海外旅行と切っても切り離せないのが、パスポートの存在。空港では、出国審査または入稿審査、飛行機のボーディング時などに何度もその存在を確認されますよね。けれど、もしかしたら近いうちに、国際フライト搭乗にパスポートが要らなくなる時代が来るのかもしれません。カナダとオランダが共同で行う「パスポート不要フライト」プロジェクトの実施を発表し、話題を呼んでいます。いったいどういうことなのでしょう。
海外渡航の必需品、パスポート
あんなに小さな手帳のようなものですが、パスポートは今のところ国際フライトの必須アイテム。
数年前、「とあるスポーツ選手が海外の大会に参加するために成田空港に到着したはいいけれど、パスポートを自宅に忘れて予約フライトを逃してしまう」というケースがワイドショーを賑わせました。結局その選手は、自腹で高額のフライトを新規に購入されていました。この方の場合は競技のための渡航ですが、一般人が休暇の旅行で同じ目にあったらと思うとゾッとしますね。
けれど、そんな現状を打破するニュースを発表したのは、カナダのトロント・ピアソン国際空港(Toronto Pearson International Airport)。この空港は、カナダ国内で最大の国際空港であるばかりでなく、2017年度と2018年度に2年連続で「北米大陸で最高の空港」に選ばれています。数多くのアメリカのメジャーな空港を抑えて1位になっているのは素晴らしいです。
そんなトロント・ピアソン国際空港が6月下旬、「トロント・ピアソン国際空港からオランダのアムステルダムに渡航する際には、旅行者が印刷されたチケットやパスポートなしで済むようにする」というプロジェクトの構想を発表しました。このプロジェクトには空港のみならず、カナダ航空、KLMオランダ航空、アムステルダム・スキポール空港やオランダ政府など様々な機関と提携して進めていくのだそう。
けれど現段階では、パスポートは個人を識別するための大事なもの。このペーパーレス搭乗システムは、どのように個人を識別するのでしょうか。
スマートフォンにパスポート情報を搭載
実はこのシステムでは、乗客はパスポートの代わりに自身のスマートフォンを使用することになります。一部では既にスマートフォンを利用したデジタルチケットが使用されていますが、更にパスポートの情報もスマートフォンに搭載しようとしているのです。現在はパスポートのICチップ上に記録されている個人識別データを、自分の携帯に保存することになるのだとか。
このシステムの元では、乗客が空港に到着する前に、関連情報が航空会社などに送信されます。データが送信されるたびに個別の同意が必要となるため、旅行者は既存のパスポートシステムよりも個人データをより詳細に管理できるようになると考えられているのです。トロント・ピアソン国際空港も、このプロジェクトが「安全に、そして効率的に」人々を動かすことになると保証しています。
このプロジェクトは、2019年内は様々なテストやシステム統合を行うことになり、実際の運用は2020年からになりそうだとのこと。チケットもパスポートも不要になる、ペーパーレス搭乗の時代はもうすぐそこまで来ているのですね!
けれど現在は、渡航先のホテルの宿泊チェックインの際などにもパスポートが必要。そういったことを考えると、まだまだ「パスポートを置いて旅立てる」訳ではないのかもしれません。もしかしたら今後は、ホテルもスマートフォンでチェックインできる時代が来たりして!? 数年後には、海外旅行も全く様変わりしているかもしれませんね。我々TABIZINEも、そんな旅の進化を楽しみに待ちたいと思います。
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