ウィーンの先端ショップを巡るウォーキングツアー
オーストリアの首都ウィーンのイメージと言えば大作曲家モーツァルトに代表される煌びやかなクラッシック音楽に、名門ハプスブルク家の荘厳かつ重厚な宮廷といった建造物など、長い歴史に裏付けられた文化や遺産が思い浮かびます。
今でも中央ヨーロッパの中心ともいえるウィーン。もちろん最先端のカルチャーも注目すべきものが多いんです。
そんなウィーンの最新のショップを歩いてめぐるツアーをオーガナイズしているのがアメリカからやってきたルーシーさんです。
ヴィーデン(第4区)には気になるショップがいろいろ
ウィーンの中心部はインネレシュタット(第1区)で、そのすぐ南がヴィーデン(第4区)です。ヴィーデンの中でも1区に近い北側に、ルーシーさんが教えてくれる気になるお店がありました。食料品店からアパレルまでいろいろですが、一部を紹介しますね。
オーガニックの新鮮な食材を売るLGVGärtnergschäftlでは野菜だけでなく、デリも併設されていて、ランチにも利用できます。
2軒隣のStattgartenは家庭用雑貨の店。かわいくて実用的なキッチングッズやおしゃれなホウキまで、見るだけでも楽しいお店です。
Feinedingeは食器などの陶器を作成する工房のショップで、独特な落ち着いた質感とデザインが楽しいお店です。
アメリカからやってきたルーシーさんの興味深い半生
さて、ルーシーさん。黄色のコートにハンチングという素敵なファッションで登場し、ツアーの参加者を元気にリードしてくれました。どんな方かとお話を伺ったら、とても興味深かったんです。
ルーシーさんの父親はオーストリア人、母親はハイチ出身。ニューヨークで育ったルーシーさんは、20代にはツーリズムを学び旅行代理店で働き始めますが、あらためてクリエイティブな仕事をしたいと30歳で広告デザインのスクールに通い始めました。その後、撮影スタジオで働くようになり、ファッションスタイリストとして活躍するようになります。アメリカのみならず、世界を旅して仕事をするようになりました。
オーストリアには幼いころから何度か旅していましたが、2002年の旅では現在のオーストリアに住むご主人と出会い、3年の遠距離恋愛の末、思い切ってオーストリアに移り結婚。
仕事も友達もなく、すっかりゼロからのスタート。そんな時に街を歩いていて、たくさんの魅力的な店を見つけたルーシーさん。そして、2008年には「Shopping with Lucie」というウォーキングツアーをオーガナイズするようになりました。旅とファッションの両方をミックスしたんです。
「どんな時でも、Naturalに自分らしくいることがとても大事。どんなことでもできると思っていれば、道は開けると思うの。」と、よく通る元気いっぱいの声で教えてくれましたよ。
NPOが運営するお店もおしゃれでかわいい!
愛着がたっぷり出ちゃいそうなファッション小物
schön & gut は障碍者に職業訓練を提供して、かわいいファッションアイテムや文房具などを製造販売するNPOが運営するショップ。カフェも併設しています。
こんなかわいい巾着袋がぶら下がっていました。
洋服や、キャップやバッグに、ぬいぐるみなどもあって、どれも愛着がわきそうなデザインのものばかりです。
ショップと同じ建物に工房があって、職人さんたちが商品を作成していました。多様な人たちが一緒に生活をしていて、とっても魅力的です。
ドラッグから立ち直る人と廃棄物を材料に新アイテムを
この色鮮やかなバッグは gabarage upcycling designのもの。このショップもNPOが母体です。材料は廃棄物の再利用。プラスティックのファイルはバッグに、ボーリングピンは花瓶に、エスカレーターの階段部分をソファにと、新しいデザイン製品が生まれています。他にもジュエリー、アクセサリー、家具、ランプなどが素敵で、リサイクル以上に新しい価値を生み出した、素敵なアップサイクリングなんですね。
職人さんたちの中には、薬物依存症だった人たちもいて、このショップが社会復帰をサポートしています。それぞれが仕事を請け負って製作した商品がショップに並びます。
リメイクされた洋服も、新しいデザインに生まれ変わっています。リサイクルじゃなくてアップサイクル。素敵なコンセプトでした。
ちょっとウィーンのイメージが変わったでしょうか。最先端のウィーンを知るなら、その土地の人に聞くのが一番。英語でのツアーですが、思い切って参加してみれば、きっと楽しめると思います。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
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