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2018年夏に皇太子さまがリヨンに訪問された際、日本のニュースでも取り上げられたリヨンの絹。ルネッサンス時代のリヨンでは、絹産業が盛んに行われていました。ベルサイユ宮殿にあるシルクの調度品は、ほぼリヨンで作られたものだそうです。日本で世界遺産に指定されている富岡製糸場とも深い関係があるリヨンのシルクについて紹介します。
リヨンの絹職人「カヌー」たち
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カヌー(Canut)とは、リヨンの絹織物の職人さんたちのこと。ルネッサンス時代にはリヨンの住民の40%が絹に関係する仕事(織物職人や絹商人)をしていたほど、リヨンでは絹産業が盛んでした。リヨン中心街の北、丘の上の地区クロワルッス(Croix-Rousse)には多くのカヌーたちが住んでいて、過酷な労働条件のもと家族総出で働いていたそうです。のちにカヌーたちは3回も暴動を起こしますが、どれもうまくいかずに、たくさんの人が犠牲になったという悲しい過去もあります。何千人といた絹織り職人は、現在はリヨンにたった5人となってしまったそうです。
ベルサイユ宮殿の豪華な調度品の数々
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ルネサンス時代、カヌーたちが作った絹織物は王室や貴族たちの日用品として使われていました。ルイ14世の命により、ベルサイユ宮殿にある調度品、椅子やベッド、壁にかかるタペストリーなどの絹織物のほとんどはカヌーたちが作ったそうです。
歴史あるジャカード織もリヨン発祥
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織で複雑な柄を立体的に表現するジャカード織り。現在も人気のある、この重厚感のあるジャカード織の機械が発明されたのは1801年のことです。発明したのは、リヨンのカヌーの家庭で育ったジョゼフ・マリー・ジャカール(Joseph Marie Jacquard)でした。子どもたちまで労働に駆り出されていたカヌーたちの過酷な仕事を知っていたジャカールは、その負担を減らすため、今まで手作業で多くの子供が携わっていた布地を織る作業を効率よくできるよう、この機械を発明したそうです。
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クロワルッスにあるMaison des Canut(メゾン・デ・カヌー)というシルク製品のブティックの店内奥には、このジャカード織りの機械が展示されているほか、ここではカヌーやリヨンのシルクについて深く知ることができます。
日本と深い関わりのあるリヨンシルク
19世紀中旬頃、欧州で蚕の病気が蔓延しました。その時に大きな影響を受けたリヨンを救ったのが日本の蚕だったそうです。日本の蚕は病気に強かったことから、フランスはこの日本の蚕と生糸を輸入し生産を継続することができたと言われています。その後1872年には、日本初の官営模範器械製糸場として「富岡製糸場」が創設されました。リヨンの生糸問屋で働いていた経験のあるポール・ブリュナ氏が開業後4年間、総責任者としての職に就き、フランス人技術者の雇用や日本人の体格に合うようフランスの操糸機を改良して注文するなど行ったそうです。
大切な方へのお土産に
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リヨン産のシルク製品は、クロワルッスのメゾン・デ・カヌーや中心街にあるリヨン織物装飾芸術博物館(Musée des Tissus)で購入できるほか、街にはリヨンシルク専門のお店が数店あります。男性用にはスカーフやネクタイ、女性用のスカーフはサイズも多く揃っています。フランス旅行の思い出や自分へのご褒美、大切な方へのお土産にもきっと喜ばれるギフトになるはずです。
メゾン・デ・カヌー(Maison des Canuts)
公式サイト(フランス語) 【住所】10 et 12 rue d’Ivry, 69004 Lyon
【アクセス】メトロC線クロワルッス(Croix-Rousse)駅から徒歩10分
リヨン織物装飾芸術博物館(Musée des Tissus)
公式サイト(フランス語) 【住所】34 Rue de la Charité, 69002 Lyon
【アクセス】メトロA線、D線ベルクール駅から徒歩10分
参考
[富岡市観光ホームページ ] [Association Soierie Vivante(シルク工業振興協会)ホームページ(フランス語) ]
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minacono ライター
日本とカナダで観光業界に勤務。旅行会社、現地ツアーオペレーター、航空会社、観光局、いろんな分野で旅と関わってきました。現在はフランス在住。美味しい食べ物とお酒がうまく出会った時すぐ感動する。犬好き。でも猫みたいな性格に憧れる。
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