旅の目的は「たったひとつ」で良い
旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。
私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。
珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。
ワクワクする夏がやってくる
日差しが日ごとに強くなってきて、夏の訪れを感じます。大人になってしまうと、「夏は暑くて、汗をかくからいや」「夏の満員電車は最悪」などとネガティブなことを考えがち。
子供の頃は、ジリジリする太陽、真っ青な海、濃い緑の森、モクモクの入道雲、水の冷たさ、冷えたスイカなど、夏ならではの風物詩にあんなに焦がれていたのに。気持ちの片隅に隠れていた夏への憧れを、呼び起こしてみましょう。きっと気持ちがワクワクして、夏色の旅に出たくなりますよ。
愛知県新城市 深緑の中を滑り落ちる7段の滝
「日本の滝百選」のひとつで、国の天然記念物の「阿寺の七滝」。森林の中でとうとうと豊かな水が滑り落ちる、全長約62m、7段の階段状になった滝です。マイナスイオンたっぷりの水飛沫を浴びれば、夏バテも吹っ飛び、パワーもアップ。滝の近くには子抱観音があります。お参りして、観音様の周りにあるなるべく丸い石二つをいただき、寝室に置いておくと子宝に恵まれると言われます。実際に授かった方もいて、ご利益あらたかなパワースポットのようですよ。
ONESTORY(ワンストーリー)
甌穴に大小の滝壺。個性の異なる7つの滝が階段状に連なる。[阿寺の七滝/愛知県新城市]
阿寺の七滝
住所:愛知県新城市下吉田沢谷下25-3
アクセス : 新東名高速道路新城ICから車で約20分
岐阜県関市 ハートマークの錦鯉が泳ぐモネの池
「名もなき池」が、地域の人の手によって「モネの池」と呼ばれる美しい池になりました。睡蓮の花が咲く、差し込む光が柔らかい晴れた午前中は、まさにモネの睡蓮の絵を見るよう。また、ハートマークの柄を持つ錦鯉を「モネの池」で見つけると恋愛運がアップすると言われています。
ONESTORY(ワンストーリー)
豊かな光と色彩が交錯する、夢のように幻想的な風景。[モネの池/岐阜県関市]
名もなき池(モネの池)
住所:岐阜県関市板取白谷(※ナビ登録の際は「フラワーパーク板取」がわかりやすいです)
アクセス : 東海北陸自動車道美濃ICから車で約30分/JR東海本線・高山本線岐阜駅から岐阜バス・岐阜板取線に乗車、洞戸栗原車庫で板取ふれあいバスに乗り替え、白谷あじさい園前で下車、徒歩約2分
静岡県榛原郡 絶景を見るために乗るトロッコ列車
夏休みには、ローカル線に乗ってのんびり旅するのも良いものです。静岡県大井川鐵道井川線の赤いトロッコ列車に乗りましょう。急勾配を登るため最後尾車両で押しあげる「アプト式」列車は、スイスの登山列車が有名。日本で乗車できるのは、大井川鐵道の南アルプスあぷとラインだけ。人造湖に浮かぶような「奥大井湖上駅」は、無人の秘境駅。降りると、奥大井レインボーブリッジと呼ばれる人が歩ける遊歩道があり、ブルーの人造湖に赤い橋が浮かぶ絶景が眺められますよ。
ONESTORY(ワンストーリー)
奥大井の深緑に囲まれた湖上を、浮かぶように赤い列車が走る。[奥大井湖上駅/静岡県榛原郡]
奥大井湖上駅
住所 : 静岡県榛原郡川根本町梅地
アクセス : 大井川鐵道井川線(南アルプスあぷとライン)奥大井湖上駅下車/大井川鐵道大井川本線・井川線千頭駅から専用駐車場まで車で約25分、そこから遊歩道を徒歩で進み約20分
長野県茅野市 東山魁夷氏の代表作のモチーフになった池
東山魁夷氏の代表作「緑響く」のモチーフになったことで知られる御射鹿池(みしゃかいけ)。 魁夷の描いた白馬がふと木々から現れるような、神秘的な風景に息を呑みます。
御射鹿池(みしゃかいけ)は実は農業用の人工池で、酸性が強いため、魚をはじめ生物の棲息を許しません。強酸性の湖底にはチャツボゴケが繁茂して湖面が青緑に輝き、木々が美しく映えます。棲息を許さない池を抱く、深い緑の森。美しさに漏らしたため息さえ響くような静寂さ。「緑響く池」に、まさにふさわしい池ですね。
ONESTORY(ワンストーリー)
静寂の水面に溶けるように映る深緑の色彩が、あたり一面を染める。[御射鹿池/長野県茅野市]
御射鹿池
住所:長野県茅野市豊平奥蓼科
アクセス:中央自動車道諏訪ICから車で約45分/JR東日本中央本線茅野駅から車で約30分
今回のたったひとつは、子供時代の気持ちに戻っていく夏色の絶景。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。