国内の某空港でグランドスタッフとして働いていた経験のある蒼井空(あおい そら:仮名)さんに聞いた、「今だから話せる驚きの実話」。さまざまな国の人々が行き交う空港では、文化ギャップを感じる興味深い出来事が日々繰り広げられているのです。第2回目は、どう見ても本物ではない、偽造パスポートのお話。
グランドスタッフを悩ませるドキュメントチェック
グランドスタッフの業務の中でも、特に神経を使う仕事が、チェックインカウンターでのドキュメントチェック。混んでいるときは特に、自分一人でお客さんを待たせないようにさばいていかなくてはならないので、気を使うそうです。
各国で異なるパスポートデザイン
パスポートのデザインは、ご存知の通り国により違います。一般的に表紙の色は、赤、青、緑、黒の4色が多いのですが、もちろん例外もあります。中のページはブラックライトをあてると絵柄が浮かび上がる仕様になっているものや、パラパラ漫画になっているものも。
日本のパスポートも、2020年東京オリンピック・パラリンピックを念頭に、その前年の2019年度中の導入を目指して新デザインが発表されましたよね。表紙は現在と同様ですが、中のページの基本デザインが葛飾北斎の「冨嶽三十六景」になります。見開きごとに「冨嶽三十六景」の各作品を採用し、全ページ異なるデザインにすることで、偽変造対策にも有益だそう。
こんな風に各国違うので、初めてその国のパスポートを目にしたときは、特に緊張感を持ってドキュメントチェックをするのだとか。
あまりにも手作り感あふれる偽造パスポート
「グランドスタッフ研修でも、過去没収された偽造パスポートを勉強用に見せてもらったことはあるのですが、あるとき目にしたパスポートは、どう見ても本物に見えない、ありえないほど“偽造”なパスポートでした。
まず、表紙は明らかにカラーコピーを貼り付けたような感じでしたし、中のページの大きさがそろっていなくて、製本状態もゆがんでいました。これは明らかに偽造だろうと上司を呼び対応してもらいましたが、このパスポートでドキュメントチェックをスルーできると思っていることが怖かったです」(蒼井さん談)
偽造パスポートを所持している人の特徴
「偽造パスポートを所持している人も、チェックインカウンターでの対応は一見普通です。そうでなければ怪しまれますので、当然といえば当然ですね。しかしおかしいな、と気づいていろいろ質問していくと、急に“自分はすごく急いでいるんだ”という態度に変わります。
『何でそんなことを聞くんだ?』『とにかく急いでるんだから早く通してくれ』という風に、態度が豹変する人が多いですね。
対応している間は、他のお客様には待っていただくことになってしまいます。ご迷惑をおかけしてしまうので、偽造パスポートはそうした面でも頭の痛い問題です・・・」(蒼井さん談)
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