新幹線が折り返し運転を始めるまでの停車時間12分のうち、わずか7分で新幹線内のゴミ回収、トイレ掃除、清掃、座席カバー交換、忘れ物チェックなどを行っています。その丁寧で迅速なサービスは海外のメディアからも「7ミニッツミラクル」として注目を集め、ハーバードビジネススクールの教材にまでなっています。
そこで、どれだけすごい清掃を行っているのか、実際に東京駅に行って見学してきました。
ハワイアンなテイスト、夏を感じる装い
新幹線が「東京」駅に滑り込んでくる前から、一つの降車口につき1〜2名の清掃スタッフがが新幹線の到着を待っていました。驚いたのは、スタッフたちの装い。女性は赤いアロハシャツ、男性は青いアロハシャツを着ていました。ハンティング型の帽子にはハイビスカスまで付いていてオシャレで涼しげ。大きな黒いバッグには清掃用品が入っているようでした。
新幹線が停車すると乗車客のゴミを回収し、新幹線内の清掃を行う
新幹線が東京駅に到着すると同時に、ゴミ袋を広げて、乗車客のゴミの回収を行います。丁寧にお礼をしながらゴミを回収していき、全ての乗車客が新幹線を降りると、新幹線内の清掃を開始。
清掃中は乗客が乗ってこないように、新幹線の降車口には上記画像の「がんばるぞ!日本」の文字が入ったプレートがつけられていました。
ホームからは新幹線の中でテキパキと清掃を行うスタッフの姿が見えます。座席を回転させて、床に落ちているゴミや汚れを掃除したり、座席カバーの交換を行っている様子でした。
まさにミラクル! きっちり7分で清掃が完了
今回、本当に7分で清掃が終わるのか時間をはかってみました。すると、きっちり7分で清掃が完了! 続々と清掃を終えたスタッフが新幹線から出てきました。新幹線から出てくる際、お辞儀をすることも忘れていません。
その様子を見て、とてもありがたいサービスだと感じると同時に、胸が熱くなりました。世界でこれほど丁寧&迅速な清掃サービスを行っている電車や特急を他に知りません。日本らしい「おもてなし」の文化が詰まったサービスだと感じました。
一連のサービスが「新幹線劇場」と呼ばれているのも納得です。
新幹線の清掃を行っているのは、JR東日本テクノハートTESSEI
JR東日本テクノハートTESSEIは新幹線の清掃に特化した会社です。1日約170本の列車、座席数約174,000の清掃を行っているそうです。新幹線は7両編成から12両編成までありますが、10編成の新幹線を基本的に22名で清掃しているとのこと。そのため、1両を2名程度で清掃しているということになります。
また、清掃スタッフは幅広い年齢層の男女構成されていて、ダイバーシティの促進にも一役買っている様子でした。
お掃除の仕事と言えば「汚い」「キツイ」といった印象がありますよね? しかし、こちらの会社はそのようなマイナスなイメージを覆し「感動を呼ぶサービスを与える仕事」にしたと言っても過言ではないでしょう。
普段受けているサービスは当たり前ではない
「7ミニッツミラクル」を目の当たりにして、JR東日本テクノハートTESSEIのスタッフや経営陣たちの並外れた工夫と努力があってこそ、このようなサービスを受けられているのだと感じました。
たった7分で清掃を完璧に終わらせるだけではなく、装いで季節感を与え、乗客へのお礼も欠かさない・・・普段何気なく受けているサービスですが、考えてみると、すごいものがあります。
この先、新幹線を利用する際は、彼ら、彼女らに感謝の気持ちを持って、乗車したいと思いました。
参考
[Tha Mainichi]
[JR東日本テクノハートTESSEI]
[All photos by あやみ]