欧米の若い男性ミュージシャンや俳優が「マム愛してる」と言ったりするのは、昭和の人間には照れ臭いもの。大切なものを大切だと言っているだけだし、素敵なオープンさ加減だとも思いますが。そんな筆者が、イギリス留学中にホストファミリーなどからきいて驚いた家族愛をお伝えします。
ナチュラルに家族を自慢する
(画像はイメージです)
イギリス人は、家族のことを謙遜せず、ナチュラルに自慢します。
Aさんの夫は、デザイン会社の取締役。その会社のホームページにある作品集を長い時間かけて見せてくれました。ご主人は週末も書斎で仕事をしていたりしますが、その忙しさも誇りです。20歳のときにディスコで出会った二人は結婚して30年。彼と結婚してよかったことを訊くと、「よく体調を気遣ってくれる」「お互いの家族をリスペクト」「興味が一緒」とのこと。いい夫婦ですね、というと、よく言われるという答えが!
Bさんは、離れて暮らす一人息子が自慢です。息子の仕事の評価がとても良かったこと、女の子にモテること、息子の彼女がエリートなこと。忙しい仕事の合間に息子が小説を書いていること、そして友達が多く社交も忙しいことなど。
Cさんの場合、身内の職業が、判事、医者、音楽家などであること。また孫がケンブリッジ大学の中でもいいカレッジに入ったことなど。
どれも聞いていて、すごいなーと思ったり、羨ましいと思ったりしました。たまに、あらあら自慢してる(笑)と思うこともありますが、いやらしくなくて、好ましいんですよね。謙遜しないのは健康的だなとも思いました。
家族の連絡はかなりマメ
Bさんの場合、息子さんと毎日電話やメッセージのやりとりをしています。なので、今日彼は体調が悪いとか、週末は何する、誰に会うといった状況を知っています。忙しくて彼女と会えていないことももちろん把握。そしてその情報は、食卓で彼女の夫も筆者も共有します。ちなみに結婚前ですが、彼女の家族とも親密で、クリスマスは二家族で過ごしたんですよ。日本でいえば、息子の彼女の家族とお正月にお祝いする感じでしょうか。そう考えるとすごいですよね。
Cさんも、親族の情報を常にアップデートしています。音楽家の60代の娘が次にどこに出張するのか知っています。孫娘の旅行先、最近彼氏ができたことなどもタイムリーに電話で報告を受けています。
さてAさんですが、一緒に暮らす20代半ばの娘の男性の好みは知っていても、最新情報は把握していないようでした。筆者がキッチンでバスローブ姿の娘さんと遭遇したとき、リビングには男性の来客が。あとで、Aさんに「娘さんにはボーイフレンドがいるんですか」と訊いたら、「いないけど。え?何?何かみた?」というちょっと慌てた答え。とりあえず、いや、なにも、と答えましたが・・・。まだボーイフレンドまでいかないお試し期間だったのでしょう。さすがに親がそこまで知っていたら怖いですよね。
兄弟についての質問
イギリスでは、家族構成をよく訊かれます。結婚しているか、子供がいるかという質問がきて、いずれもノーと答えると、次に絶対訊かれるのは兄弟のこと。気まずさ回避という感じでもなく、そこまでの質問が一括りという感じです。アラフォーにもなって兄弟もなにも・・・と毎回感じます。筆者は別にドライなわけではなく、家庭をもつ兄弟と仲良い方だと自覚していますが、不思議に感じるんですよね。
とはいっても、日本でも同じかもしれませんね。未婚の場合、ほかの兄弟は家庭をもっているかどうかの確認がときどき入るような気がします。ただ、イギリス人だとほぼ100%兄弟について訊いてくるので、イギリスの方が家族をより近い存在にとらえているように感じました。
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