
こんぴらさんという愛称で呼ばれている、香川県の金刀比羅宮。江戸時代には、一生に一度はこんぴらさん参りと言われ、庶民から人気の神社でした。現在もご利益を求め、多くの人々が訪れる、パワースポットです。筆者も念願だったこんぴらさん参り。本宮、そして奥社までお参りをしてきました。その様子をレポートします。
長い階段が有名な金刀比羅宮

金刀比羅宮は、香川県の象頭山(ぞうずさん)という山の中腹にあり、本宮までが785段、奥社まで1368段という参道の長い階段が有名です。

こんぴらさん参りは、門前町から始まります。昔ながらの土産物屋や讃岐うどんのお店があります。子どもの頃に買ってもらったお土産が今も変わらずあったり、なんとも懐かしい想いにかられながら足を進めます。



大門まで辿り着くと、門前町の賑やかな雰囲気から、厳粛な雰囲気へと一変します。神聖な空間に足を踏み入れたのだと実感。そして、振り返ってみると、琴平町の街が目の前に広がります。ここまでで、すでに300以上の階段を登っているので、本宮まではもう少しなのではないかと勘違いしてしまいますが、ここままだ金刀比羅宮の入り口。本宮までは、まだまだ階段を登らなくてはなりません。

足を進め、500段目のカフェレストラン「神椿」を通り過ぎ、一歩一歩、足を進めていきます。そして、やっと御本宮の手前の階段まで辿り着きました。こんぴらさん参りの中でも、ここが一番きついと言われている階段です。こんなに無心で身体を動かしたのは、いつ以来でしょうか。「しんどい」という言葉を封印し、一心不乱に階段を登ります。


辿り着きました。疲労でぜいぜい言いながらも、不思議と笑みが湧いてきます。御本宮ではお参りを済ませます。そして、清々しい気持ちで、琴平町の街を眺めます。
念願だったこんぴらさん参りなので、かなり疲れてはいたのですが、せっかくなので奥社まで参ってみることにしました。
奥社へ

奥社までは、山道を通ります。人の手が着けられていない自然豊かな森があります。映画『もののけ姫』を連想させるほど、どこか神がかった自然のように感じられます。

白峰神社を通り、1368段を登りきり、奥社まで辿り着きました。長かったですが、その分、登りきった爽快感があります。

奥社には、金刀比羅本教の教祖である厳魂彦命が祭られています。奥社の見所は何と言っても、断崖。威徳巖(いとくのいわ)と言われ、方石が一面に折り重なっています。どのようにしてこのような断崖ができたのでしょうか。とても神秘的。ここには不思議な力が宿っているようにさえ思えるほどです。

そして断崖には、天狗とカラス天狗の彫物があります。金刀比羅宮の公式サイトによりますと、ご祭神厳魂彦命は、「死して永く当山を守護せん」と言い残し、天狗と化して忽然と姿を消したと伝えられているのだそうです。また、奥社でしか購入することができない、お守りがあります。このお守りは、全ての災厄から身を守ってくれるのだそうです。

