国内の某空港でグランドスタッフとして働いていた経験のある蒼井空(あおい そら:仮名)さんに聞いた、「今だから話せる驚きの実話」。さまざまな国の人々が行き交う空港では、文化ギャップを感じる興味深い出来事が日々繰り広げられているのです。第5回目は、チェックインカウンターで応対する、怖いビジネスマンのお話。
投げられるパスポート、長蛇の列にヤジが飛ぶ
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基本的にビジネスで飛行機を利用する人は、空港慣れしていて急いでいることが多いそう。中国行きの午前便は特にそうしたビジネスマンが乗客に多く、グランドスタッフは効率よくチェックインを回していかねばとプレッシャーを感じるのだと言います。
「慣れていて急いでいるビジネスマンは、まずパスポートをカウンターに投げます。“置く”のではなく、本当に“投げる”んです・・・。決まり文句は『今日混んでる?』。返事はたいてい『あ、そう』です。機材や席の配列など、ご自身の搭乗する便についてつっこんだ質問をされることもありますね。
混んでいるときに、ヤジが飛ぶのも日常茶飯事。『はよせーや』『ここだけめっちゃ遅いぞ』など、みなさんイライラした口調で催促されます。焦りますよ」(蒼井さん談)
「SAY OHAYO GOZAIMASU.」
チェックインカウンターのグランドスタッフにも定型句があります。基本は、「いらっしゃいませ、航空券とパスポートをお預かりします」。しかし、第一声で「おはようございます」と言わないと怒り出す方もいるのだとか。
「噂には聞いていたんです。まず『おはようございます』と挨拶をしないと怒る名物おじさんがいらっしゃると。あるとき、いつものように『いらっしゃいませ・・・』と応対したとき、怒られたことがありまして、ああ、この方があの噂のおじさまなのだ、とわかりました。
チェックインカウンターでは、システムにアクセスしてお客様の搭乗情報を呼び出します。特別食の希望など、通常と違う対応が必要なときは、そうした情報も合わせて航空用語(英語)で表示されるんです。その方の情報には、『SAY OHAYO GOZAIMASU.』と書いてありました。ただ、その情報を目にするときは、すでに怒られた後なんですけどね・・・」(蒼井さん談)
文化ギャップは、海外からの渡航者だけでなく、日本人同士の間にもあるということでしょうか。接客サービスに携わる職業の方々には、こうしたエピソードがいろいろとあるのかもしれませんね。
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