奥社からは、瀬戸内海まで一望することができる絶景があります。奥社まで参ることができた達成感のおかげか、感動的な風景に思えたほどでした。
今回初めて参ってみて、江戸時代、こんぴらさん参りすることが庶民の憧れだった理由がわかったように思いました。金刀比羅宮は、長い階段を登って、汗をかきながらお参りしなければなりません。邪念を消し去るように、無心になって階段を登ります。他の神社とは違い、簡単にお参りできないからこそ、魅力があるように感じられました。
金刀比羅宮
http://www.konpira.or.jp/#住所 香川県仲多度郡琴平町892−1
御本宮 御扉開・御扉閉時刻
4月〜9月
御扉開 午前6時、御扉閉 午後6時
10月〜3月
御扉開 午前6時、御扉閉 午後5時
御祈祷受付時間
午前9時〜午後5時まで。
[All photos by Nanako Kitagawa]
引用/参考
[金刀比羅宮]
あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
香川県小豆島「島のパスタソース」はあえるだけで本格パスタが完成!【久世福
Dec 19th, 2022 | 石黒アツシ
全国からこだわりの生産者が集まった産直スタイルのオンラインモール「旅する久世福e商店」(通称「たびふく」)。バイヤーが実際に旅して見つけた、その土地ならではのおいしさを集めたということで、地方の心ときめく逸品を自宅の食卓で楽しむことができるんです。そこで、この連載では、ご当地の銘品や特産品に目がない「旅行家・食事家・写真家」の石黒アツシが、地方の調味料に注目。実際にお取り寄せして、その味を土地の魅力とともに紹介します。第9回は香川県小豆島の「島のパスタソース」です。
小豆島の寒霞渓にある通称「1億円トイレ」とは?【編集部ブログ】
Sep 18th, 2022 | TABIZINE編集部ブログ
世界でも最先端とされる日本のトイレ。自動的に便器を除菌や泡洗浄したり、脱臭機能、抗菌機能、自動でフタが開く機能、公衆トイレで空室がわかる機能など日々進化しています。今回ご紹介するのは、香川県・小豆島の寒霞渓で出会った通称「1億円トイレ」。ここ数十年の日本のトイレの進化を痛感するきっかけになりました。
おばちゃんのパッケージが可愛いノンカフェインの「さぬきマルベリーティー」
Sep 17th, 2022 | TABIZINE編集部ブログ
TABIZINE編集部員が、取材先やプライベートで気になった小ネタをお届けする編集部ブログ。今回は、香川県のお土産「さぬきマルベリーティー」をご紹介。桑の葉を使ったノンカフェインのお茶で、体をいたわりたいときにぴったり。何よりおばちゃんが描かれたパッケージにほっこり癒されてしまうのです。
香川県の巨大すぎる「しあわせ観音<小豆島大観音>」って知ってる?【編集部
Aug 31st, 2022 | TABIZINE編集部ブログ
TABIZINE編集部員が、取材先やプライベートで気になった小ネタをお届けする編集部ブログ。今回は、香川県・小豆島にある巨大観音「しあわせ観音<小豆島大観音>」についてです。真っ白な大観音の、その巨大さにも度肝を抜かれたのですが、最上階で手に入れたスリランカのお守り「ピリティヌーラ」もすごかった。
【離島暮らしのリアル】住んだからこそわかる「直島」の魅力!直島移住はじめ
Aug 18th, 2022 | TABIZINE編集部
あなたは「離島に住む」ことを考えたことはありますか? フェリーで島を訪れ、観光したとき「こんなところに住めたら素敵だな。でも不便かも……」と思ったことがあるかもしれません。美術館やかぼちゃアートだけではない、住んだからこそわかる直島の魅力や、町の様子、離島生活ならではの苦労など、知られざる「離島生活のリアル」。現地からお伝えしたTABIZINEライター春奈の連載をまとめてご紹介します。
【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第12回:お隣の豊島に行って
Apr 3rd, 2022 | 春奈
「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。12回目の今回は番外編。これまで、直島や直島での生活について、いろいろな切り口からお話してきましたが、直島やその周辺を旅する人に向けて、直島のお隣にある豊島(てしま)の魅力をご紹介したいと思います。
【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第11回:直島のとある休日
Mar 20th, 2022 | 春奈
「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。11回目の今回は、直島のとある休日について。
【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第10回:離島生活でいちばん
Mar 13th, 2022 | 春奈
「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。10回目の今回は、離島生活でいちばん困ることについて。
【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第9回:島に住んで変わったこ
Mar 6th, 2022 | 春奈
「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。9回目の今回は、島に住んで変わったことについて。
【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第8回:フェリーに乗って買い
Feb 27th, 2022 | 春奈
「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。8回目の今回は、フェリーでの買い出しについて。